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第24回 中山グランドジャンプのみどころ

今週は春の大一番、中山グランドジャンプが行われます。

今年は、前週に障害戦が行われていない中でのいきなりのGⅠとなりますから、その点で異例と言えば異例ではあるのですが、出馬表に並んだジョッキーの名前を見る限り、その点にあまり神経質になる必要はないのかもしれませんね。


ところで、頭数が落ちついてしまったこともさることながら、ここに出てくれば有望と思えたエイシンクリック、レオビヨンドという馬たちの名前が出馬表にないのは、やはり残念なことではあります。できることなら、レースレベルが高いに越したことはない。常に私は、そう考えているので、、、

ただし、それを言っても何も始まらないのは確かですから、無事出走に漕ぎつけた各馬の中で、どの馬が好走確率が高くて、どの馬には厳しいレースになるのか、そこをキッチリと見極めることに注力しないといけない。そんなふうにも思っています。

では、早速、レースのみどころを紹介していくことにしましょう。


中山11R 中山グランドジャンプ


まずはじめに、おさらいの意味も含め、各馬の力関係について簡単に整理していくことにしましょう。

少なくとも、昨秋に行われた京都ジャンプステークスまでは、メイショウダッサイこそ故障があって戦線を離脱してしまったものの、ケンホファヴァルトタガノエスプレッソを含めたトップホース3頭が、一定期間、障害界をリードしてきたことはほぼ間違いありません。

ただしその後、ケンホファヴァルトは故障で戦線離脱、タガノエスプレッソは加齢による急減速と、障害界の相関図が一気に置き換わってしまった。それが現状なのではないでしょうか。


そんなこんな、トップホース3頭に異変が起こってしまった中で、その穴を埋めるように台頭してきたのが、昨年暮れに行われたイルミネーションジャンプステークス組の各馬。ここを勝ったレオビヨンド、4着ビレッジイーグル、5着ブラゾンダムールは、順番こそ違えど、後の中山大障害で3頭揃って掲示板を確保してきたわけですから、シンプルに言えば、基本はこのイルミネーションJS組が有力な新興勢力を形成しているという捉え方で、ほぼ間違いないのだろうと思います。

ただしこれらの各馬は、復調したオジュウチョウサンに中山大障害で全馬迎撃されてしまったわけですから、少なくとも昨年暮れの時点では、新興勢力よりも衰えの隠せないオジュウチョウサンのほうがまだ力は上。そんな力関係だったと見ていいのでしょう。


そうすると、単純なポテンシャル比較だけで言えば、ここではケンホファヴァルトが一枚上の存在で、続いてオジュウチョウサン。その後に、ブラゾンダムール、ビレッジイーグルというイルミネーションJS組の2頭が続くという力関係になりそうです。

ちなみに、ブラゾンダムール、ビレッジイーグルの2頭は、前走でも着順が入れ替わってのワンツーフィニッシュ。そこでやや離された3着がマイサンシャインであったことを考えると、勝負圏内は基本上記の4頭が有力で、それに加えマイサンシャインとマイネルレオーネに、ワンチャンスあるのかどうか。概ねそんな全体像になっていると捉えていいのではないでしょうか。


次に展開ですが、序盤の並びは比較的読みやすくて、おそらくハナはビレッジイーグルと見て大丈夫でしょう。

奇策があるとすれば、難波Jに乗り替わったマイサンシャインが内から主張してくるパターンですが、枠の並び的に無理せずインのポケットを取れる絶好の3番枠を引けたことを考えれば、奇策を打つ合理性に欠ける条件が見事に整っているんですよね。ならば、ビレッジイーグルがハナ、マイサンシャインが2,3番手のインという並びになる公算が高いんじゃないか、と。

さて、ここで問題になるのが、オジュウチョウサンとケンホファヴァルトの出方。お互いがどのように干渉し合うのかによって、スタミナロスの度合いが変わってきますし、前の馬を巻き込んで攻防を繰り広げるのか、それともビレッジイーグルの後ろで激しいつばぜり合いを繰り広げるのかによっても、おのずと結果は違ってきますからね。


つまり今年の中山グランドジャンプは、オジュウチョウサンとケンホファヴァルトの道中での出方をどう読むか、そこがカギとなると言い切っていいと思います。

ビレッジイーグルも巻き込んで早めにやり合う形になれば、結果的にブラゾンダムールを利することになりますし、ビレッジイーグルに構わずサシで削り合うような形になれば、反対にビレッジイーグルを利する結果となる。概ね、そんなイメージで考えておけばいいんじゃないでしょうか。


最後に馬場ですね。予報を見る限り、金曜日は終日の雨予報になっていますし、土曜日は回復傾向の予報にはなっているものの、パンパンの良馬場が望めるような状況にはありませんから、そこをどう読むかは、意外と大事な要素になってくるかもしれません。個人的には、今、最も頭が痛いポイントがこの点。う~ん、天気ばかりはどうしようもないのですけれど、本当に困ったもんですね~。

考え方としては、単に道悪の巧拙だけじゃなく、よりスタミナを要求されるレースになるケースも、ある程度は想定しておくこと。さすがに一昨年のような極悪馬場にはならないかもしれませんが、ある程度は「バテ比べ」のようなレースになることも、頭の片隅には入れておいたほうがいいのかもしれないですね。

もちろん、直前のレースまでの馬場傾向をしっかりと見極めつつ、にはなりますけれど、、、


さて、ここからは個人的な見解を。

中心には、いくつかの課題は残るものの、現状の力関係では最上位と言える⑥ケンホファヴァルトを推すことにします。

この馬にとっての明確な課題は、休み明けで仕上がり状態がどうなのか、という部分と、スタミナ面での不安はないものの、本質的に道悪は上手でない、という部分。前者は、おそらく決定的な不安要素にはならないから大丈夫と見ているのですが、後者に関しては、極端に馬場が悪くなった時だけ、さすがにちょっと評価を下げざるを得ないかな、とも思っているので、そのあたりのさじ加減がなんとも難しいんですよね。

ただそれでも、乗り替わるのが森一馬Jなら、そこに大きな不安は感じませんし、キャラ的にも、自分でレースをつくれるタイプの馬ですから、その点にも不安はなし。ならば、多少の馬場悪化にとどまるのであれば、正攻法の競馬で、十分に勝ち負けに持ち込むことができるんじゃないかと最終的に判断しました。

繰り返しになりますが、極端な馬場悪化はこの馬にははっきりマイナス要因ですから、その点には特にご注意を。


2番手には、⑧ビレッジイーグルを採ります。

暮れの中山大障害から約4カ月、当時のレースが厳しい展開だったこと、こちらは今が充実期で確実に地力を強化していること、これらの点を考慮して、今回はオジュウチョウサンを逆転できるはず。そう判断しました。

オジュウチョウサン側から見れば、他の有力馬が勝負どころですべて馬群に沈んだ中山大障害では、「あとは前にいるビレッジイーグルさえ交わせば勝てる」というレースになりましたが、今度は、前後する位置関係にいるであろうケンホファヴァルトを気にしながらの仕掛けになる分、前で構えるこの馬には有利な状況になる。そんな見立てもあります。

ただこの馬も、極端な道悪はどうなんでしょうか。少しでも馬場が乾いたほうが、好走確率が上がる。そんなイメージで考えています。


3番手には、①ブラゾンダムールですね。

ビレッジイーグルとの力関係で言うと、直接対決したここ3走で1勝2敗ですから、相手にスムーズなレースをされると厳しいけれど、少しでも展開に恵まれたら簡単に逆転できる。そんな関係性だと評価していいのでしょう。

その点今回は、ある程度ビレッジイーグルが楽に行けるんじゃないかと予想しているので、順番を付けるならこちらが下。でも、ポテンシャルの比較だけならむしろこちらが上位と言ってもいいくらいですし、もともとが勝ったり負けたりの関係性でもありますから、素直にこの位置。そんなふうに理解してもらえたらと思います。

ただしこの馬も、はたして道悪はどうなんでしょう。鞍上の雑なエスコートも、道悪になるとスタミナ面に余計に響いてきそうなイメージもありますから、やっぱり一定の割引は必要なのかもしれませんね。


上位評価は、この3頭とします。

⑦オジュウチョウサンに関しては、上位3頭と大きな差はないと考えますが、今のこの馬の力だと、石神マジックが炸裂しない限り、ちょっとだけ足りないんじゃないかと思うのですよね。

ただし、上位に評価した3頭は、道悪馬場への適性に疑問符がつく馬ばかりですから、馬場が悪くなればなるほど、オジュウチョウサンにとってはプラスに作用する。そこは頭に入れておかないとダメでしょう。

いずれにしてもオジュウチョウサンは、極端な道悪になった時にだけ出番があるという想定で、今のところ考えています。


その他、②マイネルレオーネは、いかにも距離適性がありそうですし、平沢Jがこちらに乗るというのも、確かな強調材料であると言っていいのではないでしょうか。ただし、こちらも10歳でさすがにピークは過ぎた印象ですし、この小さい馬が63kgを背負って道悪で好走するというのも、ちょっとイメージしづらいんですよね、やっぱり。

③マイサンシャインは、いかにも展開に恵まれそうな点と、道悪に高い適性がありそうだという部分で、あながちノーチャンスとは言えないのかなとは思っています。ただし、前走で大きく馬体が減っていたこと、乗り難しさのある馬が乗り替わりになることなどを考慮すると、どうしても序列は下がってしまうな、と。

④サトノパシュートは、小倉ではスピード不足の感がありましたから、この条件が合う可能性は十分にありうると思います。ただ、その点で一定の上積みがあったとしても、勝ち負けに加わる力まではさすがにないのかな、と。終始、マイペースの追走に徹して、バテた馬を交わしての3着とかならあるかもしれないですけど、そこまではなかなか手が回らないですからね。極端なスタミナ勝負になりそうな場合のみ、オジュウチョウサンとセットで狙うという戦略はあっていいかもしれませんが、、、

⑤マイネルプロンプトは完全にピークアウトしていますから、経験値を生かしてどこまでか、という感じですし、⑨キタノテイオウはこれまでのレースぶりから多くを望めない。そう考えて、この2頭に関しては馬場状態を問わずノーチャンスという評価にしておきます。


いずれにしても、全馬無事に、を願いたいところです。

障害レースにアクシデントはつきものですけど、せめてGⅠの晴れ舞台くらいは、各馬、持てる力を最大限に発揮してほしい。そう祈っていようと思います。

その結果として、このレースシミュレーションが的中したら万々歳なんですけど、さてどうなりますか。興味は尽きません。






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