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第56回 シンザン記念の見どころ

今週はお正月開催の続きですので、特例的な扱いとして、2歳重賞の見どころ解説についても、こちらに投稿しておこうと思います。

では、早速、レースの見どころを解説していくことにしましょう。

中京11R シンザン記念


まず最初に、昨年のこのレースを振り返っておくと、勝ち馬ピクシーナイトは秋になってGⅠ勝ちを収めましたが、これはスプリント戦線に路線を変更してのもの。マイル路線では一線級相手に通用しませんでしたし、2着のルークズネストも、重賞勝ちこそありますがGⅠでは明らかに力不足でした。

今年も、重賞でそこそこの走りを見せた馬と、前走で条件戦を勝ち上がってきた馬の対決という構図になっている点は、昨年と似た図式になっているのですけれど、全体のメンバーレベルとしては、昨年よりもちょっと下がるのかな、というイメージになりますね。


それから、ひとつ気をつけなければならないのは、土曜日の競馬の感じからして、中京の馬場が一気に高速化した影響で、外からの差しが決まりづらくなっている点でしょうか。

金杯デーは、ペース次第で外からの差しも決まっていましたが、土曜日は、道中の立ち回りで少しでもロスがあると、人気馬でも勝ち負けに絡めないケースが散見されましたから、この点を意識した予想の組み立てが必要になってくる。そんな気がしています。


ここで、まずもって人気のラスールについてひと言。

この馬をグランアレグリアと比較するような論調がスポーツ紙などに掲載されているようですが、藤沢和雄厩舎所属でルメールJが騎乗する素質馬ということ以外、何ひとつ似たところはありません。

何より、グランアレグリアのような爆発的なフットワークを繰り出す馬ではありませんし、その反面、いつ暴発するかわからないという気性面の課題を抱えているわけでもない。さらに距離適性の部分でも、ラスールは中距離馬の印象が強いくらいですから、ソウルスターリングあたりと比較するならまだしも、グランアレグリアと比較するなんて、的外れもいいところだと怒りすら覚えてしまいますね。

まさか、調教師やルメールJがそのことに気づいていないはずはありませんから、どこぞの記者が「ラスールは、グランアレグリアと比べてどうですか?」みたいな質問をし、関係者がそれに対するリップサービスとして発言した内容を、そのまま記事にしたというのがコトの顛末なのでしょう。

それにしても、ビギナーの競馬ファンの中には、こんなどうしようもないフェイクニュースを信じてしまう人だっているでしょうから、これは本当にひどいといわざるをえません。無味乾燥であることにとどまらず、むしろ競馬ファンをミスリードするような情報を大手メディアが垂れ流すのは、もういい加減にしてほしい。そう願わずにはいられません。


さて、メディアに対する怒りをひととおりぶちまけたところで、本題に戻ることにしましょう(笑)。

では、前走重賞好走組から順に、これまでのパフォーマンスを振り返ってみたいと思います。


まずは、前走の京都2歳ステークスで2着に逃げ粘った①ビーアストニッシドから。

京都2歳ステークス当日は、最後の直線が強烈な向かい風になっていたこともあり、終日差しが利きづらく、前残りが連発していたのですよね。レースレベル自体もそれほど高くはなかった中で、この馬はマイペースで逃げての2着ですから、それ自体に高い評価を与えるのはちょっと違うんだろうと思います。

その反面、時計が掛かるということは余計にスタミナを使うことになりますから、およそ適距離とは思えない舞台でしぶとく粘ったことは評価に値しますし、ホープフルS4着のフィデルを差し返したしぶとさにも、一定の敬意を払う必要がある。そのようにも思います。


次に、東京スポーツ杯2歳ステークス5着の⑨レッドベルアームについて。

こちらは、2番人気で5着と人気を裏切る形になりましたし、勝ち負けとはまったく無縁の5着でもありましたから、この重賞で掲示板に載ったという結果自体を評価することには、正直、かなり抵抗があります。

その反面、前走時の調教映像には、夏を越して急成長を遂げたレッドベルアームの姿がありましたし、かなりメンバーレベルが高い戦いの中で、折り合いを欠いての5着なら、胸を張っていいという評価もできるでしょう。なんだかんだアルナシームとグランシエロには先着しているわけですから、この点も強調材料の一つにはなりますしね。


今度は、条件戦の勝ち上がり組について。

まずは、③ソリタリオが勝ったこうやまき賞から振り返っていくと、全体時計も上がり時計も平凡でしたから、基本的には、標準的な2歳1勝クラスのレースレベルという評価でいいと考えています。

勝ったソリタリオ、2着のウナギノボリとも、終いはしっかりと伸びてはいるのですけれど、特にこれといったインパクトを残したわけではありませんでした。今回もおそらく、自分の脚はしっかりと使えるのでしょうが、このメンバーが相手にそれで通用するかと言えば、ちょっと別の話のような気もしますね。


次に、⑥マテンロウオリオンが勝った万両賞ですが、こちらは翌日に行われた同距離の古馬2勝クラス戦と比較しても、勝ち時計がコンマ2秒しか違いませんから、勝ち馬のパフォーマンス自体には、それ相応の評価をしていいように思います。

ただここは、舞台が中京のマイルに替わって道中のラップ構成も大きく変わってきますし、マテンロウオリオン自身、完璧な競馬をした初戦のマイル戦でエバーシャドネーに差し切られたという経緯もありますから、このコースへの適性面でどうなのかという課題が残るのは確かもしれません。


そして、新馬上がりの②ラスールですが、こちらは初戦の勝ちっぷりに派手さはありませんでしたし、時計も水準級。すなわち、もしデータだけを根拠にして予想を組み立てるのであれば、ここでははっきり足りないという結論になるのでしょう。

ただし、、、です。この馬の立ち姿は実に美しく、まさに走る馬のそれ。桜花賞というよりはオークス向きだと思いますけど、「これで走らなかったおかしいでしょ!」ってくらい、素晴らしい馬ではあるのですよね。

ここは、単に未知の魅力で人気になっているだけですから、本来なら消したい馬ではあるのですけれど、個人の評価としても、この馬は相当な素質を秘めている可能性があると考えている分、人気先行の現状とどう折り合いをつけるべきか、正直、かなり悩みました。


最後に、個人的な見解を。

中心には、迷わず⑨レッドベルアームを推します。

この馬にとって、週末になって前残りの傾向が強まった点はマイナス材料ですが、このメンバーに入れば、その分を差し引いてもまだおつりがある。そう評価しています。距離がマイルになるのもいいですし、川田Jなら当日のトラックバイアスを意識した臨機応変な騎乗をしてくれるでしょうから、その点も安心材料にはなりますしね。

唯一、ラスールが化け物級だった時にだけ、負ける可能性があると思いますが、それ以外に負けるパターンは自爆以外にほぼ存在しない。そう考えています。


相手は、①ビーアストニッシドにします。

この馬にとって、距離短縮は間違いなく好材料になりますし、今のトラックバイアスも完全にこの馬向き。しかも、同型馬がシーズザデイくらいしかいないという点でもかなり恵まれましたから、まあこれ以上評価を下げる理由はないでしょう。

将来性で他馬に一歩譲るのは確かですけど、ここは完成度の違いを生かしての好走に期待してもいい。そう判断しました。


そして、3番手に②ラスールですね。

この馬に関しては、能力の絶対値が3番手という意味ではなく、好走の期待値が3番手。そう理解してください。

この馬はいわゆる人気先行タイプで、本来は馬券を買いたくない馬の典型ではあるのですけれど、自分の相馬眼を信じるのであれば、ここで消してはいけない。そんな判断となりました。

馬券の話を抜きにして言えば、それくらい大きな期待をかけたい馬ですし、負けるにしても、将来に期待を抱かせるような負け方をしてほしいんですよね。でもこの馬は、絶対にグランアレグリアタイプの馬ではありませんよ、ホント、絶対に!(笑)


その他、③ソリタリオですが、この馬はこうやまき賞のパフォーマンスを少し上げてきたくらいでは、ここでははっきり足りないんじゃないでしょうか。しかも、ゲート内の駐立が安定せず、大出遅れの心配があることを考えれば、好走の可能性がゼロとまでは言いませんけど、あまりに人気とのバランスが悪すぎるように思います。前走、福永Jでもゲートが危なかったわけですから、奇数番を引いてC.デムーロJに乗り替わったとなると、余計にやらかす可能性が高くなりますし、、、

ほぼ同じ理由で、⑧ウナギノボリも軽視します。こちらもレース条件はピタリだと思うのですが、毎回の出遅れがここで一気にカイゼンするとも思えませんし、そうなると、今のトラックバイアスでは勝負圏内まで差し込んでくるのは難しい。そう判断しました。

⑩マテンロウオリオンは、4番手に挙げるべきかちょっと迷ったくらいで、上記2頭に比べるとだいぶ怖さはあります。ただ、ポツンをやった後というのは、あまりいい結果を期待しづらいのは事実ですし、今のトラックバイアスを意識して前付けしたらしたで、それはそれで伸び切れないんじゃないかとも思うのですよね。馬をまったく信用していないわけではないですけど、ガチンコ勝負ではやや足りない気がしますし、少なくともこの鞍上は信頼に値しませんから、その点も含めて、今回はビシッと消すことにしました。


いや~、今回はいろいろと余計なことも書いちゃいましたけど、最低限、的外れの結果にならないことを願っていようと思います。

レッドベルアーム、ちゃんと走ってねー!(笑)

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