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第24回 中山グランドジャンプの回顧
いや~、石神Jの魂あふれるエスコートにはシビれましたね!
それに応えたオジュウチョウサンも、もちろん非常に素晴らしかったんですけど、今回の勝利は、ジョッキーの神懸かり的なアシストなしには成し得なかったでしょうから、その点において、今年の中山グランドジャンプは、実に感慨深いレースになったな、と。
では、早速、レースを振り返っていくことにしましょう。
中山11R 中山グランドジャンプ
レースの形としては、大方の予想どおりビレッジイーグルの単騎逃げ。ただし後続も前を射程圏に入れつつ、ピッタリと追走する形となりました。
道中の並びに関しては、ほぼ事前の想定どおり。前日出しの記事の中で、「今年の中山グランドジャンプは、オジュウチョウサンとケンホファヴァルトの道中での出方をどう読むか、そこがカギとなる」と書いたのですが、まさにそのとおり、石神Jと森一馬Jが道中で激しく互いにプレッシャーを掛け合う神経戦が展開されることとなったのは、とても印象的でしたね。
また、レース総体で見ると、ビレッジイーグルの刻んだ道中のラップは決して速くなかったと思うのですが、その中で勝ち時計自体が、暮れの中山大障害と同様に約10年前のレベルであったことを踏まえれば、勝負どころでのペースアップの幅がかなり控え目だったのは確かでしょう。
その分、後方で構えていた馬たちも楽に先団に取りつくことができましたから、基本は前の馬たちがレースを支配する形にはなっていたけれど、それでも後続馬に脚を使わせるところまでは行かず、その結果、勝負どころで一気にレースが動き差し馬が上位を独占する形となった。そんな見方ができるのではないでしょうか。
勝ったオジュウチョウサンですが、スタート直後こそケンホファヴァルトにレースの主導権を譲る格好になったものの、相手の隙を見て、インのポケットの位置を取り切り、最後までその位置を守り通した石神Jの神懸かり的なエスコートによって、道中でスタミナをロスすることなく運べたのは大きかったんだろうと思います。
馬自身も、昨年のように変に引っ掛かったりせず、自分のペースを守って走れていましたから、精神的な部分も含め、体調面がうまいこと整っていたことも、好走要因の一つにはなっていたのでしょう。
もちろん高いレベルで言えば、相手関係も含めてすべてがうまくいった結果、とみることもできますが、なんたってこの馬はもう11歳ですからね。それを考えたら、これ以上の走りを期待するのはさすがに違うのだろうと思いますし、GⅠを勝ったというだけで、これ以上ない快挙と呼んでいいのではないでしょうか。
オジュウチョウサンと石神J、本当にブラボーでした!
2着のブラゾンダムールは、西谷誠Jが道中で少しずつため込んだロスが最後の最後で響き、すんでのところでGⅠ制覇の快挙を逃す結果となってしまいました。やっぱりと言えばそれまでなんですけど、もったいない2着ではあったと思います。
ただそれでも、勝負どころで一気に全馬をマクリ切った脚は素晴らしかったですし、中山コースでは、常に安定したレースを見せてくれていますから、今回に関しては負けて強し。そんな評価でいいでしょう。
3着マイネルレオーネは、ブラゾンダムールのマクリに乗じて展開が向いた部分はありましたけど、この小さい馬が63kgを背負って本当によく頑張ったと思います。
ただこの馬も、もう10歳ですからね~。この先は、いいところ現状維持が精一杯になってくるでしょうから、秋に向けて期待が高まったとまでは言いきれないですよね、やっぱり。
4着ケンホファヴァルトは、アクシデント明けでやや力んだところはありましたが、それが致命傷になったとは思えず……。結果論にはなりますけど、やっぱり熊沢Jが乗れなかったことが、馬券圏外に飛ぶというこの残念な結果に直結してしまったな、という印象ですね。
もとよりこの馬の弱点は、瞬時にギアチェンジができないところにありますから、本来なら早めにエンジンをふかし、ブラゾンダムールにマクリ切らせない工夫が必要だったわけですが、相手がトップスピードに乗ってからそれに応戦しようとしても、「さすがにそれは無理でしょ!」という感じではありました。
普通のレベルで言えば、森一馬Jの騎乗ミスというほどの失態ではないのですけれど、道中で石神Jとの位置取り争いに敗れ、勝負どころでの西谷誠Jのマクリに屈したとなると、やっぱり今回に関しては、この乗り替わりが致命傷になってしまったという評価にならざるを得ないのでしょう。
少なくともケンホファヴァルトに関しては、森一馬Jよりも熊沢Jのほうが圧倒的に手が合う。そういうことなんだろうと思います。余談ではありますけど、アサクサゲンキはこれとまったく逆のパターンなんですから、競馬って、本当に奥深いですよね。
5着ビレッジイーグルは、最低限、自分のレースはできましたし、勝負どころでペースを引き上げる余力は残っていなかったように見えましたから、こちらは純粋に力負けという評価になるんだろうと思います。
ただしこの馬は、パドックで馬っ気を出すなど、やや集中を欠く一面を見せていましたから、もしかすると、前走で目いっぱい走った反動があった可能性も否定はできません。その中での5着なら、それほど悲観すべき着順とも言えませんから、今回に関しては力負けでも、この先やり返すチャンスはいくらでも残っている。そんな気がします。
本来なら、総括はこれで終わりにしてもいいのでしょうが、ここは「本気の競馬力向上研究所」なので、最後に少しだけ付け足しを。
オジュウチョウサンの快挙にケチをつけるつもりは毛頭ないのですが、もしここにエイシンクリックやレオビヨンドが使ってきていたとしたら、結果ははたしてどうだったんだろう。そんなふうに、考えざるを得ないところはあるんですよね。
これは秋に向けて、という話にはなるんですけど、個人的には、オジュウチョウサンの天下が今後も続くとは正直思えず、今の障害界全体のレベルで言えば、新星が登場したらすぐにGⅠでも、、、そんな雰囲気を感じさせるのですよ。
その意味で、これから夏、秋にかけて頭角を現す馬が出てきたら、大障害コースへの適性についても常に注視しておくべき。オジュウチョウサンの快挙の余韻に浸る一方、ふとそんなことを妄想してしまう今年の中山グランドジャンプだったのかなとも思っています。
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