７月時点での新種牡馬雑感

週末、函館２歳Ｓも終わったので、一応はここで最初のひと区切り。これまでに行われた２歳戦の中で特に印象に残った新種牡馬について、感想をツラツラと書き込んでみようと思います。

アジアエクスプレス

いきなりの変化球になりますが、それでも最初に取り上げたいのがこの馬。ニシノミズカゼとスイートアリエスの２頭が、すでに勝ち上がっています。なぜこの馬を最初に取り上げたかというと、予想以上に馬体に見どころのある産駒が多い印象があるからなんですよね。

当然、「これまでのところ」という注釈は付きますが、筋肉質で寸の詰まったタイプが多い。それでいて、お父さんのヘニーヒューズのような不器用さを感じさせることはなく、どちらかと言えば、サウスヴィグラス産駒に特徴が似た、小脚が使えるタイプの馬が多い印象すらありました。

もちろん母系の影響もあるので十把一絡げにはできませんが、今後も、ダート短距離の新馬戦で好走する馬がどんどんと出てきそうな予感がします。体型的には、芝よりも明らかにダート向きの印象もあるので、新潟や小倉の時計が出る芝のレースに使ってきた時にどんな傾向が示されるのか、その点は注視しておきたいと思います。

マクフィ

続いてこちらも変化球になりますが、この馬の産駒では、ルーチェドーロがダートの新馬戦を勝ち上がって、続く函館２歳Ｓで２着。その他にも、キンバやニューフィーなど、そこそこスピードがあってレースセンスがいい馬がデビューしている印象があります。

成績的には、今のところ芝・ダート兼用のイメージですが、馬体的にはスッキリとしたタイプの馬が多い感覚があります。こちらも、新潟や小倉の時計が出る芝のレースに使ってきた時に、どんな傾向が示されるのかには注目でしょう。アジアエクスプレス産駒よりは順応性が高そうな気もしますが、さてどうなりますか。

個人的に言うと、この馬の産駒はあんまり距離が延びていい印象はありませんし、ドーンと大物が出る印象もないですね。今後は、堅実だけど詰めが甘いとか、先行力はあるけど決め手不足みたいなタイプが多くなってきそうなイメージは持っていますが、馬券戦術に適切に反映させるためにも、産駒がこれからどんな傾向を見せてくるのか、よく注視しておこうと思います。

モーリス

こちらは、以前、感想を書いたので詳細は省きますが、見どころのあるパフォーマンスを見せたのが、気性的にうるさいところがあるカイザーノヴァとゾディアックサインの２頭だけという点は何とも面白い傾向だなとは思いました。

ただ、おっとりとした性格で迫力ある好馬体の馬が多いという特徴は確か。しかも調教で動く馬も多いですから、見かけ倒しで終わるのか、それとも体に見合った体力が徐々についていくのかは、今後よく見極めていきたいところです。

ドゥラメンテ

こちらは、懸念された気性難を見せる馬はさほど目立たないものの、特に大物感を感じさせる馬もあまり見かけない。そんな印象ですかね。

距離や芝・ダートの適性についても、現状では判断不能というのが正直なところ。もうしばらくは、あまり予断を持たずに産駒傾向を見極めていきたいと思っています。

リオンディーズ

馬体面だけを言えば、キングカメハメハの後継種牡馬の中で、もっとも産駒の印象が良かったのはこの馬です。特に、この週末に勝ち上がったピンクカメハメハのセンスあふれるレースぶりは目を瞠るものがありましたし、バランスの取れた馬体も印象的でした。体型的には、すらっとしたタイプの産駒が多いので、現状は芝向きのタイプが多くなりそうな気がしています。

もうひとつ注目したいのが、リオンディーズ産駒のここまでの成績。１３番人気で３着したアスカノミライを筆頭に、デビューした馬のほとんどが人気よりも上の着順に来ているのですよね。まだサンプル数が少ないとは言え、これは特筆すべき傾向にも思えます。

要は、血統的背景も含めた事前の期待値よりも、実際の産駒がよく走っているということになりますから、予期せぬ大物の出現もついつい期待してしまいますね。兄エピファネイアからデアリングタクトが出たこともありますし、ひそかにこの馬の産駒から活躍馬が出るのではないかと注目しています。

エイシンヒカリ

個人的には、ディープインパクト産駒の異端児であるこの馬の産駒にも少し注目したいと思っています。

この週末も、力の要る阪神芝のレースでエイシンヒテンが２着して穴を開けましたし、ここまで良い成績は出ていないものの、東京、福島と使ったシャイニングライトの馬体の良さもひと際目を惹くのですよね。

エイシンの馬ゆえ肌馬の質が揃わない現状もあって、産駒のコンスタントな活躍は見込めそうにありませんが、狂気のサンデーサイレンス産駒ステイゴールドが種牡馬としてあれだけ活躍したのですから、この馬にも狂気のディープインパクト産駒としての超大物輩出を期待したいところです。