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第22回 チャンピオンズCの見どころ

明日は、中京競馬場でチャンピオンズカップが開催されます。

今年は、ソダシがここに参戦してくれたことで、例年以上の盛り上がりを見せていますね。その一方、ソダシの参戦により、展開面を含めてよりいっそうレースシミュレーションが難しくなった部分はありますが、その分、やりがいが増したとも言えるので、決してさじを投げることなく、やれるだけのことはしっかりとやって行こうと思っています。

ちょっと個人的に、感傷的になる場面があるかもしれませんが、そこはどうかご容赦ください。

では、早速、レースの見どころを解説していくことにしましょう。

中京11R チャンピオンズカップ


このレースに関しては、最初に過去2年の振り返りから入ることにしましょう。

皆さんもよくご存じだと思いますけど、昨年、一昨年のこのレースの1~4着馬は、チュウワウィザード、ゴールドドリーム、インティ、クリソベリルと、年ごとに順番こそ違えど、まったく同じ組み合わせなんですよね。

今年は、その4頭の中から⑬チュウワウィザード④インティの2頭が出走してきましたから、予想の組み立てはこの2頭を基軸にしつつ、それをパフォーマンスで凌駕する馬が現れるかどうか、という切り口から検討を進めていくということでいいんじゃないかと考えてます。


さらに言うと、このレースの結果が、2年連続で似たり寄ったりになった背景として、中京ダート1,800mというコースが、「リピーター様ご優待」という特徴を持っていることが挙げられるでしょう。

つまりこのことは、過去のチャンピオンズカップでの好走歴にとどまらず、他の中京ダート1,800m戦で好成績を残している馬にも同様のアドバンテージがあることを示唆している、とも言えます。

よって、このレースを予想するにあたり、いつも以上にコース適性を重視すべきことは明らか。その上でレース展開や仕掛けどころ、通るコースやラップ構成による有利不利などを検討していく。より的中に近づくためには、このようなアプローチがより合理的なのかな、と思ったりもしますね。


ということで今回はまず、中京ダート1,800mというコース設定の中で、チュウワウィザード、インティと互角に戦える可能性をすでに示している馬を、全頭ピックアップするところからスタートしてみましょう。

内から順に名前を挙げていくと、⑥テーオーケインズ⑦サンライズホープ⑨オーヴェルニュ⑪アナザートゥルース⑯カフェファラオの5頭がこれに該当。「可能性がある」というレベルで言えば、意外に該当馬が多いことがよくわかりますね。


さて、そもそも中京ダート1,800mを走ったことがない馬については後で触れることにして、中京ダート1,800mを走った経験があり、その適性に疑問符が付く馬もいるので、今度はその視点から5頭をピックアップ。内から順に、③サンライズノヴァ⑤エアスピネル⑧スワーヴアラミス⑩ケイティブレイブ⑫クリンチャーがこれに該当することになります。

このうちサンライズノヴァ、エアスピネルに関しては、コーナー4つのレースが単純に不向きで、その分パフォーマンスを落とす傾向が強く出ている、というだけの話ですね。一方で、スワーヴアラミス、ケイティブレイブ、クリンチャーの3頭に関しては、もう少し詳しい解説が必要かもしれません。

この3頭に共通するのは、ハイペースからのバテ合いに強いところで、裏を返すと、レースの流れに乗って行って直線でひと脚、みたいな競馬が苦手ということ。つまりこの点が、残り400~200mのところで加速を踏むことが多い中京ダート1,800mというコース形態に、はっきりマッチしていないと理解することができます。

あえて言えば、向正面マクリを敢行するなど、打開策がまったくないということはないのですけれど、それはそれで自身にも大きな負担がかかる作戦になりますから、いずれにしてもこの3頭にとっては、コース適性の部分がディスアドバンテージになることは間違いないと言えるでしょう。


今度は、コース適性の高い馬5頭を、一頭ずつふるいにかけていくことにしましょう。

まず最初は、サンライズホープ。この馬は、気性面に課題を抱えているので、逃げ、ないし早め先頭からの押し切りという自分の型を持っている馬。よって相手に関係なく、馬群の中に入った時点でジ・エンドというタイプですから、そもそも自分の形に持ち込めるのかが、ひとつ目の高いハードルになります。

この点、枠の並びに目をやってみると、内から出して行く馬も多く、少し外にはアナザートゥルースもいますから、1コーナーまでに好位置をキープするのは簡単なことではなさそう。よしんばいい位置を取ることができたとしても、道中をスムーズに運べた前走がウェスタールンドと僅差、時計面も平凡となると、他馬の凡走が重ならない限り、ここで好走するのは厳しいと判断せざるを得ません。


次に、オーヴェルニュ。この馬は中京コースでこそ、というタイプですし、距離は違いますが、5月に行われた平安Sの時くらい走ったら、ここでも好勝負できることはほぼ間違いありません。

ただし、、、なんですよね。この馬に東京コースが合わないことは明らかなので、フェブラリーSの惨敗は仕方がないのですが、休み明けだったにしても前走は阪神コースでしたから、やはりそこで見せ場なく惨敗した点を無視するわけにはいきません。もちろん、前走からの上積みは必至でしょうけど、それでも一変まではさすがにどうなんでしょうか。


続いては、アナザートゥルース。こちらも、馬のタイプ的にはサンライズホープに似ていて、馬群の中はNG。その意味では、やはり前半でスムーズにいい位置を取れるのか、というところが問題になってきます。

今回は鞍上が坂井瑠Jなので、胆力のある騎乗をしてくるとは思うのですけれど、やはり枠の並びは微妙ですし、よしんば自分の形に持ち込めたとして、地力勝負でチュウワウィザードあたりと互角に戦えるのかといえば、正直、う~んといわざるを得ないですよね。


そうすると、コース適性の面からマークすべきは、テーオーケインズとカフェファラオの2頭という結論になります。

ちなみにカフェファラオに関しては、ベストは間違いなく東京のマイルですし、中京1,800mがベストの条件とは言えないのですが、それでも昨年はかなり厳しい競馬を強いられた中で崩れずの6着ですから、この点を重視してふるい落とすことはしませんでした。

テーオーケインズのほうは、名古屋城ステークス勝ちの内容を見れば、コース適性の高さは一目瞭然ですから、これ以上の説明は要らないでしょう。


では最後に、中京ダート1,800mの経験がない馬について。

ソダシは、好位につけてひと脚使う競馬が得意なくらいですから、ダート適性の部分をひとまず措くとすれば、コース適性は高いのだろうとシンプルに考えることができるでしょう。

その他、カジノフォンテンは、川崎、船橋での好走が目立つ戦績を見てのとおり、間違いなくコース適性は高いと考えるべき。ダノンファラオは、どうにも気性面が安定せずつかみどころがないものの、ピリッとした脚がない点は適性面で大きなマイナス。メイショウハリオは、こなせるけどベストな条件ではない。そんな評価でいいように思います。


ということで、一旦、ここまでの話を小括しておくことにしましょう。

過去2年の実績から、チュウワウィザードインティ。コース適性とマイナス要素が少ないという点で、テーオーケインズカフェファラオ。コース経験はないけれど、過去のレースで明らかに適性が高いだろうというところを見せている、ソダシカジノフォンテン

今年は、この6頭が上位候補に位置付けられ、この中からおそらく勝ち馬が出る。個人的には、そう考えます。


そして、次に展開ですが、今年のレースに関して言えば、ここの読みの精度はものすごく大事になりますね。

土曜日の競馬を見ていると、中京のダート戦では、道中で外々を通した馬の好走はほぼゼロ。差しが決まるにしても、道中はインで我慢して直線だけ外、という馬しか最後までしっかりと脚を使えていませんでした。

そのことからすると、ペースもそうですが、道中で内に潜り込めるかどうかが重要な要素になってきますから、特にスタートから1コーナーまでの攻防が、大きくレース結果を左右することにはなりそうです。


シンプルに考えて、外から被されたくないカジノフォンテン、サンライズホープ、アナザートゥルースの3頭は、ゲートからビッシリ出して行くでしょうから、前半のカギは、ソダシがこれに内から絡んでいくのか、それともインのポケットにすっぽりと収まるのか、ズバリその一点になります。

そして、次なるポイントは、向正面でクリンチャーの川田Jが、早めに動いていくのかどうか。座して死を待つことを良しとしない川田Jのことですから、2コーナー過ぎにペースが緩めば、十中八九、外から一気にマクって行くと思うのですけれど、3コーナーまでずっとペースが緩まなければ、動きたくても動けませんからね。う~ん、このあたりの読みも、非常に大事になってきますね。

さらに言うとインティは、このタイトな流れだと道中は後ろからになりそうですから、そうなった時に、過去2年と同じようなパフォーマンスを見せられるのかどうか。ここもひとつのポイントにはなるでしょう。


では、ここからは個人的な結論を。

上位は、あえて順番を付けずに3頭横並びにします。


1頭目は、⑥テーオーケインズでいいと思います。

この馬は、なにより枠の並びがいいですから、道中ではインをロスなく追走して、勝負どころでも外を回さずに馬群を捌いて進出できそう。よって今のトラックバイアスを考えれば、この立ち回りのうまさが勝利を呼び込むイメージは十分に湧いてきますね。能力的にも、帝王賞、JBCクラシックのレースぶりを見れば、チュウワウィザードとほぼ互角かそれ以上の評価ができますから、本来であれば、この馬を中心視してもいいくらいなのでしょう。

ただ、いかに偶数番を引けたとは言え、ゲートに不安があることは間違いないですし、多少でも出遅れた時に、ソダシがインのポケットに収まったりすると、位置が一列下げられてしまうリスクがあるのは間違いありません。キャラ的に、長くいい脚を使うタイプではないので、位置取りが悪くなるのはやはり大きなマイナス。そのリスクがあるので、あえて他の2頭と横並びのところまで下げた、そう理解してもらえたらと思います。


2頭目は、こちらも⑬チュウワウィザードでいいでしょう。

今年のメンバーを見渡すと、道中で馬群がバラけるイメージが強いので、この外枠は大きなマイナスにはならないと見ています。イメージとしては、シンプルに昨年のレースを踏襲すればよく、もしそれができれば、必然的に勝ち負けに持ち込めると考えていいのではないでしょうか。

ただ気になるのは、トラックバイアスなんですよね。勝負どころで外からエンジンをふかしていく形になった馬が、土曜日に失速しまくっていた点がどうにも気になってしまい……。前が勝手に止まって、持ったままの手応えで外から上がって行けるようなら心配はいらないのですが、クリンチャーがマクってきた時にそれに呼応して自ら動く形になると、最後伸び切れないパターンもあり得るんじゃないか、と。

実は、土曜日の競馬を見るまでは、この馬を中心でいいと思っていたのですが、道中の立ち回りのうまさが結果に直結している様子を見ると、対テーオーケインズでやや劣勢なんじゃないかなと思い至ったのですよね。ただこちらは、基本的に崩れないタイプではあるので、安定味の部分を買って、最終的には横並びという評価にしました。


3頭目は、①ソダシです。

この馬に関してはっきり言ってしまえば、ここは人気先行の感が否めないのは確かでしょう。普段なら、私がこのパターンの馬を推すことは滅多にありませんし、費用対効果という観点から、ソダシを上位評価するのはどうなのかと葛藤があったのも事実ではあります。

さらに言えば、逃げたら逃げたで厳しいラップを踏まされることになりそうですし、控えたら控えたで砂を被ってどうかという課題が生じるので、枠や展開面でのプラスαも望めません。つまり、一般的なアプローチで考えるならば、勝つ確率よりも圧倒的に惨敗の可能性のほうが高い、そんな結論になるほうがむしろ普通なのかもしれないですね。


でも、、、なんです。プレオープン当時からこの研究所に来てくださっている方は覚えているかもしれないですが、私はソダシが新馬戦を勝った直後に、noteにこんな投稿をしているのですよ。

詳しい説明はリンクの記事を見ていただきたいのですが、私は当時、ソダシの走りにあのフラムドパシオンを重ねていたのですよね。だから、もし万全の状態のフラムドパシオンが、明日のレースに出走するとしたらどうなんだろう。現実にはあり得ないことだけど、あえてそう考えてみたんですよ。

そうしたら、頭の中に浮かんできたのは、テーオーケインズとチュウワウィザードを千切り捨て、力強いフットワークを維持したままゴールするフラムドパシオンの姿だったんですね。

ホント妄想でしかないんですけど、拾ってきた動画貼っておくので、是非、見てみてください。そう、こんなイメージですね。


つまり、私の中では、ソダシはダートでこその馬。芝のマイルGⅠを2つ制した今もなお、その考えに変わりはありません。

初ダートだろうが、展開が厳しかろうが、ソダシがもし本当にフラムドパシオン級の馬だったとしたら、絶対にやってくれる。そう心から信じているのですよ。

だから、仮にこの投稿の見出しに「見どころ」という言葉が付いていないのなら、「私は、自信を持ってソダシを中心視します!」でいいんです。でも、競馬は個人的な思いだけではダメだから、一歩引いて、3頭横並びの中の1頭という評価にした。そう理解してもらえたらと思います。

ちなみに個人的には、無理にハナに行かなくてもいいと思っています。砂を被って惨敗する可能性もありますが、そこは腹をくくって、吉田隼Jには馬を信じて乗ってほしいですね。


そして、最後に4番手として、⑯カフェファラオまで拾っておきます。

この馬は、ここ2走の敗因ははっきりしていますし、追い切りなどの動きを見ても、昨年よりも確実に力を付けていると評価できますから、ならば、昨年よりもチュウワウィザードとの差は確実に縮まるんじゃないか、と。

しかもうまいこと大外枠を引けましたし、ここが初ブリンカーにもなりますから、ルメールJなら、他馬のことはあまり気にせず、向正面マクリを含め臨機応変に対応してくれそうなイメージも湧いてくるのですよね。

ただ、この馬もやはりトラックバイアスとの相性が……。その分だけ少し下げた格好にはなりますが、道中の立ち回り次第では、この馬にも勝つチャンスがあっていいのではないかと考えています。


その他、②カジノフォンテンは、やはり展開面ですね。外の各馬が引いてくれたらチャンスはありますけど、今回に限っては楽な展開が望めないと考えて、能力が足りることを承知で消しました。

④インティは、向正面でマクって先頭まで行ってしまえば、チャンスはあると思うのですよね。ただ今の武Jには、それを望むべくもないですし、他馬に合わせてシンプルに差す競馬をするならば、過去2年と同じようには走れない。そう考えています。


いや~、個人的には、かなりレースが楽しみなんですよ。

ソダシは、一般的には白毛のスターホースという位置づけですし、もちろんそれでいいんですけど、自分の中では「フラムドパシオンの生まれ変わり」なんですよね。

だから、明日、厳しい現実を突きつけられたとしても、それはそれで正面から受け止めればいい。それくらいの覚悟を持って、スタートの時を待とう。そんな感じで、今からガッツリ身構えていようと思います(笑)。

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