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忍殺TRPGソロリプレイ【集団行方不明調査】

ドーモ。2019年8月3日にニンジャスレイヤーTRPG自作シナリオのセルフプレイをTwitter上で行った際のまとめ、及び簡易リプレイ小説となります。

前回はこちら。

今回挑んだシナリオはこちら。拙作です。

挑んだのはデッドリーチェイサー。

ニンジャネーム:デッドリーチェイサー
カラテ:4
ニューロン:3
ワザマエ:5
ジツ:3(カトン・ジツ)
体力:4
精神力:3
脚力:3
装備:カタナ
消費アイテム:ウイルス入りフロッピー
生い立ち:実家のカネ
名声・ソウカイヤ:3
万札:10

他にも何度かセルフプレイしてTwitterに放流していましたがダイス運が悪く毎回豊満女ニンジャが爆発四散しており、なんか可哀想なのでクリアできそうなやつを投入した次第ですね。

本編

ソウカイ・シンジケートのニンジャである君は、ネオサイタマ第七埠頭の廃棄された港湾施設にやってきていた。与えられた任務は、この近辺で多発している行方不明事件の原因の調査である。既に1人のニンジャが送り込まれたが、行方をくらましているらしい……。
慎重に歩を進める君のニンジャ視力は、前方に怪しげな影を発見した。フラフラと歩くそれは……クローンヤクザだ。どうしてここに?訝しむ君へ、クローンヤクザが突然チャカ・ガンを向けた!クローンごときがニンジャ野伏力を見破るとは!?迎撃せよ!

「イヤーッ!」女性ソウカイ・ニンジャであるデッドリーチェイサーは精密なるイアイドーをもってクローンヤクザを一刀両断!そのバストは平坦である!

【万札】+1

「アバー……!」緑色のバイオ血液を噴出しながら倒れたクローンヤクザの懐から万札を回収し……妙なアトモスフィアを感じ取る。そのとき、猛烈な勢いで何かが死体から飛び出してきた!

「!」クローンヤクザの死体から飛び出し、喉笛に喰らいつかんとするそれを、寸分で掴み取ることに成功する。「アナヤ……!?」陰鬱な瞳が揺らぐ。

これは……イカの脚だ!それも、1本が人の腕ほどの太さがある!クローンヤクザの死体は……ナムアミダブツ!口や耳などから、何本ものイカ脚が飛び出し蠢いている。それらはやがて、動かなくなった。

「気色が悪いですね。……まさか、彼女はこの先ですか?」この区域に派遣され、行方不明となった女ニンジャ。デッドリーチェイサーは彼女の同僚であり、同じチームの一員だ。

クローンヤクザの歩行してきた跡には、白い粘液がへばりついている。これを辿れば、原因を探ることができるだろう。粘液は地下へ続く階段へ続いている。君は階段を慎重に降りていった……。
粘液の痕を追ううち、施設地下49メートル階層に到達した君に、何者かが躍りかかる!クローンヤクザか!?否、その頭と腕はイカ脚……イカ触手に覆われている!イカヤクザとでも呼ぶべきだろうか!「スッゾ……!」ともあれ迎撃せよ!

「なんですかこれは……!イカのヤクザ?面妖な!イヤーッ!」吐き捨てると、ケリ・キックをヤクザの腹部に叩き込む!「アバーッ!」イカヤクザは身体をくの字に折り、壁まで吹き飛んで動かなくなった。

【万札】+1
クローンヤクザが緑色の血液を噴出させて死ぬと、やはりイカ触手も動かなくなった。どうやら、宿主が死ぬとイカも死ぬらしい。

 ザンシンする。敵はこれだけではあるまい。二度あることは三度ある、と平安時代の詩人ミヤモト・マサシも遺している。「……前方か」デッドリーチェイサーが呟いた1秒後!

「「「スッゾコラー……!」」」冒涜的ヤクザスラングが響く!前方には……3体のイカヤクザが出現した!

 一体一体をカラテで相手している暇はなく、彼女の未熟なカラテでは遅れをとる可能性もあろう。故に、デッドリーチェイサーは奥の手を遠慮なく切った。

ニンジャソウル由来のカトン・ジツである!「まとめて昇華なさい!イヤーッ!」超自然の炎がイカヤクザ達を焼き尽くす!「アバーッ!」「アババーッ!」「アババババーッ!!」炭化したイカヤクザ達に再度ザンシンする。

イカヤクザを全滅させた君は、先へ進む。その途中で、ソウカイ紋が刻まれたクナイが1本落ちているのを見つけた。

 デッドリーチェイサーは息を呑んだ。生成したものではなく、大量生産の支給品のクナイだ。柄に滑り止めの包帯を巻かれている。これは『彼女』の独自のアイディアのはずだ。つまりは……。「この先に、いるのですか?」クナイを手に持ったまま、歩みを進める。

君は大きく開けた一室へ辿り着いた。破棄された重機やUNIXが多数。恐らくは、船の積荷を管理する施設だったのだろう。足元は白濁した液体に埋まっており、ニンジャであっても非常に歩きづらい。物音を立てぬように進む君が前方のそれに気付いたとき、女の声が響いた!「ンアーッ!やめてぇ!」

「!」聞き間違えることのない声!デッドリーチェイサーは走る!

君のニンジャ視力が目にしたものは、何本もの触手に手足を縛られ拘束された女と、人間とイカが融合したかのような怪物だ!「シュシュシュ……!オレノ……コドモ……産メ……!」怪物が恐ろしい声を発する!「やだ!助けて!お母さん!ホオヅキ=サン!アレクサ=サン!誰かぁ!」女は泣き叫ぶ!
身を捩る女だが、拘束はほどけない。「イカの赤ちゃんなんか産めるわけないよぉ!」触手に弄ばれるそのバストは豊満であった。「シュシュシュ……ナセバナル……!」「無理ぃ!」怪物の肉体から生えた触手のうちの1本が、女の下腹部に迫る!先端からは白濁した溶解毒液が滴る!アブナイ!

「……イヤーッ!」スリケンを投じる!

「グワーッ!?」触手を切断された巨大な怪物が悲鳴を上げる!「アイエ!?」女が目を見開く!怪物は君に顔を向けた!

「その子を解放しなさい。外道」デッドリーチェイサーは陰鬱な目で怪物を睨みつけ、言い放った。怪物は……にたり、と目元を歪ませる。その口元はボロ布で覆われている。さながらメンポだ。つまりは。

「シュシュシュ……ドーモ、ブラックスクイッド……デス」アイサツ!つまりこの怪物はニンジャなのだ!恐らくはヨロシサン製薬が開発したバイオニンジャである!アイサツにはアイサツを返さねばならぬ。君もアイサツを行おう。

「ドーモ。わたくしはデッドリーチェイサーです」ゆっくりとオジギを行う。「その子を解放しなさい。これは最後通告です」同じ内容を繰り返す。「デッドリーチェイサー=サン!?」拘束された女が叫ぶ。「ナンデ!?」

「ドーモ。ライトニングウォーカー=サン」表情一つ変えず、拘束されたままの女に告げる。「仕事ですよ。あなたの後任です」そして、カタナを抜く。「そこのバイオニンジャを片付けたら、一緒に帰りますよ。いいですね」

「シュシュシュ……!ネンゴロ同士、ナカヨク、オレノコドモ、産メ……!」醜悪な笑みを浮かべる怪物。ライトニングウォーカーの顔がひきつる。彼女たちの周囲には、いくつもの死体が転がっている。このバイオニンジャは人間の胎に己の複製を産み付け、栄養を喰らい増殖するのだ……!

「あなたにかかずらっている暇はありません。イヤーッ!」スリケン投擲!「イヤーッ!」ブラックスクイッドは身体を曲げ、回避!「ドコヲ狙ッテイル……!」侮蔑の声とともに、凄まじい速度の触手がデッドリーチェイサーに迫る!「グワーッ!」

 悲鳴をあげたのは……バイオニンジャだ!「バカナーッ!?」その胴体には、工場のクレーンがハンマーパンチのごとく振り下ろされている!「お見事」デッドリーチェイサーは呟いた。先のスリケンはブラックスクイッドの触手を数本切断していた。それによってライトニングウォーカーは拘束を逃れた。

 そして、そのまま黙って気絶するような女ではない。彼女もまた、ニンジャなのだ。油断なく工場の生存UNIXにLAN直結を行い、背を向けるバイオニンジャにクレーンを振り下ろしたのだ!デッドリーチェイサーは即座にその場から連続側転を放ち、ライトニングウォーカーの元へ。彼女を助け起こす。

「バカナ、オレガ、コンナコト……!」バイオニンジャは一瞬呆然とする。「オノレ!オノレェ!」怒りの触手が、ライトニングウォーカーとデッドリーチェイサーに迫る!「バラバラニ、シテヤル!」

 触手は2人の下腹部を貫くべく迫り……その寸前で、灰となって崩れ落ちた。「アバ……アババババーッ!?」のたうち回るバイオニンジャ!その全身は一瞬にして業火に包まれている!デッドリーチェイサーのカトン・ジツである!「アババババーッ!?」

 デッドリーチェイサーはのたうち回るバイオニンジャを一瞥もせず、ライトニングウォーカーの元へ歩み寄った。「ほら、帰りますよ」ライトニングウォーカーは差し出された手を掴む。「うん……ありがとう」ふらふらと立ち上がり、支え合いながら、2人は出口へと向かう。

 やがてカトン・ジツが解け、超自然の炎は消えた。「アバ、アバ、ババ……」身体の大半が炭化したブラックスクイッドは焼け残った片目で、歩き去る2人のニンジャを見た。もはや触手を動かすこともできぬ。だが、しばらく休息し、肉を喰らえば再生は可能だ。そうすれば、あの2人のニンジャに復讐し、そして再び繁殖を……。

「グワーッ!?」包帯を巻かれたクナイが、ブラックスクイッドの目を貫いた。デッドリーチェイサーのカイシャクの一撃だ。否、それだけではない。ブラックスクイッドはクナイから凄まじい熱を感じる。「ア、アバ……?」彼が困惑と苦痛の声を絞り出した次の瞬間。

「ジゴクへ落ちろ」デッドリーチェイサーがつぶやいたその言葉を引き金に、クナイ・ダートを媒介にしたカトン・ジツが発動した。炎はバイオニンジャを中心に、施設と、犠牲者の死体を全て焼き尽くした。「サヨナラ!」爆炎の中で、バイオニンジャは爆発四散した。

地下施設脱出後、トコロザワ・ピラーにバイオニンジャ討伐報告を行った君は報酬を与えられた。
デッドリーチェイサー
合計【万札】+12 【余暇】+3 【名声】+1

「しかし、よろしいのですか?」「何が?」「お仕事ですよ、わたくしの」帰宅したデッドリーチェイサーとライトニングウォーカーはシャワーで粘液やらなにやらを洗い落としていた。ソウカイヤ本拠地トコロザワ・ピラーで任務の報告を行い、デッドリーチェイサーは次の任務を与えられたが、ライトニングウォーカーが代理となることを申し出たのである。

「ああー。まあ、荒事ってわけじゃないみたいだし大丈夫っしょ。セッタイくらいわたしにも出来るって」デッドリーチェイサーは余暇の合間にトレーニングを積む腹積もりだった。その日数が増えることそのものはありがたい話だが……。「はぁ……ならお言葉に甘えさせていただきますか」

 デッドリーチェイサーの弱点は精神力の不安定さだ。ザゼンで自らを見つめ直し、セイシンテキを揺るがぬものとすることはジツの行使の助けにもなる。故にドージョーでの鍛錬を行っているのだが……。

「ううん……不安ですね」

 どうにも集中が続かない。ザゼンを解いたデッドリーチェイサーは、チャを淹れ、一息ついた。「ライトニングウォーカー=サン、きちんとお仕事できているでしょうか」相手はソウカイヤの傘下に加わったヤクザクランの若いオヤブンだと聞いている。シツレイがあってはいけないが……。「……まあ、本人が大丈夫というなら大丈夫なのでしょう」


「ハァーッ……!ハァーッ……!」その頃、ライトニングウォーカーはチャワンを手に持ち、荒い呼吸を繰り返していた。ワビチャ・プロトコル程度は事前に調べておけば問題ないと踏んでいた彼女だったが……緊張によって付け焼き刃の知識は容易く吹き飛び、中古のロボ・ニンジャめいてぎくしゃくとした動きでチャワンを受け取るのが精一杯という有様であった。

(こ、これからどうするんだっけ……飲んでいいの?飲んでいいのこれ?)

 目の前のセッタイ相手の青年ヤクザは、ソウカイヤから派遣された女性ヤクザの醜態に怪訝な顔をしている。彼の立場はソウカイヤより下であるため、口で咎めるようなことはしない。仮にもソウカイヤの代表として現れたライトニングウォーカーを怒らせれば、彼の命だけでなく彼のクランの命運も尽きかねないのだ……!

 一口、二口、三口とチャを口にしたライトニングウォーカーはチャワンをタタミに戻す。「ゴ、ゴゴゴゴチソウサマデシタタタ」一息に飲み干さなかったのは緊張のための偶然ではあるが、作法には適っている。ほっとした青年はチャワンを受け取ろうとし……。「ンアーッ!」「グワーッ!」……バランスを崩したライトニングウォーカーにのしかかられた。

「ゴクロウサマ。茶室はしばらく使い物にならねえってよ。……申し開きはあるか」「違うんですわざとじゃないんです違うんです」「つっても先方は割と喜んでるんだがな。何やったお前」「え、ええと……チャワンをひっくり返したせいであちらのズボンが濡れちゃったもので、やけどしてたら大変だとその場で脱がしたらわたしのキモノも脱げてたせいであちらの」「もういい!いつからソウカイヤはマイコデリバリーになったんだバカ!」「アイエエエエ!ごめんなさい!」


 デッドリーチェイサーはチャワンのチャを飲み、ふう、と息を吐いた。窓の外を見ると、降り続けていた重金属酸性雨は一時的に止み、雲間から赤い夕日が見えている。「ライトニングウォーカー=サン……トキコ=サン、頑張ってくださいね」根拠は無いが……彼女はきっと、上手く任務を果たしているだろう。デッドリーチェイサーは、アカギ・ホオヅキは、チャワンをゆっくりとタタミに下ろし、友の顔を思い浮かべ、微笑んだ。(おわり)

ニンジャステータス

ニンジャネーム:デッドリーチェイサー
カラテ:4
ニューロン:3→4
ワザマエ:5
ジツ:3(カトン・ジツ)
体力:4
精神力:3→4
脚力:3
装備:カタナ
消費アイテム:ウイルス入りフロッピー
生い立ち:実家のカネ
名声・ソウカイヤ:3→4
万札:10→12