あいみょんは「今夜このまま」が最強な理由


あいみょんと言えばどの曲をとっても、男女の心情の機微が繊細に描かれ、それを太いハスキーボイスで歌いあげる、いわば新時代の女性シンガーソングライターとしてティーンからの指示がアツい。

そんなあいみょんの素晴らしさは改めて言うまでもないが、個人的なダントツトップの曲がある。

「今夜このまま」である。

その理由は大きく分けて三つある。

①歌詞

②ラスサビの転調

③主題歌タイアップドラマ「獣になれない私たち」との関連性

さっそく書こうと思う。

①歌詞

歌詞については、具体的な情報があまりなく、どちらかというと形容詞的な心情が多い。なんとなく何枚かの短いシーンをつなあげあわせているイメージ。

察するに、普通のカップルの情景ではない、ワケありの関係か、その日その場で知り合った男女と予想できる。酩酊した主人公が、帰りたいけど、今夜をこのまま終わらせたくないっていう物語。

この歌詞の素晴らしい所を挙げだすとキリがないので特に良いなと思うところに絞る。

「言えない 想いは 軽く飲み込んで 隠しちゃって 鼻の先に 取り付いた本音に油断して」

これいらいらしたり、やきもきしたりの意味の鼻につくと匂いが鼻に「つく」っていうのがかかってるんかなーと。

で、取り付いた本音に油断してって言うのがやるせない自分は鼻につくけど酒の甘い匂いに誘われて自分のこのまま身をまかせたい本音に流されていくっていうことなんかな。

「消えない 想いは 軽く火照らして 飛ばして 指先から 始まる何かに期待して」

これは場面と時間が変わって「今夜」ってのが終わりつつある時間かな。指先から始まる何かっていうのは多分ケータイでのやりとりかなと。結局消化不良の想いを文字に変えて打ってるのかな。

歌詞素晴らしいです。読む人によって解釈変わる。

②ラスサビの転調

ここ全然普通のキーで繰り返しても良かったところを、わざわざ転調してるのは、それによって誰かの腕の中で〜のところの落とし所が気持ちよくなるからじゃないか。コードを詳しく分析してないから理論的には分からないけれどそんな気がする。たぶん。

③主題歌タイアップドラマ「獣になれない私たち」との関連性

正直これが一番の理由。「獣になれない私達」通称けもなれは新垣結衣と松田龍平という完全俺得なドラマ(当て馬が田中圭)で、しかも甘い恋愛ものではなくリアルでビターなストーリーになってて、最終的に二人がくっついたとも断言できない終わり方になる。で、この話は5tapっていうクラフトビールの店で登場人物は話を展開していくんですが、これが今夜このままの歌詞とものすごくリンクしている。更にその表現を「泡」という一定のモチーフを使って鮮やかに描いていく。苦かったり甘かったりするクラフトビールを仕事の疲れの癒しに求めるように、甘くて苦いなかなか(喉を)進まない恋愛に溺れていく、騙されていく。この歌詞の主人公とドラマの主人公新垣結衣の役の、グルグルまわって無理して苦しんで酒に逃げる共通性が見事。これはもう歌ありきにドラマ作ったんかってぐらいに。けもなれ、是非見ていただきたい。

以上が、「今夜このまま」という一曲への異常なまでの愛でした。この曲を聞くと感情移入するわけじゃないのに物凄く切なくなる。名曲やね。

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