【ブラスタ感想②】推しがいる世界の話

昨年末に公開した雑記ですが、ありがたいことに反応をいただいたり、ゲームを新たに始められた方などもいらっしゃるなどしており恐縮してます。ありがとうございます。反応をいただけてこれほど嬉しいことはない。

前回は「遊びやすい音ゲーで主人公が何かイイ感じ、治安は悪い」という感想を約2000字に希釈しました。

もったいないので本格的にあれがあれしていく前に、一旦現状思うところを書ききっておきたいと思います。引き続きダイマというより備忘録、主観も結構入っているのでだいぶ雑多で適当です。ネタバレの無い程度にシナリオとキャラクターの話、推しの話もできれば少しくらい触れておきたい。


◆シナリオ:ショーステージと群像劇

お酒とたばこと夜の街。その中にあるのが当作の拠点、リニューアルしたてのショーレストラン『スターレス』です。ショーのキャストがレストランのサービスも務めるので、出てくる顔ぶれがそのまま主要人物になり話が進んでいきます。

スターレスの内装、すごく綺麗なんですよね。季節のイベントで装飾が変わるエントランスも素敵なんですけど、ホールにですね。でかいクジラがいるんですよ。あれが好きで。店内のめちゃくちゃ目立つところにガンと吊るしてあるんですよね。ゲーム開始直後はちょっと冷やかし程度で様子見するつもりだったんですけど、あれ眺めてるうちに「もうちょっとここにいようかな」と思っちゃったところは絶対ある。

オーナーの明らかにカタギじゃない配色と専用曲(専用曲がある)も印象強めでしたが、それ以上に初めて関係者と顔を合わせた時の「あ、歓迎されてないな」って感じは多分忘れられない。主人公に当たりが強いというより(事情があれなのでそれもなくはないけど)全体的に漂うそういう気質を開幕であてられた覚えがあります。

シナリオ形式は群像劇。各章で特定のキャスト(キャラクター)に焦点当てつつ、個人あるいは所属チーム同士で勝敗を争うかなり強めの攻防が繰り広げられています。最新シナリオは概ねキャストorチーム対決を主軸に置いたイベント形式になっているので、ストーリー最前線では各陣営を推したいユーザー各位の頑張り次第で勝敗もその後の話の流れも変わります。イベント終了ギリギリまで勝負が拮抗していた対決もあったので、そういうのも見どころとしては強いかもしれない。

もちろん対決後も勝負がなかったことになることもなく、後日の会話で結果が引き合いに出されたりするのも「おっ」と思うポイントだと思います。まだ観測できていませんが、高みにいても負けたら本当に蹴落とされるっぽい。そうなると大筋も変わってきそうだと思うんですけど、シナリオ何パターン用意されてんだ。


◆キャラクター(キャスト)のこと

曲者揃いの属性揃い、みんなして素性不明って感じです。なんなの。でも誰の何も分からないところから人づてに情報を聞いたり、各ストーリーで人物像が見えてくる過程は素敵だなと思うので結構好きです。ガチャ排出系統のストーリーも満足度の高い仕上がりで、どれも印象的+細かい部分の言い回しも上手かったりするのでやっぱりシナリオとテキストがうまいんだなあ。

みんなが仲良しってわけでもなくて、人物によっては穏便でも、流れが悪ければその気がないのに大局で勝負の場に引きずり出されたりするところが大変いいなと思います。そもそも一枚岩でない上に、誰もに意地と矜持があるから一回あたると絶対譲らないところも生々しくてなんか好き。でも油断してると流れで裁定を任され……なんてことも割とあるので、推し同士の対決をジャッジすることになったプレイヤーもあるんじゃないかと思ってます。こわい。明日は我が身。

イベント関係なくても相性悪い顔ぶれ同士だとちょっと顔合わせた時に突然煽るし喧嘩になりそうだったりするから、組み合わせを覚えてくるとアッこのふたりは……今日は仲良くやってくれよな……みたいな気持ちを味わうことができる。それもそれで趣があると思います。

主人公に対しては多少差はありつつ、ちょうどいい他人って感じの立ち位置で。他人~顔見知り程度の仲って可能性があって最高じゃないですか。距離感にも各々の性格が見えてすごく良いなと思ったり。立場上程々に大事にはしてくれるんですけど、なんせ他人なのでタイミングが悪いと壁とか距離を感じたりもするところがあからさまに分かって良いんですよね。語りたがらない過去や隠しごと、主人公(=プレイヤー)が背伸びしても見えないところにある感情っておいしいから好きです。


◆主人公のこと

でかいライオンがうろうろしてるような場所にどう理由をつけて放り込まれるのか楽しみにしていたんですが、圧倒的そこらへん感を感じる主人公の印象に対して導入がだいぶマイルドだったので良かったです。(※感じ方には個人差があります)

一般人なのに地下っぽい世界に紐づいたのも縁あってのことらしいんですけど、今のところそのあたりはまだ判明していないはず。

言葉はあれど、かすかにガワっぽくて概念の匂いがする主人公、好きなんですよね。器に空きが多いとその分自分で補完しやすいので、そういう余白は好きです。

主人公の余白、プレイヤー的には遊んでて乖離を感じにくいから好みなんですけど、全く存在しないのも物寂しい……みたいな引っかかり方をするのでさじ加減が難しいんですよね。その辺は制作サイドのシナリオの回し方が本当に上手くて、個人の詳細が「あるけどない」みたいな仕上がりになっている印象があります。聞かれはするけど答えるタイミングがないんですよ。触れられないわけじゃないところがすごくいいし、そういう伏せ方も設計的に上手いなと思っている。nullと0の違いは多分大きい。

対決イベントが多いシナリオ構造ですが、どちらにも肩入れすることなくちゃんと理由をつけて(違和感なく)中立に立てているところも好印象です。
推しが噛んでるとそのあたりの齟齬で苦しむことになりそうなんですけど、そのエモもゲーム体験になりそうな勢いは正直すごい。うまいなあ。

でも絶対しんどいでしょ。推し、頼むから穏便にやってくれ……


◆推し(ソテツ)のこと

ついでにちょっとだけ推しの話も。ブラスタ始める前まで遊んでいたゲームだと、特に良いなと思ったのがこんな感じで。

・クロード(FE風花雪月)
・ギリアン(VA-11 HALL-A)
・ガチョウさん(Untitled Goose Game)

この辺りが最高にすきです。ガチョウさんこの並びに混ざっても堂々としてて最高すぎる。素性不明で抜け目なく賢いタイプにやらかしを添えたような顔ぶれですが、そういうわけでブラスタだとソテツがなんかめちゃくちゃに刺さったんですよ。並べてみると好みの傾向が見えてくるのちょっと恥ずかしいな。ブラスタを知ったtwitter広告もソテツだったので顔の好みはもう察して。キバナさんもいいよね。

以下、完全に私見です。

おおらかなアウトロー(公式紹介文より)。
>流れが悪ければその気がないのに大局で勝負の場に引きずり出されたり
流れを悪くしたりするタイプの推しです。煽ってどんどん焚きつけるのがとくい。あの悪い感じ最高に好きなんですよね、何が起きるか分かっててやってるの。どうも過程や現象を楽しんでいるフシがありそうで、どうなろうと面白かったら良いらしい。ガチョウさんじゃん(ガチョウさんではない)

完成度が高いのにゆるくて人懐っこいの最高すぎる。掘り下げると賢いことが分かるんですけど(推しポイントここです)、性格的に雑なところは絶対あるので前回ご紹介したような壮大なやらかし案件も味わい深くていいんですよね。推しに対する許容値がゆるいのでまあ元気そうだったらなんでもいいか!!!みたいな気持ちになりがちなところはかなりある。ステータスのボーカル値が低いのも推しポイントだよ。でも見たもんハロウィンでちょっと歌唱してたでしょシンガーじゃないけどほんとに聞いたもん 絶対聞いた。ほら見て(見えない)

何にしても顔が良い上にプレイヤーが意表を突かれるのに弱いので「こ、こいつ!」ってなる度に死角から出てきて刺されたくらいの気持ちになるし、物攻が高いので一回あたりでも轢かれたくらいのダメージが入るところが大変健康にいいなと思っています。床は舐めるもの。

他にも気になるところや「こうでは?」みたいなのもあるんですけど全然まとまらないので、別の形で何かに落とし込むことになると思います。

公式紹介動画の「アゴヒゲは封印」の一文はすごく気になるので、どこかのタイミングで話題に出てくれるといいなあ。


◆余談の余談:「正しい人生」はない

テキスト周りには全幅の信頼を置いているんですが、シナリオの各話の題も見どころで、お気に入りのタイトルに『「正しい人生」はない』というものがあります。

キャストが言外に語ることがそのままタイトルになったような印象を受ける内容です。個人的にオススメしたい回なのでまだの方は是非。

そんな感じで手触りの良さを実感している良いゲームです。継続性ありきのソシャゲの仕様でのこの風合いのシナリオは、個人的に今までないものだったので結構大喜びしながら遊んでます。

一瞬で喧嘩が始まるときのBGM、かっこいいので作中で是非。