君の夢を見たよ

いつかの未来にいる君の、夢を見た。

 夢の中の君は素敵な人に出会って結ばれていた。
 買い物帰りの君の荷物は
 オシャレな洋服屋さんの紙袋から
 スーパーのビニール袋に変わっていて、
 クルクルとカールしていた髪は
 きちんと後ろでまとめららていた。

大人っぽくなって、落ち着いて、
そんな君を、夢だけれど見ることができて、
私は本当に嬉しかった。

 大切なものが、たくさん増えたんだね。
 大切な人に出会えたんだね。

そう言った私に、君は黙って微笑んだ。

そういういつかを、私はずっと願っている。
だから、夢にまでみてしまったのだろうか

叶わない夢を、見るのは辛い。
君はもう、私に向かって微笑まないし、
あんな風に、スーパーの袋を持って誰かの待つ家に帰ることもない。

それどころか。

もう2度と、君の姿をみることさえできない。
世界中どこを探したって、
もう会えることはない。

ねぇ、とても大切だったんだ。
君を、大切に思っていたんだ。
どうしてなんだろう。

君はいつだって優しかったのに、
世界はあまりにも理不尽だ。

君の未来を願うことは、もう何の意味ももたないと知っているのに。

それでも嘘であってほしいと思ってしまう。
いつか君が帰ってきて、
私の見た夢みたいに、誰かを愛して愛される。
そんないつかがくればいいと、思ってしまう。

いつかの未来の、夢を見たよ。
いつかの未来にいる君の、夢を見た。

ごめんね…