見出し画像

90日間 ヨーロッパ放浪記 7 ~ナポリへ~

旅とは旅立ちの連続だ。僕はこの旅で初めての移動を経験する。ローマからナポリへ。いざ。

ローマの観光を一日だけで切り上げたのには理由がある。そう、ローマには再び戻ってくるのだ。イタリアは長靴型と言われる形の国だが、ナポリはちょうど長靴のかかと辺りに位置している。一筆書きでヨーロッパ一周を目指すこの旅で数少ない重複都市がローマなのだ。

レールパスは買わない

ローマからナポリへの移動は電車を使う。ヨーロッパの電車旅には電車が乗り放題になるレールパスがいくつかあった。適用条件はあるものの、基本的にレールパスだけを持っていれば良いと考えると気が楽だった。

しかし、僕はこのレールパスを使っていない。最大の理由は費用だ。日本にも新幹線乗り放題とか、青春18切符といったレールパスがある。しかし、元を取れるほど安いだろうか?僕の答えはNOだ。当時もいくつかシミュレーションをしてみたのだが、各鉄道会社にはweb割引なども多く、正規料金で比較をすると高額だが、実際に割引料金を適用するとかなりお得になるケースが多いのだ。日本の場合は普通車、グリーン車くらいの料金違いだと思うが、時間や予約方法など多彩な割引が存在していた。旅行者の方は面倒がらずに是非比較してほしい。

もう一つの理由は、レールパスを買うと鉄道に縛られるということだ。レールパスを持っているのにバスを使ったり、もしかしたらレールパスの範囲外に行きたくなるかもしれない。そうした時、僕はきっと損をした気になるだろう。自由を大事にするこの旅において、そうした感情は持ちたくなかった。その都度最安を考慮し、自由に旅をするのだ。

ローマ発ナポリ行き列車

正直なところ、電車の記憶はあまりない。ただ、とても緊張をしたことは覚えている。異国で電車、バスに乗るというのはそれだけで勇気のいる行動なのだ。ローマに来て驚いたことは、まず改札がない。切符を買っても誰も確認しないのだ。乗ろうと思えばフラッと駅に入り、そのまま列車に乗ることが出来てしまう。これには慣れるまで違和感がすごかった。これで良いのだろうかと不安になる。そして電車が汚い。落書きがすごいし、むしろ落書きをされていない面積のほうが少ないくらいだ。日本は治安が良いのだという事実を実感する。

ナポリまでは約1時間半の列車の旅だ。日本の通勤電車ならいざしらず、異国の田園風景を眺めてつまらないはずがない。移りゆく車窓の景色に飽きることもなく、列車はナポリに到着した。

南部の都市、ナポリ

ナポリに到着すると早くもローマとの違いを感じる。ナポリのほうが雑多で明るい感じがある。これはある程度共通の法則なのだが、基本的に南のほうが明るい、安い、適当になる。逆に北の国は暗く、高く、しっかりしている傾向だ。気温や天候は確実に人の行動に影響を及ぼす。旅を通しての感想だが、僕は南部が好きだ。イタリア南部も良かったし、スペイン南部も素晴らしかった。日本でも北海道と沖縄で人柄が異なるが、外国でも同じということだ。

続く。。。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?