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あるTEDDY BOYの話

数年前に、SNSで1つの動画が目に飛び込んできました。それは毎年開催されるアメリカの「世界最大のロカビリーウィークエンダー」、VIVA LAS VEGASのダンスコンテストの場面。

決して若くは見えない、ラスベガスなのにTEDDY BOYの正装でBOPする男性。SNSは便利なもので、数日後には彼にコンタクト取る事ができました。

彼の名前はJOHN WHITEBREAD、もちろんイギリスの現役TEDDY BOY。ただ、彼はミュージシャンでもDJでもなく、1人のロックンロールファンに過ぎないはずですが、何故か彼に惹かれて何気なくチャットでインタビューしたのでご紹介しますね。


今年68歳だよね?TEDDY BOYやロックンロールのシーンに参加したのはいつ頃なの?

そう、7月に68歳になったよ。シーンに加わったのは16歳だね。

もう50年以上だね!

でも子供が小さな頃はシーンから離れていたからさ。

70年代初期のロッキンシーンはどんな感じだったの?

俺が住んでいるエリアの沢山のTEDDY BOYS達は皆週末になるとSOUTHENDのLONG BARってクラブに集まって遊んでたね。CRAZY CAVANやFLYING SAUCERSのギグを観にいったりさ。

WILD ANGELSとかも?

そうだね。

LONDONには遊びに行ってたのかな?

HACKNEYのLYCEUM BALLROOMやADAM AND EVE PUBにはよく行ったよ。その頃俺はFORD MK3 ZEPHYRを持ってたから仲間を乗せてね。

当時、バンドと言えばCAVANやFLYING SAUCERSが有名だったと思うけど、DJはどうだったの?

よく覚えてるのはLITTLE PETEかな。残念ながら自動車事故で亡くなったんだけどね。

SOUTHENDには他にもTHE CRICKETERS PUB、QUEENS HOTELやMINERA PUBがあった。俺たちがいつも夜中まで遊んでいたBAZ’S CAFEかな。

そこには沢山の若者が集まってたの?

そう。LONDONから来たTEDS達も終末はそこで過ごすんだよ。酒とロックンロール、ダンス。

ダンスはどうやって覚えたの?

他の人が踊ってるのを見て、自己流で踊ってるだけだよ。若い頃はもっと動けたんだけどね。(笑)

奥さんも元々TEDDY GIRLだったのかな?

出会った頃はそうじゃなかったけど、一緒に過ごすうちに彼女もロックンロールが大好きになったね。ダンスもそうだ。家で音楽聴いたり一緒にライブに出掛けたり。彼女もLOU CIFERやFOGGY MOUNTAIN ROCKERS、CORRUPTEDなんかが大好きなんだよ。


カッコいいよね!

そう、だから何度もドイツに旅行したよ。

話は戻るけど、SOUTHENDはどんな場所なの?ロンドンのTEDSもよく行ってたと聞くけど。

ロックンロールな街ってわけじゃないけど、海沿いにアミューズメント施設、ゲームセンターなんかが沢山あるんだ、もちろん飲食店もね。だからロンドンの人間に限らず遠くの人々が沢山遊びに来るんだ。

そういえば最近はまたバイクを楽しんでるよ。

John Whitebread


これ、最近の写真なの?

そうだよ。

カッコいいね!TEDS & ROCKERSだ。

俺は14歳からグリーサー、最初にドレープを買ったのは17歳だったよ。

70年代は他のユースカルチャー、たとえばパンクやモッズ、スキンズとは関わりがあったのかな?

いや、全然無かったな。

完全に別れてたのかな?

そんな感じ。

暫くCOVIDの影響でイベントやギグも減ったと思うけど、最近は若いバンドも出てきてるのかな?

そうだね、去年まではウィークエンダーも減ってたよ。若いバンドはあまりいないけど、FURIOUSやフランスのEVIL TEDSはいいね。最近は若者の登場よりも古い仲間が死んでしまう事の方が多いよ。


日常会話的なやり取りで物足りないかもしれませんが、当時をイメージする素材の一つにでもなれば幸いです。特に、他のユースカルチャーとの関係性について(特に日本のメディア)は「対立」や「相互嫌悪」を煽ったりしますが、現実的には各々のシーンが大きく、まさに「他に関わることなく」楽しんでいたのではないでしょうか。もちろん人間ですから好き嫌いはあります。しかしそれは「⚪︎⚪︎⚪︎だから嫌い」ではなく、「嫌いな相手が⚪︎⚪︎⚪︎」が大半だったかと。サブ/ユースカルチャーを面白おかしく伝えたいのかもしれませんが、「音楽カテゴリー差別」に繋がるような煽り方は今後控えるべきでしょうね。

また思いつきのショートインタビュー、機会があればご紹介しますね。

今日はこのあたりで。
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