烏 × タルト

いつもと変わらない仕事日和
毎日毎日同じ書類整理
作業に没頭して、呼吸もできていたか危う
いほど集中していて。
ふと、息を吐(つ)いた。人間性を取り戻してようやく気がついた変化

いつ入って来たのか
電気は点いていても薄暗さを感じる部屋の、ソファーに腰掛け、脚を組み、口元を手で隠しこちらを見つめるそいつが居た。
いつも子犬のパーカーを着て、子犬のようにはしゃぎ、辺りの奴らに甘えまくってる奴が…
おしゃれなスーツに身を包み、静かな…怒ってるようにも見える眼差しでじっと俺を見ていた
いつから居たのか

「どうしたん。」
一息吐いて集中力も切れた事やし構ってやるかと
気楽に考えていた

「…」
話しかけても姿勢は変わらずただじっと見てくるだけ
「なんかあったんか?おいで?」

数秒して、ゆっくり立ち上がる姿も、普段の幼さからは想像つかないほど大人びて、格好良いかよと思ってしまう
相変わらず怒ってんのか悲しいのか解らん表情で
「仕事は。」
と一言。声もいつもより低い。哲学者モードなんか?何か考え込んでんのか
「一区切りついたで休憩するわ。めっちゃ集中しとっていつの間にか薄暗くなってもうてるやんwお前がいつ来たんかも気づけんかったわ。」
「…」
執務机を回り込んで俺の座る椅子の前まで無言で来る。いつものように抱っこしたる意で腕を広げる
前方に、脇あたりを支えられるように手を伸ばすが
「…?」

その手首を優しく掴まれ移動させられる
頭の上に
片手とは思えんほど強く、両手首を椅子に、俺の頭上に縫い付けられ
椅子と腿の隙間に膝をついて覆いかぶさって来る
「…なn」
 

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