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歩行周期 Mst(ミッドスタンス)について

歩行周期 Mst(ミッドスタンス)について

Mst=始まり:反対側の脚が地面から離れた瞬間 終わり:観察側の踵が床から離れた瞬間

臨床ではこのMstの時に一番問題が生じているイメージです。
例えば、骨盤が外側へ逃げてしまう「側方sway」や骨盤の非支持側が下制してしまう「トレンデレンブルグ」などこれらが原因で膝や股関節に症状が出やすくなります。

Mstの特徴として、

・安定性
・前方への動きの維持

この2つです。

安定性とは、Mstは「片足」になります。つまり単脚支持です。歩行周期で単脚支持はMstとTstのみになります。

片足になるということは支持基底面が小さくなります。
支持基底面とは体重を支えるために必要な床の面積を言います。
右足で立つときに、右下肢、骨盤、体幹、上肢、頚部などをいかに収めるかが非常に大切です。
高齢になると、関節症の進行や筋力の低下が起こり支持基底面の中に体を保持させるのが困難になります。その為、先ほども記したように側方swayやトレンデレンブルグなどで動きを代償させようとするのです。

2つ目は前方への動きの維持です。
LRの時は膝関節で安定性を保っていましたが、Mstになると膝関節から安定性は足関節に代わります。その理由としては、床反力が関係しています。LRでは床反力ベクトルが、足関節の後方、膝関節の後方、股関節の前方を通過していました。つまり、外部足関節底屈モーメント、外部膝関節屈曲モーメント、外部股関節屈曲モーメントが発生します。

それぞれの関節はこの力に耐えようとして内部のモーメントが働きます。この時頑張っていたのが大腿四頭筋です。膝が屈曲しすぎないように伸展方向へ力を発揮しています。その為、安定性は膝に依存していたのです。

それがMstでは股関節、膝関節の床反力ベクトルによるモーメントアームの向きが変わるり、膝関節の前方を通過するので大腿四頭筋の活動が不要になります。

そしてその後、足関節の前方を床反力ベクトルが通過するので(外部足関節背屈モーメント)この活動に対抗するために下腿三頭筋が遠心性収縮をします。

さらに、アンクルロッカー機能が働きます。アンクルロッカーとは、距腿を中心に振り子運動のように重心を前方へ移動させることです。

これらが前方への動きの維持に繋がります。

【まとめ】
・Mstを確認するときは片足の肢位は?前方へ重心はうまく乗っているのか?など確認する

・アンクルロッカーが上手く行えているのか確認する

参考文献

・観察による歩行分析

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