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マリモの神秘さと面白さ

本日3月29日はマリモの日だそうです。1952年に阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定されたのが由来となっています。マリモは淡水に生息する藻の一種で、丸く集合する性質があることから珍しがられます。更には生息条件が厳しく、寒い地域でしか生息できないようです。マリモをお土産に買うと、冷蔵庫に入れるように言われます。

マリモというのはあらゆる意味で神秘的な存在だと思っています。まずはマリモの希少性についてです。マリモは寒い地域の特に大きな湖でしか存在を確認できていないようです。滋賀県の琵琶湖にもマリモは存在するそうですが、岩に張り付いて生息するらしく、私たちが想像する丸くてコロコロとしているマリモとは印象が異なります。マリモが生息する南端と言われているのが富士五湖のフジマリモですが、フジマリモは阿寒湖の物とは別種だそうです。マリモは植物でありつつ生息域を広げていくような増殖の仕方はしません。それでなお阿寒湖と富士五湖という遠く離れた場所でそれぞれ独自に進化しているというのは興味深い点でもあります。

マリモの形状についてもよく出来ていると感じます。無駄のない球体でありつつ、色も深緑で落ち着いています。その落ち着いた雰囲気は侘び寂びを感じさせ、日本の美術文化を彷彿させます。小さな藻が蓄積されて大きな藻に育っていく性質は「塵も積もれば山となる」「石の上にも三年」なんていう長年の努力と忍耐を美徳とする日本人の感性にも合っているのではないかと思います。

また、商業的な視点でも面白いと感じています。阿寒湖のマリモは地元の方にとっては珍しくも何ともない日常的な植物だったようです。それが珍しいと分かり、国の天然記念物とされていいく中で観光資源へと育っていきました。当たり前のように存在していたものが観光資源となるのはどのような感覚なのでしょうか。昨今はアニメやドラマの舞台が「聖地」とされて価値が急上昇する現象が度々起きます。それと同列に扱うのは天然記念物に失礼な気もしますが、釧路の方々にとっては非常に喜ばしい出来事だったのではないかと思います。

そしてそんな神秘的で侘び寂びすら感じるマリモを題材にしたキャラクターで有名なのがマリモッコリです。説明するまでもないと思いますが、男性の股間のモッコリとマリモを掛けたギャグを模したキャラクターです。端的に下品です。2005年に登場した当初は物議を醸しましたが、結果的に今もなお現役で著名なキャラクターの1つとなっています。マリモの魅力を正面から破壊するキャラクターコンセプトのギャップが面白く、それでなお「可愛い」のだそうです。面白いことを考える人がいるものです。

マリモについて調べながら、しばらく旅行に行ってないなと耽っていました。阿寒湖は何となく遠い印象がありましたが、釧路空港を使えば東京からもそこまで遠くは無いようです。羽田や成田からは1時間45分、空港から阿寒湖まではバスで1時間程度だそうです。何か気軽に行ける気がしてきました。暖かくなったら家族旅行として行くのも悪くなさそうです。

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