初障害の基礎知識

障害競走の深みで競馬を楽しんでる皆様こんにちはこんばんわ。
今回は去年の障害成績を用いて、初障害馬の取り扱いをお話していきたいと思います。まずは大前提の基礎知識編から。去年1年(2020)の初障害馬268頭の出走データからみていきます。
まずは全体の成績を見ておきましょう↓

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【1.前走クラス別成績】

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 去年未勝利から出走してきた初障害の馬は0-0-0-40。全くのノーチャンスでした。血統面、試験時計の面で見所があっても、平地力がない馬の初障害は厳しい、というのはわかりやすいですね。あくまで「初障害」に限りですが、個人的には大きくずれない部分かと思います。内訳でみても関東馬26、関西馬14と関東と関西の比率が倍近く違いますが、これは純粋に能力が低い馬が(転厩とかで)多めの関東、という側面があると思われます。
 その上をみていくと、1勝クラスでもやや割り引くかなといったところで、2勝クラス~オープンはほぼ横ばいの成績(オープンクラス合計は1-3-1-18/23で勝率4.3%連対率17.4%複勝率21.7% ※ただし前走海外のスズカデヴィアス含めると2-3-1-18/24でもう少し上がる)となっています。それでいて人気が2勝クラスとオープンに関しては2:1(平均人気7.4:3.9)前後になることを考えると、回収値の面で大きな差になります。妙味は非常に薄いのは留意したい所。②

①未勝利からの転戦組は基本厳しい(関東はより厳しい)
②3勝クラス~オープンは過剰に人気する傾向。能力はあるが回収値的な面でいうとうまみは少ない

【2.前走距離別成績】

芝ダートを含めた距離別下記となります。

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回数的にやや足りないかなとも思いますが、全体の傾向として長距離>中距離>短距離なのは間違いないところだと思います。③
 とはいえ2100m以上に関しては複回収値が大きく下がる傾向にあるので、その辺は留意したい所。もう少し細かい部分でみていくと

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芝の成績↓

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ダートの成績↓

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となり、若干ダートのほうが良い成績で、ダートの中距離(1601~2000m)は全体の中でも特に高い数値となります。④
 逆に芝の中距離(2001~2400m)は成績こそ良いものの、回収率が非常に悪いので注意が必要です。人気程には結果を残せてない馬が多い。⑤

③長距離>中距離>短距離で好走成績となる。短距離出身は特に厳しい。
④ダートの中距離は複勝率、複勝回収率が高いので注目

⑤芝の長距離実績馬は非常に人気になりやすいが、成績としては飛び抜けて良いわけではなく、回収率はかなり低い。

【3.前走斤量】

 気にしない人が多そうなポイントですが、実はここもかなり重要となります。前走斤量においては下記成績↓

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 53kg以下では勝ち馬は1頭も出ませんでした。⑥
 回収率が高いように見えますが、12番人気の馬が1頭絡んだ(複勝¥3,890)のが要因としては大きいところ。また馬券に絡んだ3頭共に固定障害戦だったことを考えても、スピードの問われない条件だったのも影響しているかな。個人的にはかなり割り引きたい条件にみえます。また上記に関連する事項として前走減量騎手だった場合ですが、

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上記の通り壊滅的です。減量騎手を乗せる馬は、当然斤量減によるパフォーマンスアップが期待されている馬ということで、斤量が大幅に増える障害競走、少なくとも障害初戦では凄いパフォーマンスダウンとなっている可能性が大です。⑦

⑥前走53kg以下については割り引きが必要。
⑦前走減量騎手を乗せていた馬は斤量増で大きくパフォーマンスを落とす可能性が高いので注意。

【4.コースグループ】

自分が集計しているコースグループ毎の成績が下記となります。

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ローカル置き障害(新潟、福島、中京)
ローカル固定障害(小倉)
本場固定障害直線ダート(中山、東京、阪神、京都)
での区分けとなります。わかりやすく固定障害>置き障害となっています。⑧
 ここも認識がズレている人が多いかもしれません。基本的にはスピード競争になりやすい置き障害は、初障害では不得手とする馬が非常に多いです。また置き障害で飛ぶのが簡単とみて障害飛越が苦手な馬が使ってくる傾向にあり、上記スピード競争+飛越下手の相乗効果でかなりの馬が厳しい結果となります。ここを一発で勝ち上がった馬は、去年で言うとトゥルボー、スズカデヴィアス、レンジストライク、グローブシアター、ナンヨーイザヨイとなります。当時の人気は置いておくとしても、のちに3頭がOPでも勝ち星を挙げており、結果的に能力が高かったとみる必要があり、上記の馬相当の素質が要求されると思っていて良いかと思います。⑨
 逆に直線ダートの固定障害戦に関しては低速帯の競争になりやすいので、飛越さえある程度なんとかなれば直線ダートで飛越がないのも含めて初障害馬にとっては対応しやすいのは間違いないと思います。また障害競走において大きなレースはほぼ固定障害なので初障害においても有力馬が揃いやすい側面はあります。

⑧初障害では固定障害>置き障害で、置き障害は特に成績が悪い。
⑨置き障害を初障害でクリアできた馬は、障害適性が大の可能性が高い。(馬券圏内でも評価はあげたい)

【5.人気】

 去年1年の平地競走の上位人気成績↓

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 去年1年の障害競走の上位人気成績↓

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 去年1年の障害競走の初障害馬の上位人気での成績↓

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 初障害の人気は基本的には過剰です。1~3番人気での複勝率は20%前後落ち、1~5番人気であれば複勝率が10%落ちます。ただ単勝に関しては勝率こそそれぞれ5%前後下がりますが、単回収率はほぼ誤差前後の範囲なのをみても、悪くない成績です。⑩

⑩初障害の人気を連軸にするのは危険。ただし、人気となる根拠があり、それに答えられるだけの単回収率があるので、単を買うのはあり。

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