「ピッチ」に立てるということ。

 先日,ニュースにも多く取り上げられたので知っている人もいるかとは思いますが,鹿島アントラーズの内田篤人選手が現役を引退することを発表し,先週の日曜の試合をラストマッチとしてピッチを去っていきました。内田選手はプロ人生を鹿島アントラーズでスタートしたということもあり,みんなの中にも「うっちー」の愛称でよく知っている人もいるのかな?ドイツのシャルケというチームで日本人最高となるチャンピオンズリーグベスト4の試合に出場するであったり,日本代表としてW杯を戦うなど日本のサッカー界に多くの功績を残したサッカー選手の1人です。そんな内田選手が今回,32歳という若さで引退を決断するに至った大きな要因は「怪我」との戦いです。僕もサッカーをやっていたのでよくわかりますが,スポーツ選手というものは常に怪我と隣り合わせで日々戦っています。これはある程度防ぎようのない部分が非常に大きいものです。もちろん障害予防などを含めたフィットネストレーニングなどといったものもありますが,怪我しないことを約束するためのものではないので絶対に怪我をしない状態というものは存在しません。例えば僕も試合中に顔面から血を流したり,頭どうしをぶつけて脳震盪になって救急車が来たり,膝どうしの衝突で膝が変な方向に曲がったりしているのも目の前で見てきました。サッカーはかなり格闘技チックでより怪我のリスクも大きいスポーツのひとつだと思います。今回,内田選手が抱えた怪我,それは「膝」の故障です。イメージが湧きづらいかもしれませんが,この「膝」の故障は癖になりやすく,選手である間ずっと向き合わなければならなくなる精神的なダメージも,もちろん体に与える負担も非常に大きい怪我なのです。特に内田選手の場合,手術までしているのでかなり事態の重いものだったことが分かります。リハビリもかなり長く続き,約2年ピッチに立つことすらできないという時期もありました。つまりスポーツ選手として資本となる「からだ」が思うような状態でなかったということです。

 

 今回,伝えたいことは「ピッチに立てるありがたみ」と「本当の強さ」の2つです。いま僕たちは第一志望校を受験するという勉強のフィールドで考えるのであれば,何も考えずにピッチに立てています。ただ,これが当たり前のことではないということ。例えば,塾に通うことのできる環境。ちゃんと飯が食える環境。勉強ができるという環境。これって当たり前に見えて本当はとてもありがたいことでそれだけでも望んでいる人が実際にいるということをもう一度考えてみてほしい。ピッチに立てるだけで幸せなんだなというまあいうなれば「原点」に立ち返ってみてほしい。宿題や学校のテスト,日々勉強に追われるこの環境はとても素敵で,君たちの中で当たり前になっている1番当たり前じゃないことなのです。また,そんなピッチに立てないそんな状況から「去る決断」をする本当の強さ。実はこうやってピッチに立ちたくても立てない,ピッチを去る瞬間を決断する必要のある人もいるということ。自分が本当にやりたいことの一線から離れなければならないことだってあるということ。そして,その決断をする精神力。そういったものが世の中に存在するということは知っておいてほしいかと思います。そういった意味でフィールドは違いますが,学ぶものが大きいニュースだったかと思います。あまりサッカーに興味のない人もいるかもしれませんが,ぜひ内田選手の引退のスピーチやニュースなどで特集を組んだものに見てみてください。この勉強に打ち込める環境や去ることを考えなくていい環境に感謝しながら取り組んでいこう。

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