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地方創生の現状と課題~地域インターンに参加してみて~

はじめに

ここでは、地方創生とは人口が集中する大都市圏と比較して人口減少、少子高齢化などの社会的課題に直面する地域を再興しようという取り組みを言います。

そのため、現在、地方では人口減少に伴う農業従事者の減少、少子高齢化も相まって、引き継ぎ手の減少が大きな課題になっていますよね。農地が広く、日本の自給率を支えているのは主に地方なので、地方創生のメイントピックは農業関連でしょう。

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今回は地方創生の中でも、農業に焦点を当てて、自身のインターンシップ経験を基に今後の展開にも触れていきます。
このコラムを読んで、一人でも農業に興味を持ってくれたら嬉しいです。

地域インターンに参加してみた

私は大学2年の時に地域インターンというプロジェクトに参加しました。
そこでは、主に大学生と地域の方でざっくばらんに話し合い、両者の合意のもと赴く地域を決めます。

その後、実際にその地に赴き1週間から1ヶ月に渡り活動します。私は約3週間新潟県長岡市の一之貝という地域にお邪魔しました。

突きつけられた課題

 合意のもと参加した地域インターン。その地域の方の「地元を元気にしたい」という熱意を感じ、私も「地方創生したい」と思っていたのでその地域のインターンに行くこと決めました。

それが決め手となってその地域に足を踏み入れたものの、その地域では「地域を盛り上げたい」という気持ちが1つではないと感じました。
その地域にある約200戸の一軒一軒を回りお話を伺いました。

この地域でも地方の課題が如実に表れていて、地元の子供は片手で数えられるほど。小学校は廃校となり、市街地まで毎日バスや車で通学していました。
農家の方のほとんどはお年を召されており、足腰が悪く仕事としてちゃんと従事できない方もいました。表向きには、「農業したいけどできない」「農業を継承したいけど、継承者がいない」という風に見えました。

これは地方創生の根本課題と同じですが、私が訪れた地域では一概にこの課題を解決すべきなのかとも考えさせられました。

「農業は仕事。ずっと続けてきたものだから、わしが死ぬまで続けて行きたい。けど、孫には引き継いでもらわなくていいと思っている。もうこの土地も50年100年後残っているとは限らないからね。」

このような言葉をあるおじいちゃんにきいた時、とても複雑な気持ちになりました。大学生の自分がこの方に何ができるのか。この土地に来た理由はこの地域を盛り上げようと思ったのに、その土地の人はこの地域が再興すると思ってない。

何をしにこの土地に来たのか…

当時その土地の人でもないのに、「あなたの土地をもっと元気にしましょう!」というのは何か違うなと感じてしまい、何も言えませんでした。

ビジネスの1つの成功例

時同じくして、みなさんご存知かもしれませんが、ジョブ理論という本を読んでいました。
ジョブ理論では、顧客のジョブ(仕事)を解決することがサービス、モノを提供する価値になるという考え方が根底にあります。

例えば、アメリカの道路沿いに店舗を出すミルクシェイク屋さんは顧客のどんなジョブを解決しているのでしょうか。

ただミルクシェイクを飲みたいという気持ちを満たしてるだけではありません。答えは1つではありませんが、例えば、出勤までの1時間車の中で退屈を紛らわすのにちょうどいいドロドロ感と量があったのです。ミルクシェイクはその退屈を紛らわすというジョブを解決していました。

今回、先のおじいちゃんのジョブは何か?今いかにラクに農業しつつ、でも生きがいだからある程度のやりがいを感じたいというモノでした。このジョブと地域を盛り上げること両方を満たせる解決策が思いつかなかったです。

孫の代わりに自分がその土地に住み込みの作業を手伝うことはできなかったわけで、当時の自分はまだまだ未熟でした。

・地方創生の企業の取り組み例

今、社会人になる手前、上記の心境に少し変化がありました。
それは、ドラマ下町ロケットのシーズン2を見た時でした。
ある地域の農業復興に関して、農業ロボットが活躍する未来は近いみたいですよね。

農業再興について、クボタやソフトバンクが積極的に実施しています。
クボタの自動運転農機、ソフトバンクのe-kakashi などがいい例ですよね。これらの技術は農業をラクに、農業ノウハウのない初心者でも簡単に農業を始められるようにする。
農業をすることが楽しみと思う人が増えれば良いと考えているみたいです。

(参考)
・ソフトバンクのビジネスWEBマガジン農業IoT最前線
https://www.softbank.jp/biz/future_stride/entry/technology/20190829/
・リアル下町ロケット! クボタのロボット農機が世界の農業を救う
https://guidetokyo.info/history/company/00024.html

まとめ

ITで地方創生を図る企業、地方創生を国が施策として進める一方、農家の中には、ITを導入してまで、農家を続ける必要性に違和感を覚える方もいました。

地域復興は農業技術の向上だけでは不完全です。また一時的な施策では長期的な解決策になりません。地方創生に成功というのはなくて、いつまでも元気な地域を作りださなければならないでしょう。
だからこそ、その地域に愛着を持つ帰属意識の醸成と新たに参加しやすい地域作りが求められているでしょう。