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西部警察 第75話「平尾一兵、危機一髪」ロケ地巡り・前編 ~舞台の喫茶店はセットか!?~

今回は「西部警察」 第75話「平尾一兵、危機一髪」のロケ地巡りです。峰竜太さん演じる新任刑事の平尾一兵(ひらお いっぺい)が初登場する回です。「西部警察」DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は、ぜひ本稿と併せてご覧ください。
いつもの通り、ネタバレを含みますのでご容赦を。間違いなどあればご指摘も歓迎します。

▼ロケ地巡り・後編はこちら▼

レンジャー部隊出身という平尾一兵の経歴はその後あまり役に立たず!?

今回紹介するのは西部警察 第75話「平尾一兵、危機一髪」。

平尾一兵(ひらお いっぺい/演:峰竜太)は、国際刑事警察機構インターポールに栄転した桐生刑事に代わりやって来た期待の新人。防衛隊(同作品内では自衛隊をそう呼ぶ)のレンジャー部隊出身で刑事に転身したという異色の経歴ながら、そんなハードボイルドさは微塵もない軟派ぶりを冒頭から展開しています。

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ヘッドフォンで音楽を聴きながらハンバーガーをかぶりつき、渋谷の公園通りを歩くという、いかにも80年代のナウなヤング(死語)って感じのチャラい一兵。初出勤日だというのに、渋谷西武の駐車場前で見つけたホットパンツ姿のカワイ子ちゃん(死語)をついつい追いかけてしまいます。
やけに薄着なカワイ子ちゃんとは裏腹に、周囲の通行人(エキストラではなさそう)がコートやダウンを着て厚着しているのは、撮影時期がまだ冬場だったせいでしょうね(放映日は1981年3月22日)。

カワイ子ちゃん(死語)を追いかけてやって来た喫茶店、ロケ地は築地だった(笑)!?

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やって来た喫茶店「ロートレック」、おそらく渋谷の街中という設定ですが、実際のロケ地は聖路加病院にも近い中央区明石町。まさかの築地界隈でした(笑)。

撮影地となったマンションは1976年建築の地上11階建て。2022年3月の時点でしっかり現存しています。1階部分がクルマ2台分×4区画の駐車場になっていますが、撮影時にはそのうちの1区画(ポルシェ964とステップワゴンが停まっている部分)がお店となっているようです。

赤いミニコンバーチブルが停まっているところ、撮影時はいすゞ117クーペが停まってましたね。オシャレなクーペ好きが長く住んでいるのかな? などとつい余談に花が咲きます(笑)。

立てこもり犯を狙う警視庁の狙撃班が、本当の警察関連施設を使ってロケ!?

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そしてイッペイらが集う喫茶店に、斜め前の亜細亜銀行城西支店を襲った銀行強盗2人組が何の因果か立てこもる事件発生!

銀行の金庫開閉と連動する通報により、瞬く間に周囲をパトカーが包囲しますが、犯人たちはなぜか冷静なようです。
渋谷感を出すためか、背景のキャバレーのホステスさん募集看板がわざとらしく建てられていて、さらに賑やかしか、何故か日産プリンス自販の青白のぼりが道に立っているのはご愛敬(笑)。ロケ地の現在はくねくねした片側1車線の道ですが、撮影時はお店側に広い歩道もなく、車道が真っ直ぐに拡がっていました。かつてはここになにか大きな道を通す計画でもあったのでしょうか。

向かい喫茶店の向かいにある建物はなんと、警視庁の有家族者待機寮 新明石住宅! 狙撃部隊がホントの警察関連施設で銃を構えてロケしたのかと思うと、かなり感慨深いですね(笑)。

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撮影時の建物は残念ながら老朽化のため2015年頃には解体済み(写真は2014年撮影のGoogleストリートビューより/左隣の建物は1989年に竣工した中央区明石町区民館)。電話ボックスや消火栓は当時のままの位置にありますね。

2017年4月の建通新聞社記事によれば、新明石住宅は建て替えられ、2020年には完成予定とありました。ただオリンピックなどを優先したためか事情は分かりませんが、2022年3月現在まだ工事中の模様です。

ちなみに新明石住宅の左隣、亜細亜銀行城西支店と思われる場所は現在空地。その隣には、1989年に建てられた中央区明石町区民館等の公共施設があります。むむ、匂いますね。もしかして昭和の時代には空きスペース側に同様の公共施設があって、銀行という体裁でロケに使われた可能性も高そうですね。

何か情報をお持ちの方はぜひご教示を・・・。

仮説! 犯人たちが立てこもる喫茶店ロートレックはセットだった!?

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ここで推論。ロケ地となった喫茶店ロートレックですが、おそらく撮影用にセットをわざわざ建て込んだものと筆者は推察しますが、いかがでしょうか。当時の石原プロモーションなら、そのくらいわけなくやってしまいそうな気がします。ちなみに写真右で植木鉢が並ぶあたり、撮影時も同様に植物の棚などが並んでいました。

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借りもののお店でガラスを派手に割ってしまうのもさすがにちょっと豪快過ぎるし、ロケも雨の日と曇りの日(これは同じ日の可能性も)、そして明らかに別の晴れた日(移動式捜査室のシーンなど)と、少なくとも2日か3日がかりで撮っていますし…といじわるな視聴者目線でビデオを改めて見返してみたりして(笑)。

撮影に都合が良いように壁のは切り欠きもあった!?

そこでいうと、もっと細かく見返して気付いたこと。
赤いミニと白いステップワゴンの間、ロケ時は喫茶店の白い壁が建っています。ただ一瞬ですが、壁に切り欠きらしきものが見えました。くり抜いて外から室内が撮影できるよう配慮したものと思われます(ドヤ顔)! 

というのも、例えばセットの刑事部屋で撮る際、シーンや角度に応じて課長室側の壁を取り払って撮影したりしていた、というエピソードを何かで読んだことがあって。なるほどセットならそういうリアルな建物では無理な角度でも撮れますからね。今回の喫茶店なら、壁側に立たされたりしていた人質を撮る(ローアングルのカットもあった)には、壁側からでないと撮れなかったはず。と考えると腑に落ちるのです。
ちなみに喫茶店右横のちょっと手前に飛び出したマンションは撮影時建設中の様子。調べてみるとお隣は1981年竣工とのことで、撮影時はまさに完成間近だったのでしょう。

阿藤海さん演じる犯人新田の似顔絵がちょっとコミカル!?

観光バスの内装を取り払って急造したと思われる移動式捜査室車両。パイプ椅子と折りたたみテーブルという簡素な造りながら、無線や移動式電話も装備するなど十分な仕様となっています。

ここに呼ばれたアコちゃん(古手川祐子演じる団長の妹、当時まだハタチそこそこでむっちゃカワイイ!)がサラサラっと描く、主犯格の新田(演:阿藤快・当時は阿藤海)の似顔絵がまたツボなんだな(笑)。コミカルにいじられているあたりちょっと意図的。緊迫の立てこもりシーンが続く中で必要なエッセンスだったのでしょうね。

それにしてもこの移動式捜査室。これまたアコちゃんが準主役として登場する第88話「バスジャック」の回に登場するくらいで、あまり活躍しないまま消えてしまいましたね。もしかして、どこかの回でサラッと爆発破壊されたのでしょうか!?

ガゼールを駆使した巧妙な逃走シーンこそが見どころ!

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そして本編の見どころといえば…やはりこの後の逃走劇、カーアクションシーンにあります。

犯人が逃走用車両として要求したのが、課長の愛車である日産 ガゼール オープン。特注で造られた派手な1台をあえて指名する理由とは。そしてすっかり様変わりしてしまったロケ地の今についても…。

と、さすがにちょっと長くなってしまったので…続きは後編でご紹介します。西部警察 第75話「平尾一兵、危機一髪」ロケ地巡り、不定期更新ですが次回もお楽しみに!

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