絡む鎖裁ち切れ、新世界の覚醒を見ろ

彼らに絡む鎖が何を指しているのかをそこそこわかる位には、これまでの彼らの軌跡を見守って来た。

待っていた時はすごく長かった様にも感じていたけど、よく考えるとほんのたった一年足らずの準備期間で、最高のメンバー、フルアルバム、MVを携えて、ORβITはついにデビューする。信じられない早さとクオリティを両立してきた事に、今はただ感謝と感嘆しかない。

事務所を自ら立ち上げ、レーベルから全て手作りで、全てにおいて彼らの意思が行き届いている状態で、つまり言い訳のきかない状態かつ、全ての責任を背負って。本来アーティストだけをやっていれば経験する事のない裏側もやってのけ、更に表側もKPOP初心者の自分にすらわかる位トップクリエイターの方々と一緒に、最高の作品を作り上げて来た。
未だに夢なのかな?と思うくらいの、劇的なストーリーだ。

そこにどんな大変な交渉や鍛錬があったのか、詳細は想像すら難しいけど。そんな状況で余裕がある訳もなく、時には疲れ切った声や顔を覗かせたりもしつつファンへの交流も両立しながら、UNIVERSEの歌詞で言うなら正に「DO or DIE」の状態で、彼らは立っている。いつも美しくて笑顔の彼らだけど、足下はきっと白鳥のようにせわしなく動かし続けているのだろう。
コロナ禍で全員集合する事が未だ不可能でありながら、それでも7人が心をひとつにしているのがファンには手に取るように伝わっている。

とても順風満帆ではなく、波風は確かにあった。鎖と表現するに値する様々な軋轢があったのだと思う。一介のファンには知り得ない部分だってきっと沢山あったのだろう。でも、だからこそ。結束はより強まったのだと、私は思う。全てを美化することなんて出来ないししたくはないけど、どんな事もORβITの魅力の足下にも及ばなかった事だけは確かなのだ。

私はそこそこ今まで色んなジャンルの人たちを推してきたけど、こんなにいつも「想像の斜め上」のグループは初めてだな、と感じている。

ひとつひとつの選択が明らかになるたびにそう思ったけど、最初のメンバー発表からしてもそうだったことが、今は懐かしく思い出される。

最後に発表されたひちょさんが「ただいま」と言ったから、この人の帰る場所になったのだ、我々はもう家族なのだなと思った。

どんな気持ちで辞退したのかは、本人達にしかわからないけど。
「がんばってまたみなさんをあいたいです」と、最後にユンドンは書いてくれていた。
「また あいましょ。」と、ヨンフンも書いていた。
ひちょさんは最後に舞台で言った「行かないでください」。
この言葉たちを、心が怒りや闇に支配されそうになる度にお守り代わりにずっと握りしめていた。

待っていることや、声を上げたり広告を出すことは彼らにとって本当に喜ばしいことなのか?より苦しめてしまうこともあるのかもしれない、と悩む事があったから。

だけど、きっと、待っていていいのだと。そのための言葉なのだと、味がしなくなるくらい繰り返し噛み締めていた。
なんなら元気で生きてくれていれば、もう顔を見る事が叶わなくてもいいとさえ思った事もあったのだけど。
それがまさか、コロナ禍でなかなか誰にも会えない中、顔を見ながら長い時間のおしゃべりを定期的に聞く唯一の相手がひちょさんになるなんて、誰も思わなかったのではないだろうか。

でも、その恐らく活動出来なくてじれったい時間に設立されたファンクラブでの交流が、ファンとORβITの精神的な信頼関係を強固にしたことは言うまでもなくて。
メンバーそれぞれの魅力がこれでもかと伝わる大切な時間になった。ユンドンペンでハロアゲ推しだった私も、今ではすっかり全員のファンだ。(もちろん、ユンドンがずっと一番の推しなのは変わらないばかりか、好きは増すばかり)

だけど、結局私が一番嬉しかったのは、「音楽」が素晴らしかったことだった。
まだ、これを書いている時点では、フルで聴けているのは2曲だけで、あとはハイライトメドレーのみではあるけれど。
充分すぎるくらい、その魅力や音楽への切実な向き合い方が伝わって来た。
また、このグループでないと成立しない、当て書きのような楽曲たち。
デビューグループとは思えない腹の据わった楽曲や歌声だけど、どこか夏休みの子どものような自由さを感じる、聴いていて嬉しくなるような音楽だった。
今後の生活にずっと寄り添ってくれる、作品として寿命が長いものだなと感じた。


あの時の、泣きながら待っていた自分を含め、ファンの誰一人として想像すらしなかった場所に今、連れてきてもらっている。
これまで必死で、ただ前へ前へと進んできたであろうORβITのメンバー、および支えてきたUNIONのみなさまに、我々ファンがいつも貰ってきた「想像の斜め上を行く」喜びを味あわせてあげたい。

それが「有名になる」ということだけではない、ということは常々感じている。
もちろん売り上げがなければ始まらないし、重要には違いないけれど。

彼らの取った方法を考えてみる。以下はあくまで想像でしかないけれど。
大手の事務所から世に出る、という選択肢は、恐らくあったのだと思う。
だけど、自分たちの進む未来を、誰かに舵を取らせることをしなかった。
それはもちろん茨の道。だけど、彼らはそれを選んだ。
ファンは心配し、外野は邪推する。だけど、何より彼ら自身が選んだ事を誰が口出し出来ようか。

自分たちのやりたいようにやって、それを出来るだけ長く続けたい。
たくさんの人たちに聴いてもらって、楽しんでもらいたい。
それには、何より自分たちが一番音楽を、活動を、楽しんでいたい。
センターが言う所の「しあわせじんせい」
それがきっと初期衝動でありつつ、最終目標なんだろうなと。


でも彼らの思う成功の形は、きっと、まだこの世にない「想像の斜め上」なんだろうな、とも思う。
彼らにしか描けない軌跡を更新し続けるORβITを、これからも側で見守れます様に。

デビュー、おめでとうございます。

末永く幸せな軌道を。

EαRTHより。

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