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長谷川白紙さんが持つ「分かる狂気」

長谷川白紙さんの新譜、聞きましたか?たった34分であんな謎の爽快感に包まれるものはないと思います。理論とかそういうの全部抜きにした(単に理論がわからんだけ)上の感想ですと、とにかく気持ちが良い 使ってる音だとか、ビートだとか、1曲1曲にそれぞれ別の快がある気がします。走りたくなる、スキップしたくなる、どしんどしんと歩きたくなる、といった身体的な作用もあったりぶんぶんと頭を振りたくなる、体を止めてゆっくりと落ち着ける、頭の中むちゃくちゃにしたい、といった感情的な作用だったり、そういったものを用意してくれたコース料理みたいなアルバムでした。

ぶっちゃけ、通ぶりたい気持ちはある

長谷川白紙さんの作る音楽って僕みたいな音楽素人
にとって良さどころか悪さも分からないんですよ。
でも分かるふり、
「ん?おれ?長谷川白紙聞いてるよ?」
としたり顔をして
音楽好きみたいな面をしたいです。
長谷川白紙さんを知ったきっかけはフジロック
2023のとき 「長谷川白紙って名前良いな!」と
直感でビビっと聞きました。そんときの僕はもっと音楽の聞く幅を広めようとフェスで気になった名前のバンドやアーティストを聞くっていうギャンブルもどきをしてました。
そいで聞いたらもうなんか 「なんだこれ」ですよ
「毒」を見たけど、MVの雰囲気も良かった。
有象無象のおもちゃ達がまるで勝手に動いてるかのように激しく踊り出すその不気味さと 毒というタイトルに似合ったトキシックなビートと、不安定な音程だけど混じり気のない毒素ゼロの歌声、それら全部がグッと心に来ました。

分からないならそれでいい。
僕も分からないから。

冷笑大好き人間の傾いた視野で長谷川白紙を
「んだよ、長谷川白紙って名前。あとなんだよこの音楽、わからないのいい事に無茶苦茶なもん作ってんじゃないの?」揶揄する人もいます。ごく稀ですが。そこに別に「音楽好きなのにそんなのも分からないんですかぁ?」だとか「素直に褒めろよ」だとかそんなバカ丸出しの擁護というかそういうのはしません。わかるフリしてみんなわかってないです。
ていうか

わかるの境界線はなんなんだ?

まるで国語の問題です。作者の気持ちを答えなさい。この表現は何を意図してるのか答えなさい。
それをたった数十文字で表せ、だなんて無理な話です。ていうか、採点するのも答えの幅広いし、たまに先生も「これが答えなわけねえよ」って文句言ってたし、1番の謎はあれだろ。
とにかく、そんなかすりもしない正解に向かって答えを書いたって、例えそれが正解だとしても丸をつけてくれる人がいないんでわかりません。せいぜい本人直々にそうです って言われてやっと正解かと。
だから、
「この文章は何言ってるか分からない。」
「この文章は何を伝えたいか分からない」
「別にすごいと思わない。」
感想でそう書いたところで減点とかはないでしょう

分からない中から分かるを見つける


分からないならそのままでいいですよ と当人でもない人が切り捨てるのは1番の愚行だ。(それを本人がやったらまずいけど) かといって 
分からなかったんですか そうですか も妙に腹が立つ
だから
「分からなかった?僕も分からなかった笑笑」
って感じで良いです。、でもそこで歩みを止めるのではなく、何回も聞き直すことで分かる振りができるようになりました。
まずKIDFRESINOさんとのコラボ曲 「Gone」
これアルバムトップ3に好きです。慌ただしいビート、不安定に鳴る楽器(わかんなかった)、フレシノさんのフローガン無視スタイルラップも疾走感を超える、堂々たる走りを感じた。
最後の行ってしまった………と共に「ドンドンドン!」と揃う楽器の音の恐怖感から まるでなにかに追っかけられてたが 振り切った感じの情景が思い浮かんだ。
こんな感じで全曲言いたいんですけど 時間が無い!
すみません。

まとめ

長谷川白紙さんが与えてくれるのは音楽だけじゃなくて、「これをわかりたい!」という理解への意欲です。もっと沢山音楽を聴いたら、どのジャンルとどのジャンルを兼ね揃えた音楽なのか。または合体させてできた音楽なのか。それが分かるようになって、説明出来たら凄くリスナーとしての理想の形だと思います。それを踏まえた上で僕は
「分かる狂気」と感じました。
「インフルエンザの時に見る夢」とか
「麻薬使ったらこんな感じなのかな」とか
「個性的でいいですね」とか
ああいった未知のものに対して考えることを放棄した短絡的な感想は嫌いなんですよ。上記二つに関しては使い古されたユーモアで誤魔化そうとしてるのがもっと酷い。逃げちゃダメです。人が血のにじむような努力で作り上げたものに対してできる限り見る、聴く態度じゃないといけない気がします。 とくに音楽を作ってる人、音楽を沢山聞いてる人、僕もそこは大事にしたいです。

長谷川白紙さんのMahogakko是非聞いてください!


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