サラダ油に溶けていく

夢を喰らう怪物がいる。右目から希望を、左目からサラダ油をなみだして、緩やかに上昇する水位に浸っている。左腕に苔が生えている。涼やかな、涼やかと言ってもあまりに胃液を含みすぎた吐瀉物を、静かに。

それは名前がない。一般的な呼び方もあるだろうが、本質ではない。それは運命に許されている。理想から生まれ、現実で育つ。世界はそれを歓迎し、それは道理に組み込む。

もしそれに救済があるとして、それは混沌からしか生まれない。タイムラインが存在する限り、人が白昼夢を見る限り、無数の手足をもつそれは光とともに形成される。

夕暮れの美しい空。あなただけを、愛している。

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