並行在来線の名称
整備新幹線が開業すると、収益のない在来線はJRから分離することができる、と決まっている。また整備新幹線の着工にあたっては地元自治体すべての合意が必要で、まさに「アメとムチ」と言わざるを得ない。
国鉄民営化に伴って第三セクターになったローカル線の名称は、それほど奇抜なものはないのだが、今度の北陸新幹線開業に伴う富山県側は「あいの風とやま鉄道」新潟県側は「えちごトキめき鉄道」である。しかも「えちごトキめき鉄道」の現北陸本線が「日本海ひすいライン」信越本線が「妙高はねうまライン」という名称になるという。
鉄道紀行作家の故・宮脇俊三氏は、国鉄の由緒ある駅名を観光志向の名称に変更をしていることを苦々しく思っていたが、これは私もそう思う。
国鉄は駅名に地名を原則としていたため、地名から伝わってくるその土地の風土というものを感じることができた。路線名にも同じことが言え、「北陸本線」や「羽越本線」など「哀しみ“本線”日本海」を連想させて好きである。日本海沿いに走る特急の姿がすぐに思い浮かぶ。
じつは、同じく紀行文を書く私にとっても、とても書きづらいのである。
以前は「信越本線の特急で直江津に着き、北陸本線の米原行普通電車に乗換え」といったところを「えちごトキめき鉄道の妙高はねうまラインに乗り、直江津で日本海ひすいラインに乗換え…」
といった具合に、ひらがなとカタカナが多くなり、文章にしまりがなくなってしまう。あまり白い部分が目立つと、内容がない文章だと思われかねない。「IGRいわて銀河鉄道から青い森鉄道へ乗り継ぎ」といった場合もちょっと工夫が必要のように思われる。もちろん固有名詞は間違えてはならぬし、情けないが、パソコンを使用している場合は「コピー・ペースト」に頼らざるを得ない。更には北海道新幹線の延伸や北陸新幹線の金沢から先も着工が決まっている。いまからうんざりしている。