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桃源郷へおかえり、 そしておそく起きた朝は…

土曜日。
時間があればひたすらに寝ていたい私の朝はちょっと、いや、だいぶ遅い。

平日起きるのが辛くなるから という理由で、
毎日7:00から10分おきにスマートスピーカーが
いい加減起きろ〜!と
おっしゃってくる設定にしていますので
土日でも8時頃には目覚めているんだけど、
(野沢の方々からすると超遅いですよね…)

ベッドでダラダラとスマホをいじったり、
音楽を聴いたりする休みらしい朝の時間も大事にしたい。
それを楽しみとして味わっている自分のことも好きだし、肯定してあげたいと思っている。


ゆっくり身体を起こして
テレビでYouTubeをつけて
パンとコーヒーをセット。

いつものように旅行系YouTuberの動画を流しながら次はどこへ行こうかな〜と思考を巡らす。


ああまずい、もう12時だ
何時に家を出よう、なんて言いながら
いつもの道具をキャリーに投げ入れ家を出る。
飯山行きの新幹線は、最寄りから東京駅に向かう
電車の中で予約。

(ハイシーズンにこれをするとグランクラスが残り1席あるかどうかなので、富豪以外はこちらのパターンは3月中旬以降をおすすめします)
(よい子は1ヶ月前の10時ぴったりにえきねっとへ)

野沢温泉ライナーを降りるともう外は暗く、
温泉街が賑わう時間帯になっていた。


本来であれば早朝に家を出て、
土曜のお昼からガンガン滑るのが理想なのだけど、
シーズン券(とはいえ安くはないので、
そこそこ回数行かないと元はとれないが…)
を手にした私は、余裕の笑顔で重役出勤。

いつものお店に直行し、ガラガラッと扉を開けると、カウンターの奥から

「おかえり〜!生でいい〜?」

の声。


今では威勢よく
「こんばんは〜!お腹すいた〜!生くださ〜い!」
と言えるけど、

実は初めてこう言ってもらったとき
驚きと嬉しさ恥ずかしさで
何と答えたらいいのか分からず、

「あ、あぁ…ただいま…ですぅ…」

と歯切れの悪い情けないお返事を
してしまったことをよく覚えています。


端っこといえど、一応東京生まれ東京育ち、
同じ自治体から出たことがなく、
実家を離れたこともない。
家から遠い学校に通っていたから、
近所に幼馴染も知り合いもいない。

加えて、まだ常連のお店なんていう大人なものは
東京でも存在しなかった私は
第三者の近しい存在というものを
経験したことがなく、
「おかえり」と言われたことは
思い返せば家族の記憶しかなかったのです。


だから、嬉しい。あたたかい。
なのにどこかくすぐったい、
味わったことのない気持ち。

知っている幸せの種類が、
またひとつ増えた瞬間でした。


さて、豚キムチと白米と生ビール
最強コンボをキメて気分が良くなった私は、
いつもの人たちに

明日は早起きして、長ゴンに並んで、1日中滑るんだ〜!

などと気合いの入ったスキーヤーを演じてしまうものの、
実際にできるかどうかはまた別の話。


土日休みのサラリーマン、
やっぱりどこにいても朝の時間は譲れない。。

野沢マジックの効果は年々薄れてきており、
以前よりも、ゆっくり
朝外湯→コーヒー→朝ごはん の選択肢が
朝イチパウダーよりもどうしても魅力的に
感じてしまうのでした。

いやぁパウダーも大好きなのよ…
わかる…わかるの…
だから私は、次のシーズンに向けて、
パウダーを100%楽しめる板を買わなければならないと思っております。


翌朝

既に日が昇り、ふんわりとした光が入るお布団の中で
他の宿泊者が朝ごはんやゲレンデに向かう
足音を聞きながら

昨夜の「おかえり」を噛み締めて、
私も誰かに言ってみたいなぁと
まだ見ぬ未来に想いを馳せながら
いつもよりぬくぬく幸せな日曜の朝を過ごしました。


野沢は、地元でも単なる旅先でもない
どこにも属さない第三の地
みんなのふるさと、桃源郷だと思います。

※野沢には固有名詞ユートピアがあるので、敢えて桃源郷と表します。

この魅力って、なんなんでしょう。
来てみて感じるものであり、言語化できない。
若しかしたら、言語化しない方が良いもの
なのかもしれません。


そういえば先日、某アイドルのライブに行った際、
メンバーの凱旋公演だったために
「◯◯ちゃんおかえり」コールを
大声でしていたことを今思い出しました。

まあ…
それはそれだよね。


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