補欠

少年野球の頃

同級生のチームメイトが3〜40人くらいいる中で

ぶっちぎりで一番下手くそだった。

9番ライトのメガネ君。

いやいや、出れたらまだ良い方だ。

ほとんどは練習試合の日の3試合目に代打で一打席とか。

部活でも無いのに出してもらえないってどないやねん。

悔しかったかどうか、それも思い出せない。

とりあえず悔しい顔なんて、もはや恥ずかしくて誰にも見せなかった。

多分子どもなりに押し殺してたんだろう。

そんな僕は実戦形式の練習メニューになるとあまりにお荷物なので、別メニューをさせられる。

みんなが楽しそうにシートバッティング・シートノックやってる時にコーチとマンツーマンでキャッチボールをさせられる。

「卵を割るように投げるんや」

小3小4の頃の練習は毎週そればっかりしてた。

ホントにどうしようもなくて辛かったな。

それをさっき、ふと思い出したのだが

そこですごい気になったのが

毎週僕にキャッチボールで教えてくれてたコーチは、どんな気持ちやったんやろう。

少年野球のコーチをするくらいだから、きっと相当野球が好きな人だろう。

めっちゃ上手かった同級生の父親がそのコーチだった。

そんな人が週末、少年野球の練習に参加してコーチを引き受けていた中で

キャッチボールもまともにできてない一番下手っぴの指導に付きっきり。

どんな気持ちやったんや。

間違いなくつまらなかっただろう。

いくら教えても一向に上手くならない下手くそとキャッチボールし続けて、

隣で全体は楽しそうな実戦形式の練習。

しかし毎週目の前には下手くそ小学生。

本当にどう思ってたんだろう。


それから15年以上経って僕も大人になり

休日の過ごし方や、自分の時間の使い方を考える。

何を重視しているだろうか。

誰のために時間を使うのか。

誰のために時間を使っている?


いまだに野球を観るのは大好きだ。

他のスポーツも観るのがすごく好きだ。

僕はいつ、ちゃんとプレイヤーになれるんだろう。

何も恥じることのない堂々としたプレイヤーにはいつなれるのだろう。

ずっと昔から心のどこかにある自信の無さ

どうせ自分は一番じゃないし

そんな態度がどうしてもゼロにはならない。


でもステージに立つ時は、忘れてしまえるような気がする。

ゼロにしてしまえる気がする。

だからたぶん、もっと僕は、ステージに立ちたい。

下手くそでも構わないから、ステージにもっと立ちたい。

もっともっと立たせてくれ。

他の誰でもなく自分自身のために立たせてくれ。

全然、全然ホンマに足りてない。

中途半端じゃない、素晴らしい時間の使い方をして死んでいきたい。

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