ゴミ集積所の上から

飛べなかった。

たかだか2メートルちょっとの高さから。

平気で飛んでいく同級生、命知らずなやつだと思いながら見ていた。

小学校の頃の記憶。

その後、ソイツより僕の方が少しばかり良い学校に入ったかもしれない。

今、ソイツより僕の方が少しばかり裕福かもしれない。

くだらないことだ。

別に突き抜けたわけじゃない。
地元の中での狭い世界の、
全て、いたって一般的な、平凡な結果だ。

結局は、今も変わらず僕はあの屋根の上に居る。

今も変わらず、飛んでいくやつを見ている。

羨ましいと思いながら。

あの日も頭では分かってた、飛べば良いんだって。

今もまだ、僕はあの屋根の上に居る。

7月のどこか懐かしい風が吹く夕方5時撮影。

社会に飲み込まれて手にした金を溶かした毒を飲み込んで、肥えきった醜い豚のような造形を少しばかりヒトのカタチに戻すため、重い後脚を引きずって歩く健康放牧1時間の道中。

当時のままのゴミ集積所を見てあの頃を思い出し、何も変わってない自分に気づいた。

あの日からすでに、こうなることは決まっていたようなものじゃないか。

いったい、いつまでその屋根から飛べずに居るつもりだろう。

いつまで憧れ続けるんだろう。

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