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2.悪魔の由来


1:創造物とは言え、自由意志で行動することを許された者たちには、自分の創造者を意に介さずに考え行動することも不可能ではありません。
それは、神が自由であるように、我々にも与えられた「神の象り」の持つ自由です。しかし、そのような生き方は正しいものでも、愛あるものでもなく、創造界を傷つけ混乱させるもので、それはこの世の空しい有様にもはっきりと見えています。世界を動かしている動機は明らかに「利己的な欲」であって「愛」とは言えません。


2:創造者を認めずに生きることは自分の存在由来や理由を退けることであり、そこにはっきりと偽りまた悪があります。
また、神を認めないなら、自分を存在させた神に敬意も感謝も抱かない忘恩も免れないでしょう。したがって、理知ある創造物がもし神を認めないとしたら、それはすべての倫理の基礎を壊すことになります。

当然ながら「神の象り」に創られた者らには、創造者を敬愛し神として認め、自由意志を善用するべき理由があります。


3:一方で神の側には、創造物の悪への逸脱によって創造の企図が成し遂げられないという状態が生じます。
もし、自由意志を与えたAIが、その自由さを用いて作り手である人を無視し、害までを与えるようになったら、作り手はどうするでしょうか?
その機械を存在させた作り手自身には、それを廃棄する権利や、他の人にまで害を与えるなら処分するべき責任さえ生じるでしょう。


4:さて、この意思の自由を善用せず、利己的になって神を神として認めることを止めた最初の存在者は天使の一人でありました。

彼は特に優れた「ケルヴ」と呼ばれる種類の天使でしたが、自分の高貴さに自惚れて、自らが『神のように』なろうと欲するようになったことを聖書は知らせています。聖書によれば、悪魔は最初の「堕天使」であり『偽りの父』ともされます。悪の根源であり、創造界に乱れと苦しみとを持ち込んだ最初の存在です。


この天使は、後にキリストにも自分を崇拝するよう求めたのですが、そこに『神のように』なろうとする野望がはっきりと表れています。さらにこの天使は、後には仲間の天使たちに働きかけて自分と同じように神を無視して『神のように』なるように唆しています。その結果少なくない数の天使たちが、『自分の持ち場を離れて』しまいました。この天使たちは、今は悪い霊者となって人間に関わります。そのため聖書は心霊術などを避けるよう教えています。霊の存在者が実在するからです。


5:悪魔のように創造された理知ある者が、神の意図に反する敬意を持たない行動に出たことは、神が自らの『象り』を尊重しようとすることにおいて避けられないリスクでした。
つまり、神はそのようなリスクを負ってまで、理知を持つ創造物の自由意志を守り、自らと同じように考え行動する者たちの自由を実現しようとしていると言えます。神が望まれるのは、創造物を支配し崇拝させることではなく、真実な愛の絆で結ばれることだからです。


6:しかし、ひとりの天使が自ら「反抗者」すなわち「サタン」となって神に創造された意図から離れましたから、神の創造の企図は一時的に停滞し、それによって創造界には不調和が入り込むことになりました。
もちろん、これは神が意図したことではありませんし、その天使も初めからサタンとして、また悪魔に創られたわけではありません。それは自由意志の用い方、つまり「利己心」が関わる事柄でした。
同様に、人間のひとりひとりにも、自由意志を用いて神との関係をどうするかが問われることになります。


7:この世が終息して後の千年期の間、悪魔が人間社会から隔絶されて過ごし、その悪影響から免れます。その後再び解き放たれるのは、悪の源となった悪魔を、神はあらゆる理知ある被造物の自由意志を試みる器として用いるためであり、そこに悪い者をも創造物として用いる神の知恵が反映されています。そうして悪魔はその存在を終えるまで「愛の試金石」として神に用いられることになります。すべての理知を持つ創造物は、悪魔の試みに打ち勝ち、愛の絆を示してはじめて神の是認と尽きることのない命を受けることになるのです。


エゼキエル28:12-19
 マタイ4:2-11
 黙示録20:2-3
 箴言16:4


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