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ジャマ・エル・フナ広場の話し言葉


2019年10月1日からテレビ放送で「アラビーヤ・シャベリーヤ」がスタートするそう!なんとモロッコ・アンミーヤ(方言)!しかも特にマラケシュを中心に話されている言葉とのこと。日本ではフスハー(正則アラビア語、書き言葉)を学べる機会はあっても、なかなかアンミーヤ(話し言葉)を教えてもらえる機会は見つけられなかった。

(写真は2018年2月マラケシュ、ジャマ・エル・フナ広場)

フスハーを少し使えるようになったからと言って、アラビア語を話せるようになった気になってはいけない。モロッコの露店で自分では「○○下さい。...أعطني」と言ったつもりが、意味は通じてることは通じているようなのだけれど、「キミは“アラビア語”を話すんだね أنت تتكلم اللغة العربية 。ハハハ。」と笑われること数度。もしかして正則アラビア語しか知らないから、相手に対して慇懃無礼な言い方だったのではと恥ずかしい。彼らにとって“アラビア語”と“自分たちの言葉”は別物のようだった。

話は脱線するけれど、ある時ある国の空港の荷物検査で、私が日本人だとわかると日本語を話せるという若い青年の係員が出てきて、得意そうにカタコトの日本語で「オマエ、コッチニコイ!」と言ってきた。つい、なんて言い方!と思って、「Who teached you Japanese? Your Japanese is very very impolite!」と言い返してしまった。そうしたら「ゴメンナサイ、この日本語しか知らなかった。どうやって言うのか教えて欲しい」と、どうやら悪気のない人のようだったのだ。(もしかして、アニメで日本語覚えたのかな?)やはり、話し言葉大事と思う。

さて、「アラビーヤ・シャベリーヤ」のテキストを早速入手したところ、アラビア語の文字はあまり出てこなくて、音重視で口語に沿ったローマ字発音表記がされている。音楽学専攻者としては、まるで採譜するように、音を文字に記述しなおしている過程は興味深い。アンミーヤとフスハーの違いは、記述的(descrictive)楽譜と規範的(prescriptive)楽譜の違いと似ている。

ローマ字表記のテキストを見ていると、つい、フスハーを調べてアラビア語表記を書き込んでしまいそうではある。とはいえ、遡ろうとしてもフスハーには辿り着かない場合もあるだろう。モロッコ方言はフランス語、スペイン語、ベルベル(アマズィク)語も混じって、クレオール化しているのだから。使用する人に沿って、変化し、定着し、忘れ去られ・・・ということが、長い年月をかけて繰り返されていくのが話し言葉の面白いところだ。

続く・・・

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