2024年7月13日に考えたことをつらつら書いているだけ/それは同じジュースと言えるだろうか?

あるゲームがきっかけで、テセウスの船という思考実験が好きになった。ある物体において、それを構成するパーツがすべて置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは"同じそれ"といえるだろうか?という問題のことだ。

テセウスの船については色々と思うところがあるし、昔からいろんな人がいろんな考えを述べてきたと思う。パーツが徐々に入れ替わっていくから本体に馴染んでいって、新しく入ってきたパーツもその一部になるだとか、じゃあその時の本体というか核にあたるものは何なんだろうかとか。
物質としての船で考えられる場合とは別に、人間に例えられる場合もある。人間の細胞は半年で全部入れ替わるから、じゃあ"半年前のわたし"と"今のわたし"は別人なんだろうかとか、心臓を移植した場合、脳を移植した場合はどのように"わたし"が"わたし"であることを示すのだろうか、とか。
これは別に正解なんてない問いで、個人の考え方の差異を楽しむ遊びというか、なんかこういう問いへの考え方、向き合い方でその人が分かるというか、分かったつもりになれるというか… 忙しい時はこんなこと考える余裕もないし、もしかしたらこういうことを考えていられる時間こそが貴重なのかもしれないなとも思ったりする。

個人的には、物質に対しても結構思い入れを持つ方で、今まで使っていたペンを無くしてしまって新しいペンを買ったとしても、それはやっぱりなんか違うというか、機能的価値よりも情緒的価値に重きを置いたりする。
物を捨てるのはなかなか苦手だし、パーツにさえも魂に似た何かが宿っている気がして、魂を引き継ぐ意味を込めて、そのパーツを新しいものに組み込んでみたりもする。
一種のスピリチュアル的な考え方かもしれないが、単なる「物を大切に」みたいな気持ち以上にものに愛着を持ったりする方かもしれない。そういえば星の王子様でも、キツネが「たいせつなものは目に見えない」の文脈で、"なつくこと"について語っていたけれど、自分が物質に対してある種"なついている"状態なのかもしれない

人に置き換えて考えたとき、「半年前のわたしと今のわたしが違うか?」と考えると、違っていて欲しい と思う。名前だったり社会的な役割は一緒かもしれないが、変われないなんて全く面白くない。
昔は変わるのが嫌だった。今のわたしのことを好きと言ってくれる人が、未来のわたしのことが好きだという確証はない。むしろ変わることによって離れてしまうことの方が多いんじゃないか。
でも、変わりたいように変われる、と思えた方が人生に希望が持てるんじゃないか? 私は「過去が未来を決定する派」よりも「未来が過去を決定づける派」でありたい


Juice=Juiceというグループが好きで、よく曲を聴いている。2013年にデビューし、2024年になった今もなお活動を続けるグループだ。活動開始当初は5名であったが、その後加入と卒業を繰り返し、今年の6月14日に最初の5人は全員いなくなった。
では活動開始当初のメンバーが全員いなくなった時、それは同じグループなのだろうか?

6月14日、武道館で最後のオリジナルメンバーである植村あかりさんの卒業コンサートがあった。私は「オリジナルのJuice=Juiceの最後の1パーツである植村さんがどのように振る舞うのか?」、「"オリジナルではない"(全く悪い意味ではない)残されたJuice=Juiceのメンバーがどのように振る舞うのか?」を見届けたくて、テセウスの船の答えがある気がして、武道館に足を運んだ。
ライブ自体は大変すばらしいものだった。パフォーマンスはやはりプロだなと感じたし、植村さんの軽やかで鮮やかな性格に合った素敵な卒業コンサートだった。

その中で私はテセウスの船の答えを見た。
コンサート中の各メンバーの歌い方は、明らかにオリジナルメンバーの影響を受けていたし、特に一曲目のラスサビの段原瑠々さんの声・歌い方がオリジナルメンバーである宮本佳林さんに似すぎていて、本当に驚いた。
また、こぶしファクトリーから移籍した井上玲音さんも、完全にJuice=Juiceの一員だった。(これも全く悪い意味はなく!)
確実にJuice=Juiceは続いているが、それは常にずっと更新されるもので、常に違うものなのかもしれない。そして、卒業したオリジナルメンバー全員で今からまたグループを結成しても、それはもはやJuice=Juiceではないのだと思った。

テセウスの船の"最後のパーツ"となった植村あかりさんの振る舞いは本当に美しかった。もともとそこまで真ん中に立つタイプではなかったにしろ、後輩に想いを託すというか、既に渡せるものはもう渡しているよと言わんばかりのパフォーマンスは、どこか余裕があってそれでいて力強く、軽やかであった。
イジワルしないで抱きしめてよという曲では、新リーダーが「すべての始まりね」と歌い、新副リーダーが「これは夢じゃないの」と歌ったうえで、卒業する現リーダーが「いつまでも輝け」と願うように歌った箇所が本当に印象的だった。
Juice=Juiceのこれまでとこれからが、一本の線になって、いつまでも輝きますように

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