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連載小説 天体のうた

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天体×平成ヒット曲のSF掌編集!「夜に読みたい」をコンセプトに、未来の話なのにどこかノスタルジックな小説です。セピア色の挿し絵と一緒にどうぞ。
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#天体

名もなき星は君をのせて

前回はこちら  タカハシは見知らぬ小屋の中で目が覚めた。木造の壁と天井、吊るされたランプ…

空条浩
3年前
7

土星アスタリスク後編

「何があった」  ナカムラは腕を組み、眉間に皺を寄せている。機関士は顔をしかめて振り返る…

空条浩
4年前
3

土星アスタリスク前編

『速報です。本日開通した土星、木星間を走る銀河鉄道が何者かによってジャックされました。詳…

空条浩
4年前
9

木星シャングリラ 後編

 前編はこちら  キクチは二の腕の痛みをこらえながら、エアバッグを解除した。しゅうっと、…

空条浩
4年前
5

木星シャングリラ 前編

「よう、お前がこれから出撃する庭師か」  キクチが声のする方へ振り返ると、小太りの中年男…

空条浩
4年前
2

火星Butter-Fly

「男の子をね、盗んできてほしいのです」  暗いカフェの裸電球が、男を怪しく照らしている。…

空条浩
5年前
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地球は群青日和

 大雨予報があったというのに、あたしは傘の一本も携えずに通学路を歩いていた。昨日のオキタ先輩の言葉が妙に、頭から離れなかったのだ。 「おれ、地球を離れるわ」  進路相談のとき、担任の先生に伝えたそうだ。宇宙に行けばコロニー建設の仕事がごろごろあって、体一つで大金を稼げるからと。 「へえ、そうなんですか」  クラスの男の子も似たことを言っていたし、去年お金持ちの子が何人か火星に移住した。地球に住むというのが、もはや時代遅れだった。別に何の変哲のない、普通のことなんだけど

金星とロビンソン

 夢を見た。  重い耐熱スーツを身につけ、硬い地表を掘り起こしている。スーツの中は熱い。…

空条浩
5年前
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水星RADIO

 水星が夜明けを迎える頃、ホシクジラはその巨体を地表に打ち付ける。水星の公転周期の軌道上…

空条浩
5年前
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