10

俺の目の前に気を失った男がいる。
俺の目の前に椅子に縛りつけられた男がいる。
何のことはない。俺が縛りつけたのだ。
ん?そろそろ目を覚ますかな。
「ん…。な、何だ?ここは何処だ…?」
気を失った男が目を覚ました。これでもう気を失った男ではなくなった。
「おい!お前は誰だ!お前が俺をここに!?」
『1時間ほど眠っていたよ』
「だから!お前は何者だ!!」
『そう怖い顔するんじゃないよ。笑えよ。ほら!ニッ!って。ほーら!』
「おい聞いてんのか!ここは何処なんだよ!!」
『んん〜、俺の秘密基地とでも言っておこうかな』
「秘密基地だと!」
『秘密基地へ、いらっしゃ〜い!ハハハ。どう似てた?桂三枝』
「今は文枝だよ」
『お、冷静だねー』
「お前ふざけんなよ!一体何が目的なんだ!!ん??何だこれ?」
縛られてる男の首には、首輪のような物が巻かれている。
『あ、気付いた?それ爆弾』
「え!」
『これで爆発するから』
そう言って俺はスマホを出した。
『すごい時代だね。これ押すだけでドッカーン!あっという間にGo to Heaven!いやHellかな。ハハハハハ』
「何なんだよ一体…」
『これは凄い破壊力だから。まぁ、ろくろ首みたいに思いきり首を伸ばしたら顔は助かるかもね!ハハハハハ!』
「いい加減にしろよ!何が目的なんだ!」
『……。菜々だよ』
俺の笑顔が一瞬にして消えた。
『俺から菜々を奪いやがって…。許さないからな。』
「あ、そうか!お前が菜々の前の彼氏か!菜々が、付きまとわれて困ってる、って言ってたぞ!」
『え!俺のこと、話してくれてるのか!嬉しいなー。じゃ、これでまた菜々が俺のこと思い出してくれるね!』
「狂ってる…。いいか!菜々も困ってる。こんなバカなことはやめろ!」
『バカなこと?俺から菜々を奪いやがって!』
「奪ったんじゃない!もう菜々はお前に愛想を尽かしてたんだ。働きもせず借金がどんどん増えていくって」
『うるさい!会社をクビになった上に、菜々まで奪いやがって。泣きっ面に蜂とはこの事だ…』
「と、とにかく落ち着け!ゆっくり話をしよう」
『話なんてない!じゃあな!』
俺はスマホに手をかける。
「ま、待て!助けてくれ!どうすればいい?こんなことすればお前の人生も終わるんだぞ!」
『いいよ別に。これでもう悔いはない。救急車くらいは呼んでやるよ』
「お願いだ!助けてくれ!どうやったら外れるんだ!首輪を外してくれ!!」
『無理無理。解錠する方法は俺の声だけ』
「声?」
『ああそうだ。その首輪は俺の声にのみ反応する仕組みだ。』
「どういう事だ?」
『まぁいい。最期だ、教えてやろう。その首輪は俺が10数えた時にだけ、解錠される。』

カチャ。

首輪が外れた。

『え…!何で?』


・イチ時間ほど眠っていたよ
・笑えよ。ほら!ニッ!って。
・桂サンシ
・ゴー to Heaven
・ロクろ首みたいに
・ナナだよ
・泣きっ面にハチ
・キュウキュウ車

有り難うございました。












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