「働き者のジェシーと弟と妹」

働き者のジェシーは
一家を支えていた

パンを分け合うことに
喜びを感じる表情で

そう見えていた　あのころ

親代わりのエプロン姿
親代わりの出勤姿

正直者のジェシーは
弟と妹の勉強嫌いを叱らなかった

苦労を感じさせないことに
細かい気を配る言葉使いで

そう見えていた　あのころ

箱に6個　入っていた
アイスクリーム　たまに買ってきてくれた

お母さんと呼んで泣いたことがないジェシー
父親のことは恨んでいないと決まって口にする

節約者のジェシーは
弟と妹を愛していた

贅沢するポイントは
かなり変だったこともあったけど

そう見えていた　あのころ

食べるものを我慢して
高いソファーをオーダーするとか

お母さんと呼んで笑ったことがないジェシー
父親のことを悪く言ったことは一度もない

ジェシーは今
声を震わせる

私が働いた（稼いだ）お金で買ったパンを
あなたたちは食べたのよ

ジェシーは他人（人様）に言えない仕事をしてきた
弟と妹はジェシーを抱きしめるのが精一杯

3人でどうにか笑って見せた日

何も失っていないさ

何も失っていないよ

#どこかで会った誰かのようなstories4