「ひどい仕打ちになってしまいました」+「その後の空模様」

彼女の空模様はインコプリートvol.20（ファイナル）

「ひどい仕打ちになってしまいました」

彼女が選んだ曲がり角
あの季節は現実だったのだろうか

精一杯を尽くした
君にとっては
ひどい仕打ちに
なってしまいました

もやもやと形にならない涙
はっきりと形になる後悔

ふり切れるわけなどなく

無念の中で
有念の中で

君は
まぶたを開く

君は
まぶたを開く

目を開く

彼女は無理して笑ってたわけじゃない

そのとき　そのときは確かに心はほぐされていた
君のそばにいられて

彼女は突然に悲しみを持ったわけじゃない

きっと幼いころから潜んでいた悲しみがあったに違いない
ある程度のところまでは君も聞いていたのだろうけど

自分の悲しみを
誰にも押し付けたくないという気持ちが
大きくなってしまったのだろう

君は今

彼女のことを忘れるためには

もう少し泣かないといけないね

君は今

忘れさせてもらうには

彼女が歩かなかった道をだいぶ歩かないといけないね

彼女の空模様はインコプリート

「その後の空模様」

その後の空模様はとっても

TABOO

喪失（別れ）を経験したことがある人は

激励やなぐさめのほとんどを

自分でもわからないうちにスルーしながら

空を眺め返している

あちらの空は泣いていて

別の空は雷が鳴っていて

穏やかな空を見ても落ち着くことはなくて

お腹が空いたら

ご飯を食べなくちゃいけないように

記憶が浮かんだら

処理する作業をする

パッと消せることはないから

見え方を変えようとして

あらゆる形容詞を当てはめてみる

家族と離れた人も

恋人と離れた人も

どんな理由だったら納得できるのか

"いい経験だったね"

なんて言葉は

一生

受け入れないと思っているに違いない

会えなくなった人とのことを

美化できるほどの

小さな経験ではないと

思うばかりで

#彼女の空模様はインコンプリート