ありそうでなさそうなドラえもんの話を空想して遊ぶ

存在しないドラえもんのお話を考える遊び

「遺伝子組み替え機」

「最近このグループがお気に入りなの」
 としずちゃんが空き地で話している。どうもジャニーズJrにはまっているらしい。スタイルの良さやダンスの上手さなどを褒めまくるしずちゃんを見てのび太は露骨に面白くない顔をする。
 自宅に帰るやいなや、ドラえもんにすがりつくのび太。
 やれやれまたか、という表情のドラえもんにのび太は「もう少し足が長かったらよかったのに」という。
 事情を聞いたドラえもん、足だけか? という顔をしつつも渋々道具を取り出す。

 出した道具は「遺伝子組み替え機」
「遺伝子って知ってる?」
「知らない」
「わかりやすくいうとね、人間の体っていうのは細胞から成り立っているだろ。その細胞には一つ一つ核という部分があって、そこには染色体というものが入っている。その中にあるDNAというものが遺伝子と呼ばれていて、この指令によってすべての細胞は形作られ、維持を……」
「ちっともわかりやすくない!」
「えーっと、のび太君は昨日豚肉を食べたね?」
「一昨日もそうだったよ」
「豚の肉ばかり食べているのにどうしてのび太君は豚にならないんだ?」
「言われてみれば……?」
「遺伝子というものが体を作る設計図みたいなもので、取り入れた食べ物を原料にしてのび太君の体を作っていくんだよ。だからのび太君は何を食べてものび太君になる」
「へぇー」
「で、その遺伝子をこの機械で組み替えると、設計が変わるわけだから……」
「足が伸びたりできちゃう?!」
 のび太大喜び。
「じゃあまずは今の遺伝子情報を髪の毛から頂いて、これをセットする。これを忘れると元に戻れなくなるからね」
「ふーん」
「とにかくやってみよう」

 画面上のブロックを入れ替えていくと、隣にある画面にはその結果があらわれる。画面上ではみるみるうちにのび太の足だけが伸びていく。
「すごい!これが僕…?」
「遺伝子を組み替えているから、厳密に言うともうこれはのび太君じゃないとも言えるんだけどね」
「ちょっと怖いね」
「だから最初のサンプル採取は絶対必要なんだ」

 希望通りに足が伸びたのび太、空き地で自慢すると俺にもやらせろとジャイアンとスネ夫がおどしてくる。
 自宅に戻るとドラえもんがいないが機械が置きっぱなし。
「まあ、やり方はだいたい見てたから大丈夫!」
「お、おれは顔をもう少し小顔にしてぇんだよ!」
「ボクは、身長を伸ばしてくれれば後は不満はないかな」
 最初は控えめだった二人も、実際に叶うとなると願いが次第にエスカレート。最終的には原型を留めないレベルの美少年二人が完成する。

 大喜びで家に帰るが、どちらの親も本人だとわからず追い返してしまう。
 街中でもだれも二人だと気付かず孤独に苛まれるように。

 二人が泣きながらのび太の家に行き、元に戻りたいといっても最初のセットをしなかったせいでリセットできなくなっていた!
 どうしよう?!と騒いでいるとドラえもんが机の中から帰宅。話を聞く。
「なんてことをしたんだ!遺伝子による鑑定をしようにも組み替えてしまったからには親子認定もできないんだぞ!」
「俺たちどうしたらいいんだよ!」
「さあね。ジャニーズJr.にでも応募したら?」
 憤慨したドラえもんが冷たく見放すと、二人とも泣きながらすがりつく。
「ドラえもーん!!!」

 反省した頃合いを見て3人をタイムマシンに乗せて、機械を使う前の時間に戻って遺伝子サンプルを確保。帰宅して無事に元通り。

 翌朝、パパが朝食時に愚痴る。
「最近抜け毛が多くなってきた気がするよ……」
「髪の毛は大事だよ!! ちゃんと保存しておいた方がいいよ!」
 のび太の発言に理解ができない両親と、苦笑するドラえもん

おわり


オチが弱いけどまあいいや

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