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テレビゲーム総選挙を別な角度から楽しんでみる

テレビゲーム総選挙見ましたか

 2021年12月27日に『テレビゲーム総選挙』という番組が放送されました。五万人くらいの投票からトップ100を発表するというものでした。
 意外なソフトが上位に来たり、あれがないのかというものがあったりと色々な感想がTL上に蠢いていましたが、ちょっとだけデータを補完しながら入力して遊んでいましたので、それを使ってちょっと感想を書いてみたいと思います。

 開示して欲しかったなーと思ったのは、「世代毎の総投票数」「世代毎のトップ10」「ランクインされたソフトの得票数」ですね。あとで出しますが発売年数にある程度の偏りがあるので、どの年代の人たちが熱心に投票したのかちょっと興味があったのと、単純に得票数がわかると集計遊びの幅が広がるなっていうやつです。
 とりあえず現状あるデータだけ並べて色々感想を書いていきたいと思いますが、特に統計とか数字的な何かを語れるようなアタマは持ってないので「あー、そうなんだねー」以上の感想は出てきませんのでその辺の考察をお望みの方は多分満足出来ない内容になるであろう事は最初にお断りしておきます。ごめんなさい。こういうのは数字そのものでなく、そこから見えるものを語るのが普通なのですけどね。

ファミ通のアレと比べてみる

 まずは普通に順位についての感想。順位についてはこちらが余計な動画とか付いて無くて一覧性が高いかと思います。
 で、以前ファミ通が2019年に「平成のゲーム最高の1本」という投票企画を行っておりまして、その結果がこちら
 というわけで、ファミ通と総選挙との順位の違いを見てみたいと思います。
 テレビゲーム総選挙のトップ10は以下の通り

1位:ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
2位:ドラゴンクエストV 天空の花嫁
3位:ファイナルファンタジーVII
4位:あつまれ どうぶつの森
5位:スプラトゥーン2
6位:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…
7位:大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
8位:クロノ・トリガー
9位:ファイナルファンタジーX
10位:スーパーマリオブラザーズ3

 ファミ通のトップ10は以下の通り。カッコの中の数字はテレビゲーム総選挙(以下「テレ朝」などと呼称します)での順位。

1位:クロノ・トリガー(8位)
2位:ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(1位)
3位:NieR:Automata(48位)
4位:ファイナルファンタジーVII(3位)
5位:大神(29位)
6位:ゼルダの伝説 時のオカリナ(17位)
7位:ファイナルファンタジーX(9位)
8位:ポケットモンスター赤・緑・青・ピカチュウ(24位)
9位:ドラゴンクエストV 天空の花嫁(2位)
10位:ゼノギアス(40位)

 どちらにもランクインしているのは以下の5本。カッコの中の数字は(テレ朝の順位/ファミ通の順位)です。

・ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(1位/2位)
・ドラゴンクエストV 天空の花嫁(2位/9位)
・ファイナルファンタジーVII(3位/4位)
・クロノ・トリガー(8位/1位)
・ファイナルファンタジーX(9位/7位)

の5本。

 投票時期が二年も違う上にファミ通の方は平成に発売されたソフトに限るという縛りがあって条件がかなり違うわけですが、それでもドラクエとファイナルファンタジーで一番高いタイトルが同じものであるとか、それなりに共通項が見えます。ファミ通の方は全体的に「ゲームに興味のある人たちの投票」だなという感じがあります。
 ポケモンがファミ通側に入っていてテレ朝には入っておらず、スマブラはその逆というのも面白い傾向ですね。トップ10には入っていませんがテレ朝だとポケモンで一番人気だったのがダイヤモンド・パールという違いもあります。


 ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドについては特に文句はないです。僕も最高のゲームだと思っています(クリアした当時の感想はこちら )。むしろ「自分が最高だと思っているゲームが世間的にも最高だと認識されている事に狼狽した」くらいです。NieR:Automataがもっと上位だとなおよかったなと思ったくらいですね。もっとドラクエとFFとポケモンで埋まっちゃうのかなって思ってたくらいなので。
 ちなみにこれ書いてたらGameSparkで独自の総選挙始めました。どれくらい差が出るのか楽しみですね。テレ朝の企画を擦った上での発表なので、投票側もわざとテレ朝の方の上位を外してくるみたいなちょっとしたバイアスがかかる恐れがあり、できればこういうのは放送前にやって欲しかったところですが。


・年代別

 さて本題です。色々なデータから見る遊びをしてみましょう。まずは年代別。
 100位までのゲームの発売日がどのくらいの偏りがあるのか見て見たいと思います。カッコの中はその年代のトップのタイトル。
 
1980年代:9(ドラゴンクエストIII)
1990年代:31(ドラゴンクエストV)
2000年代:25(ファイナルファンタジーX)
2010年代:32(ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)
2020年代:3(あつまれどうぶつの森)

 参考までに、平成元年が1989年、令和元年が2019年です。
 主なゲーム機の発売日はスーパーファミコンが1990年、プレイステーション2が2000年、ニンテンドーDSが2004年、プレイステーション4が2013年といった感じですね。
 思ったよりは均等にばらけたなと思いました。80年代のソフトが1割近いというのも、年寄りの世代がある程度入れてくるだろうなという予想はあったのでそれほど意外でもないです。

・機種別

 次に機種別で見てみましょう。カッコの中の数値はランクインされたソフトの数。ここからは多い順に流していきます。

1位:SFC(15)
2位:PS2(11)
3位:FC(10)
3位:PS1(10)
5位:PS4(9)
6位:Wii(8)
6位:Switch(8)
8位:DS(6)
8位:3DS(8)

 上の年代別と重ねてみれば1990年代に活躍したハード(SFC、PS1)が多いのは納得ですね。こちらもやはりそれなりに均等にばらけているようですが、人口比率の都合で30代後半から40代あたりの投票数が多かったのではないかという気がします。テレビ見てる人の数の差という事も含めて。ちなみに僕は総選挙(の応募)やってることすら知りませんでした。

・ジャンル別

 次はジャンル別。カッコの中は例によってランクインされたソフト数です。

1位:RPG(45)
2位:アクションゲーム(21)
3位:アクションRPG(9)
4位:シミュレーションRPG(3)
5位:パズルゲーム(落ちモノ)(3)

 RPGの過半数議席確保。アクションとかシミュレーションとか付随したものを足せば6割近くがRPG。ドラクエ、FF、ポケモンなど有名タイトルの大半がRPGなのでさもありなんという所ですが。
 テトリス、ぷよぷよ、ドクターマリオという落ちモノで外せないソフトがしっかりランクインしてるのがさすがだなーという所です。

・メーカー別
 メーカーはあくまで発売メーカーで分けている(開発元は考慮しない)のと、発売時のメーカー名を記載した上での集計です。

1位:任天堂(43)
2位:スクウェア(11)
3位:スクウェア・エニックス(9)
4位:カプコン(7)
5位:エニックス(6)

 任天堂の強さよ。
 スクウェアとエニックスとスクエニを足してもかなわない。その中でもカプコンは頑張ったんではないかと思います。格闘ゲームがストIIしか入ってないのに。
 次点はコナミ。桃鉄をコナミのソフトと言ってしまう事に違和感を覚える世代です。

・シリーズタイトル

 有名なゲームはシリーズが何作も作られます。ソレが故に票がばらけるというのがこういう時に弱点としてあげられますのでシリーズタイトルによる集計だとどうなるのか見てみましょう。できればタイトル毎の得票数があると面白いんですけども。

1位:ファイナルファンタジー(10)
1位:ポケットモンスター(10)
3位:ドラゴンクエスト(9)
4位:ゼルダの伝説(5)
5位:どうぶつの森(4)
5位:モンスターハンター(4)
5位:ペルソナ(4)
5位:スーパーマリオ(4)
(マリオカートは除きました)

 ここにきてペルソナが急浮上。スーパーマリオはマリオカートを入れると6作ですがここはあえて外しました。
 ドラクエ(ビルダーズは外しています)が1と9以外全部ランクインしてるのが凄いですね。シリーズタイトルとしては一番売れたのが9なのに入ってないという。ゲーマー向けのタイトルがなく、一般層に浸透したタイトルが上位に来ているという割にはライトユーザーに売れたタイプのゲームが案外ランキングに上がっていないというのがよくわからんので誰か考察してください。
 ある程度の領域を越えた有名なソフトになるともうばらけることのデメリットすら吹っ飛ばすというのがよくわかりましたね。

・気になった点をあげてみたい

 これまでの結果を踏まえて、気になった点をいくつか挙げてみたいと思います。主に「あれがないぞ」を起点としていますが、特に投票結果を否定するものではないことを先にお断りしておきます。
 元々「若者は今(または直近で)遊んでいるタイトルを、年寄りは昔遊んだタイトルを挙げるのではないか」と思っていました。特に50代あたりになるとファミコンで遊んでたけどSFCで離れちゃった、みたいな人が多そうなので。しかしそれでも人口比率の都合でランキングへの影響がそれなりに大きくなってそうな。

・海外のゲームが普通にランクインしている
 昔は海外のゲームというと洋ゲーというジャンルに押し込まれて色物扱いされたものですが、配信で遊ばれるゲームは大半が海外のゲームではないかという勢いで遊ばれています。日本の有名どころがRPGばかり(あまり配信に向かない)だという点も影響してるかもしれませんが。
 上位にアンダーテイルが入っているのはRPGだからという所はありますが、ブラッドボーンとかAPEXとかも入ってきているのは今の時代ならではという気がします。むしろここまで来ていたならアサシンクリードやアンチャーテッド辺りも入っていて良さそうな感じがしますね。
 
・セガがない
 マジでゼロ(ぷよぷよはコンパイルのソフトだからね)というのは凄い話で。バーチャファイターとかファンタシースターオンラインとか、後のゲームに大きな影響を与えたであろうものは沢山あるのに何一つラインナップされないというのは正直びっくりです。アーケード総選挙なら沢山入るとは思うんですけども。
 セガがないというのは同時にセガハードがないという事でもあり、この結果を見る限りはドリームキャストの目指した方向性は正しかったんだろうなという感じがします。結果として全く達成していない事はさておき。

・しかしSCEもない
 SCE販売のゲームで国内開発のソフトはグランツーリスモ4だけ。あれだけ有名になって毎朝フジテレビでも映っていた「どこでもいっしょ」がランキングに入らないというのはちょっとびっくりしていました。一般層に浸透しているタイトルで、なおかつ今でもある程度シリーズが継続して遊ばれているものでないとランキングに入ってこないのかもしれません。新作がある事で存在を認知され続けた上で旧作も記憶に残り続けるという相互作用。
 SCEは優れたIPが沢山あるのにそれを長期間育てるという事をあまりせずに次々新しいものを繰り出していくタイプだったので、こういう時にみんなの記憶から抜け落ちやすいのかもしれません。任天堂とは逆の姿勢なんですよね。

・さらにレベルファイブがない
 妖怪ウォッチとかイナズマイレブンとかレイトン教授とか、アニメと連動してめちゃくちゃ流行ってたじゃん!って感じのするレベルファイブ作品が全然上がってこなかった。一般層に浸透したタイプのタイトルが上位に上がりやすい傾向にあったので、もうちょっと出てくるのではと思ったのですが、これはSCEと同様に「新しいIPを次々繰り出す戦法(これは社長自身が実際そうだと言っていたはず)」でやっている事の弊害だと思われます。別に総選挙で出てこなくても利益出てれば会社的には何も問題ありませんけども。だから特に気にしてないんじゃないかなあという気はします。

 
・PSPがない
 これも驚いた点。売り上げ本数から考えてもモンスターハンターポータブルシリーズが一つくらい入ってもいいだろうと思ったのですが。この辺、セガと含めても「ゲーマーの常識は世間の常識ではない」というのがよくわかる結果だなあと思いました。テレビ番組による募集という、最も一般的で、最も偏りのない分布になるであろう企画でこれというのは色々と考えさせられるものがあります。
 まあモンハン以外に何かあったかというと思いつかないのでそんなものかもしれんなーという気もします。
 ちなみに国内販売ハードで出てこなかったのはPSPの他には(前述したセガハードを除けば)PSvitaとかXBOX系列が該当しましたがこの辺はまあそうだろうなという感じなのでこれといって感想はないです。
 
・シューティングがゼビウスだけ
 番組出演者の口からはツインビーやグラディウスなどのタイトルが上がっていましたが、ランクインしたシューティング(FPSやTPSは除く)がゼビウスだけという結果に。これもセガと同様にどちらかというとアーケード文化のゲームであり、家庭用ゲーム機でシューティングが一般的に遊ばれていたのはFC時代くらいのものだという所なのでしょう。とにかくゲーマー(だけ)が好むものがバッサリ落とされてるという。
 
・ギャルゲーがない
 これも特徴的。ユーザー総数の絶対的な少なさがここに露呈した感があります。幻想水滸伝とかゼノギアスみたいな熱心なファンのいる中堅ソフトが堂々とランクインしている中でもサクラ大戦もときメモも入ってこないというのはなかなか面白い結果です。
 ギャルゲーに限らず、スポーツゲームやレースゲームなど、ユーザー層がある程度固定化していそうなジャンルは軒並み上がってきませんでしたね。格闘ゲームすらストIIのみですからねえ。
 
 
・そんな中で健闘したソフトたち
 三国志や信長の野望全国版などのファミコン時代に出たSLGがランクインしていたり、前述したゼノギアスや幻想水滸伝に加えてタクティクスオウガが意外と上にいたりというのは面白かったですね。ユーザーの熱意の凄さを感じて嬉しかったです。売り上げ本数だけで考えるとペルソナも相当な健闘っぷりだと思います(5は海外での評価も抜群に高いのですが)。

・総評的なもの

 という訳で特にこれといって深い考察をするわけでもなくデータを提示しただけで終わってしまいましたが、まあ満足したからいいや。総括的なものはありませんが番組の解説が割とちゃんとしてた事とか、出演者がちゃんとゲーム好きな人を連れてきていたなーとかそういう所でも安心して視聴出来たので楽しかったです。出来れば五年くらい毎に定期的にやってほしいですね。夜の七時という時間帯でテレビゲームを題材にした番組が堂々と放映されるようになったんだなあという所が一番嬉しかった所かもしれません。
 後日気が向いたら自分の中のベストテンみたいな事もやってみたいような気がしますが裏推し本企画があるのでいつやるかわかんないです。
 長い文章読んで下さってありがとうございました。いるのかわかりませんけども。

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