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検査に行こう! という暴力

まず自分は医療の専門家ではないということを断っておきたいと思う。というのは、責任逃れのためではない。逆に、なまじっかな知識があると思われたらたまらないからだ。また、私は科学としての医療を否定する者ではないということも断っておきたい。

それにしてもだ。私のパートナーは、悩んでいる。それを見るにつけ、この、社会的な広報活動が有害なものに思えて仕方ないのだ。

というのは、詳しくは書かないけれども、婦人科系の病気の検査を推奨する今の社会的動向に疑問を感じているからだ。

実は、私のパートナーは、女性ならではの痛みが辛すぎて、ある日、たまたま病院に診察に行った。そしたら、HPVの検査もしておきますか的な流れになった。パートナーは軽い気持ちでその検査を受けたらしい。

ところが、結果は、「高度異形成」とのこと。おまけに医師から、まだ命には別状はないだろうという、謎で曖昧な診断を受けた。それで、パートナーは、なにより精神的にまいってしまった。しかし、検査結果を見ると、明らかに、結果は難解なアルファベットで書かれていたが、実情は中度異形成という結果らしい。わけがわからない。

医師の推薦状を持って、いわれるがままに、もっと大きな病院へ、検査に行くことになった。念のため、数ヶ月間をあけて行ってみることにした。すると、診断結果は異常なし。しかし、3ヶ月ごとに定期検診を受けに来るように、いまだに電話がかかってくる。まさか、患者個々人を心配しているわけでもあるまいし、事務手続き上の不具合がなにかあるのだろうか。きっとそうにちがいない。

いろいろと調べるうちに、私のパートナーと同様の精神的な負担を感じている女性がたくさんいることが判明。体感としては何も異常はないように思われる女性が、いきなり初期ガン患者予備軍として診断される。

ただ、病院側が、個々人の精神面までフォローしようというつもりはあるはずもない。

病気を治療しようとする前に、それ以上に女性患者予備軍が傷ついているという現状は把握されていますか。有名な小説家(人間の心情をより理解しているはずの)H .K.(マチネの終わりに)さえもが、検査や予防を無自覚に呼びかけている、終わった昨今の現状。

どうすればいいのかと迷われている(特に女性の)方。ご自身の身体感覚に問いかけてください。自覚症状がないのなら、ちょっと、立ち止まって、ためらってみてください。

健康というのは、医者ではなくて、自分自身が決めること。

人間、いずれ死ぬ存在。だとすれば、ちょっとしたわるい兆候があれば、それが死への連想につながることは必至。パートナーは今のところ、2年以上たったのにすこぶる元気。逆に、診断を真に受けて、抗がん剤治療に専念したがゆえに突然体調が悪化して死んでいった知人たちも枚挙にいとまがない。また、祖母は、老齢ながらガンと診断され、それ相応の治療を受けたがゆえに、当初、もう半年は生きられるという診断を受けたにもかかわらず、1ヶ月たらずで死んでしまった。

この、検査=善という現状は、けっきょく、間違っているのだと思う。というのも、検査というのは、すこぶる政治に結びついているから。多数を救うために少数を犠牲にするというのが、医学の本質。本質的に、個人がないがしろにされるのが医学。





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