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インストゥルメンタルのススメ

Kroi沼に落ちて2ヶ月が経ち、なんとまぁ、まだ毎日聴いてるとかいう状態です。それでも、他のものを掘りたくなって、だんだんちょいちょいと聴いてきてはいるんですけどね。で、この稿の導入として、以下の対談を引用したく、リンクを貼ってみました。内容的にも面白いので、興味があれば読んでみるのも良いと思います。

(以下引用)
内田:俺の美学として、重い歌詞を重く聴かせないことを重視してるんです。音楽を楽しんで聴くときに歌詞の意味は考えないから、歌詞が耳に刺さってくるようだとダメだと思ってて。

私は前もちょこっと書いたように、歌詞は読まないで音を楽しむ派で、歌詞が引っかかったらその時点でさっと読んで、さらっとしか解釈しないのです。なので、作品を作っている方々に申し訳ないと思っていたものですから、そうも音で聴く派のことを意識して作品を作っているなんて・・・その感覚に救われる想いで涙出そうです。

そうなんですよ、たまにですね、歌詞なんて重ったいもの聴けないな〜なんてモードがやってくるんです。そういう時は安心してください、インスト聴きますからあ(笑)。

そうです、インストゥルメンタルの世界へようこそっ!!!
インスト?難しい?歌ないとイヤ?・・・最初慣れるまでの違和感はどうしてもあると思います。
でも、「習うより慣れろ」「考えるより感じろ」です。ストレートに楽器の心地よさが耳に飛び込んできます。そしてその感覚を持って歌を聴くと、歌だけではなく、演奏についても楽しく聴けるようになるんですよ!こんな素晴らしいフィードバックがあるので、是非耳を傾けて欲しいと思うのです。

自分のことを少しだけ言わせていただくと、インストを聴くキッカケはやはり大学でジャズサークルに入ったこと。でも、最初はどうしても好きになれなくて、、L⇔Rのコピーをやりたくてサークルを数ヶ月で辞めました。だけど、SING LIKE TALKINGからのSALT&SUGARからの塩谷哲さんで、インストの世界にハマったのでした。それが2000年頃かなぁ。音楽を聴き始めて10年経つか経たないかくらいの頃でした。

以下にインストリスナー歴20年超のワタシが重〜く好きな曲から、ぱっと聴いてかっこいいなと思った曲までプレイリストに網羅しました。良かったら聴いてみてください。お気に入りが見つかって、インストの世界も楽しくなることを祈っています。

では、以下にちゃんとしていない解説を(笑)。
一番最初に掲載したプレイリスト「まいふぇいばりっと」と結構被ってますが、あちらはごくごく私的な作業用のプレイリストなので、ご容赦くださいませ。

◆HORNS RIOT/TRI4TH&Calmera
これは「私の勝負曲」で動画を貼っている曲です。めちゃめちゃ好きな曲です。TRI4TH5人とCalmera8人の13人の男たちがガチコラボして、ものすごい音圧になっているんですが、トランペット&サックスのソロバトル、2人ドラム、ギターソロ・・・盛りだくさんで迫ってきます。曲も前半をTRI4THが、後半をCalmeraが書いて、両バンドの異なった個性を感じながら聴くのがまた楽しい曲であります。

◆石の教会/bohemianvoodoo
高品質なインストゥルメンタルバンドを多数抱えるインディ・レーベルのPlaywrightの2大看板バンドのひとつ、bohemianvoodooによる楽曲。横のリズムが心地よく、美しいメロディが映える曲。色んなところで引っ張りだこのピアニスト木村イオリさんのロマンチックなピアノは特に聴きどころだと思います。

◆Black Flow/Re-Trick
前回のプレイリスト企画「ベースを聴くプレイリスト」でも取り上げたRe-Trickですが、なんと言っても、三位一体の拮抗した、それぞれがそれぞれに走り回るアグレッシブなアンサンブルが魅力です。この曲は展開も多く、聴き応えがあります。

◆The Downtown Story/Calmera
これは私のCOOL DRIVE好きに通ずる1曲です。左チャンネルから聴こえてくるギターのカッティングに萌えます。萌えすぎます。とは言っても、大阪発のバンドなので、この曲にも感じられる人情味がまた良くて、Calmeraの楽曲の中で私にとっては3本の指に入る曲なのであります。それもそのハズ?ギターの宮本敦さんが書いている曲です。

◆Capturism/fox capture plan
高品質なインストゥルメンタルの宝庫、Playwrightより、もう一つの看板バンドfox capture planの楽曲。ボヘさんが横の心地よさなら、foxは縦の気持ちよさですかね。特に変拍子でもないそうなんですが、複雑に聴こえる感じとか、勢いある感じとか、あと、ドラムの井上司さんのキレッキレの音色が好きです(でも、つかっちゃんは打ち込みが好きって、ドラマーとは思えない発言をしててビックリした・・・関係ないけど)。

◆we gotta luv/POLYPLUS
こちらもPlaywright作品。Playwrightレーベルは日本のインスト界に於いて、めっちゃ重要レーベルなので、赤線引いておいてくださいね(笑)。このバンドはメンバーが出たり入ったりしてるんですが、この曲は、175R(!)のYOSHIAKIさんと私の推しであります、CalmeraのTSUUJIIさん(サックス)がですね、セッションバンドをやろうと、JABBERLOOPのYUKIさん(ベース)とJABBERLOOP/fox capture planのMELTENさん(キーボード)とNeighbors ComplainのGOTTIさん(ギター)に声をかけて結成したという、オリジナルメンバーでの録音となっています。同じフレーズを異なるコードに乗せて繰り返してる曲とのことですが、爽やかで好きですね。ドラムがロックドラマーということもあり、リズムが非常に明快です。

◆Eternal Flame/JABBERLOOP
POLYPLUSにも参加しているMELTENさんとYUKIさんのバンドで、お二方以外には、MAKOTOさん(トランペット)とDAISUKEさん(サックス)の4人バンドです。楽曲的には秋のイメージなんですが、YUKIさんのアタックの強い、かつ、細かくてカッコイイフレージングを聴くにも最適な楽曲です。JABBERLOOPはホーンズの伸びがとっても気持ち良いです。

◆サイコブレイク/ADAMat
たまだをアルファベットで書いて、逆から表記するとADAMatになるというのがアーティストネームの由来で、玉田さんのひとりバンド(他のメンバーはパートタイマー)の楽曲です。これはジャズメタルとでも呼べば良いでしょうか。激しいところと美しいところが1曲に同居している楽曲です。ライブでも拝見したことがありますが、みんなでヘドバン、楽しいです。

◆STAR FISH/PE'Z
もう解散してしまいましたが、日本のJAZZ界に革命を起こしたとも言えるバンド、PE'Zの1曲。ビッグバンド的で華のある曲です。メロディも好きだし、ニレハラさんのウッドベースも良い音です。初期のPE'Zは紹介したい曲が山ほどあり、どれにしていいか分からないほどなんですが、お気に入りを直感で入れました。本当はもっと選曲しときたいです。

◆At The Next Corner/tsukuyomi
菊池成孔さんのお弟子さんであります、庸蔵さんのバンドの楽曲です。こちらもPlaywright作品。庸蔵さんの優しく吹くサックスと自由に心地よさを振りまくヴァイオリンのフロント陣のコンビネーションが好きですが、このバンドのキメをキメてくるところもとても好きであります。この楽曲ではキメはソフトですが、この前作アルバムとなるのParallel Tripperのタイトル曲のキメッキメのキメもたまらなく好きです。あとジプシー感も良きです。

◆Guns of Saxophone/TRI4TH
今はメジャーレーベルで活躍しているTRI4THのPlaywright在籍時の楽曲。サックスをフィーチャーした曲ですが、ズルいのは、ギターにヒラマミキオさんが参加して、ロック魂をブチ込まれているところであります。今はまた違った方向に向いているように感じるTRI4THですが、この頃の勢いある作風が特に好きです(やっぱり好きになった時代の曲ってインパクトありますよね。。)。

◆Frolicking/小沼ようすけ
ジャズギタリスト小沼ようすけさんが、フィンガーピッキングに目覚めたアルバムの中の1曲。トリオでの録音で、このアルバム以降、完全にフィンガーピッキングに舵を切るという、エポックメイキングな作品であります。優しく温もりのある音色のギターが心地よい楽曲です。

◆Quiet Passion/J.A.M.
PE'Zに続いてシーンに登場してきた、SOIL "PIMP" SESSIONSより、ピアノ・ドラム・ベースの3人で結成されているバンドの楽曲を。SOILの激しいホーンズを除くとこんなにもおしゃれな楽曲が聴けるんだ・・・と、その魅力に驚かれるかと思います。本当に貼りたかった曲はサブスクにはなくて、YouTubeにあるので、併せて貼っておきます、「産業革命」です。

◆Doin' Something/SOULIVE
本プレイリスト唯一の海外勢であります。PE'Zのライブのタイトルには、いつも「REALIVE」という造語が入っていたのですが、その元ネタになっているのが、SOULIVEなのです。で、ルーツを辿ってみて気に入ったという珍しいケースであります。ファンキーでギターが心地よくて、オルガンの華が良いですね。

◆SNOW/indigo jam unit
活動を停止してからが長いですが。このバンドの特徴はドラムとドラム&パーカッションというメンバーが在籍し、リズムの応酬が聴けることです。・・・が、ピアノが印象的な曲を選んでしまいました。単純にこの曲の冷たい神秘的な感じが好きだからです。もっと「らしい」曲にすればよかったでしょうか。このバンドのベースの笹井さんが、Calmeraに素晴らしいトランペッター、小林洋介さんを加入させた張本人です。そしてドラムの清水さんは「トイレの神様」で有名な植村花菜さんのダンナさんであります(関係ない話ー)。

◆ファン・エクスプレス/塩谷哲
私をインストの世界に引きずり込んだお方であります。この楽曲がきっかけの楽曲だったわけではないですが、トリオ編成で録音された好きな曲です。Spotifyには、きっかけとなったその楽曲のオリジナルバージョンが存在していなくて、他に好きな曲を入れたらこの曲になりました。塩谷さん、横隔膜は鍛えられましたか・・・?(ライブのMCで横隔膜を鍛えるとおっしゃってたので)

◆radiotooth/Yasei Collective
加工された声が入っているので、インストというとちょっと違うのかも知れませんが、インストバンドとして活動しているので、カテゴリ的にはインストです。この曲は川崎のジャズフェスを見に行って好きになった曲です。カッコイイクセのある曲ですが、なんと言い表していいものかわかりません。1回で咀嚼できないので、何度も聴きたくなるタイプの楽曲です。

◆Wives And Lovers/SOIL "PIMP" SESSIONS
DEATH JAZZと言う謳い文句です。PE'Zとともにシーンを牽引してきました。J.A.M.のところで触れましたが、ホーンズがとても激しい音色を放ちます。それに伴い、リズム隊も激しい音色を奏でます。ライブはPE'Zも同様でしたが、押し合いへし合いでした。当時のインストバンドシーンはかなり尖ってまして、今のピースフルな感じとは少し違いましたが、これもこれでカッコイイのです。

◆Taka's dilemma/BinBomBam楽団
PE'Zとして活動してきた、トランペットの大山渉さんが次に始めたジプシージャズのバンド。PE'Z時代のあの張り詰めた感じは何なんだよってくらい、自然体で、こんな一市民のワタシにすらリプを返してくださる・・・年月は何を刻んだのでしょうね・・・。さて、この楽曲は私の推しであります、Calmeraの辻本美博さんがクラリネットで参加しているので、選曲しました。大山さんの音ということに変わりはないのですが、異なった雰囲気を感じて貰えれば幸いです。

◆Cloud's End/Gecko & Tokage Parade
今はギタリストが変わって、Playwrightに所属し、ますます進化を続けるG&TPですが、初期は流麗なインスト楽曲にロックな泣きギターという個性的な組み合わせが特徴でした。なので、初期の体制の曲を選曲しています。なんとなく冬っぽい感じの曲です。

◆NIRE The Bassman/H ZETTRIO
PE'Zのピアノ・ドラム・ベースでトリオとなったH ZETTRIO(公式には良く似た別人ということになってますが・・・)のとびきりベースがカッコいい曲を。H ZETT NIREの神ウッドベースが思う存分堪能できる楽曲であります。もうこれ以上の言葉は出てきません。

◆エリーゼの為に/YoYo the "Pianoman"
こちらもPlaywright作品。なんと、ヒップホップグループ、SOFFetのメンバーが奏でるJazz。最初は普通にベートーベンのエリーゼの為にが始まって、途中からスウィングしだす1曲。というか、ベートーベンでスウィングするって、すごすぎない??ねえ!!という衝撃に魅せられました。

◆Smoky Valley/I love you Orchestra Swing Style
このバンドはYouTubeにリコメンドされて気に入ったもの。実のところ、あまり詳しくは知らないのですが、ぱっと聴いてカッコイイなと思える曲です。

◆Art for Life/クリヤマコト
初出はNISSAN MURANOの応募者プレゼントCD(非売品)ですが、この曲の何がすごいって言うと、、、最初の印象的なリズム、これは、タップダンスの靴の音なのです・・・!!すごいアイデアではありません?そして、indigo jam unitのところで触れました、Calmeraの小林洋介さんについてですが、彼はクリヤマコトさん主催のアドリブコンテストで優勝した経歴があります。Calmera好きとして、クリヤさんもindigo jam unitも自分の聴いてきたカタログの中にあって良かったなと思っています。

◆激情メランコリック/DEPAPEPE
インディーズ時代のものを選曲したくて、当時ライブでも良く聴いてた通称、激メラを。多分、インディーズ時代とヴァージョンが違ってた記憶が。DEPAPEPEはここまで全部を占めているジャズとは違うのですが、瑞々しくダイナミックなフレーズが好きで聴いてました。

◆あこがれのリオデジャネイロ/塩谷哲 with SALT BAND
インストが好きになったキッカケの曲が「88+∞」というアルバムに入っているこの「あこがれのリオデジャネイロ」なのです。ですので、バージョン違いですね。メロディーとリズムがとにかくかっこよくて、聴いているだけでいいと思えたことで、ジャズにはサークルも辞めたこともあってトラウマも若干あったのですが、その溝を埋めることができ、今に繋がっているのです。

◆ドラえもんのうた/小曽根真
前の声優陣がご活躍されていた頃の「あんなこといいな できたらいいな」でおなじみのあの曲のジャズアレンジです。地中海辺りの海を軽やかに跳ねる、少し大人のドラえもん。アニソンがこんな素敵に変えられるのがすごいです。ドラえもん展にあわせて小曽根さんがレコーディングされた作品と記憶しています。

◆Factory/東京塩麹
最後に思いついて、急遽付け足しました。人力ミニマル軍団、東京塩麹の楽曲です。リズムがもうもう他にない、すごく印象的なバンドです。この曲は特にそれが顕著で、それもそのはず、今日本の若きジャズドラマーの星とも呼ばれる、石若駿さん(King Gnu常田さんの藝大の同級生)がドラムを叩いています。他では味わえない音を味わってください。

曲数も多く、書くのに時間がかかりましたが、それでも、インストの魅力が伝わったら本望であります。インストは歌がない分、それぞれのプレイヤーの演奏の個性が伝わってきやすいです。そして、そのプレイヤーを追ってくとまた新たな出会いが用意されています。歌のある楽曲も素晴らしいと思いますが、同時にインストにも目を向けると、世界がぐんっと広がると思います。

長文をお読みくださった皆様、ありがとうございます。いい加減眠いので寝ます〜、おやすみなさいませ。

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