#オサーン卍ボカロ川柳 講評1

1
wwと 草の違いが 分からない
 未来 進

作者の苦悩がリアルに伝わってくる。
つまり、選者も分からないのだ。
 小豆沢選・評

2
流行り系 オサーンも挑戦 やっぱ無理
 未来 進

流行りというのは若者の文化だ。
そこに挑戦するということは気が若く、
活気にあふれている証左。
結句の諦観が悲しみを誘う。
 小豆沢選・評

3
つい入れる なつかしワード 歌詞の中
 すながっち

ノスタルジィの深さは、経験の深さ。
なつかしワード、という箱に何を収めるのか?
それで友達になれるかどうか判断するのもよいだろう。
選者にとっては、この団体名である「卍」がすでに懐かしい。
 小豆沢選・評

4
Spotify 結局昔の 曲ばっか
 未来 進

ストリーミングでもCDでもカセットでもレコードでも蓄音機でも、
媒体によって人の趣味嗜好は変わらない。
我々は未来に向かって進んでいるようで、進んでいない。
 小豆沢選・評

5
悪ノリを 煮詰め花咲く 加齢衆
 DC

オヤジギャグのことを文学的に表現した一句。
残念ながら、若者にはうまく伝わらない。
しかし、案ずることはない。
若者の言葉もオヤジには伝わらないのだから。
 小豆沢選・評

6
レトリック 歌詞駆使するも 理解得ず
 すながっち

「ガチョーンてなっちゃうランデブー!」
そんな歌詞があったとする。
確かに理解が得られないかもしれない。
 小豆沢選・評

7
曲出来て DAW開けども 目がシパシパ
 じゃいろ

加齢による視力低下は、若者にまん延する近眼とは違う苦しみがあると聞く。
視力、体力、水分……失ったものは多く、大きい。
 小豆沢選・評

8
腱鞘炎 腰痛肩こり 目が霞む
 ことと

無理ができるのは若いうちだけ。
よく言われる言葉だ。
症例だけで17文字を乗り切ったところに生き様を感じる。
 小豆沢選・評

9
目も見えず 耳も聞こえず 勘で打つ
 ふくちよ

音程やリズムがずれている曲があったとする。
作曲者の高度な音楽的技巧によるものと解釈しがちだが、
そうでもない場合もあるという内情が知れる一句。
 小豆沢選・評

10
ラーメンの 写真でつづる OTT
 DC

OTTとラーメンの話が飛び出すと、
その時点で「ああ、この方はおっさんなんだな」
と気づける。個人の属性が判明すると、とても接しやすくなる。
 小豆沢選・評

11
姫たちの 上位入賞 助けたい
 DC

この一句にナイトの精神をみた。
むせび泣く姫も多いかと思われる。
ちなみに選者は上位入賞を助けていただくより、
お金という見える化された心遣いで助けていただきたい。
 小豆沢選・評

12
つるんでも 助け合わない オサーンたち
 DC

若者は尖っている。年増になると丸くなる。
尖っている者同士は、凸と凹でうまくはまる可能性がある。
丸い形状というのは、どうやっても誰とも一点でしか接することができない。
 小豆沢選・評

13
くだらない ネタの合間に パスを出し
 DC

おもしろき こともなき世を おもしろく 住みなすものは 心なりけり。
人生、楽しんだもの勝ちである。
 小豆沢選・評

14
帰りつき やる気あるのに 力尽き
 まめ丸にる吉

気力体力ともに充実していたあの時代。
片方残っているだけでも良しとしよう。
 小豆沢選・評

15
ボカロP ボカぁハッピー ナンチャッテ〜
 ピロッシー

オヤジギャグの見本として博物館に展示したい一句。
結句における「ナンチャッテ~」は可愛さの結晶。
 小豆沢選・評

16
やれ打つな HIGH BPMに 脈もノル
 sound papa

テンポは速ければいいというものではない。
マラソン初心者の心拍数がやたらと高くなってしまうのと同様
と考えると、初学者ほどハイテンポを好むのかもしれない。
言い過ぎだろうか。
 小豆沢選・評

17
流行りだと 思ってたけど 古いって
 未来 進

アメリカのムーブメントは数年遅れて日本に入るという。
若者のムーブメントも数年遅れてオッサンに入るらしい。
 小豆沢選・評

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