2020年の声優アーティスト楽曲10選

※ この記事では #声優アーティスト楽曲大賞2020 というタグに勝手に参加させて頂き、自分の選んだ10曲について書いています。ブログらしきものを書くのは初めてです。お手柔らかに。

はじめに

きゆうと申します。アニメを観て、音楽を聴いて、ライブに足を運ぶオタクです。Twitterでくだらないことを呟く以外にはあまり何かを発信するということはありませんでしたが、2019年末に宝の山のような上記ハッシュタグ様に出逢い、同時期の今年にこうしてキーボードを叩くに至りました。

キャラソンも入れていいとのことですが、個人的にメタ的な思い入れが乗り過ぎてしまうかな…ということで、基準としては「2020年の1月から11月までにリリースされた、声優さんがアーティスト名義で歌っている楽曲」としました。12月のリリースを待って対象に含めるのが公正というものですが、さらに絞れなくなりそうだったので結論を急いてしまいました…。
では本題です、リリースされた日付順になります。

1. 予測不能Days / 渕上舞

作詞 : 渕上舞
作曲 : 土田拓郎
編曲 : 福富雅之

4th Single『予測不能Days / バレンタイン・ハンター』収録(M1)

デビューアルバムから自身で作詞した楽曲を6つも携えてアーティストデビューして以降、自分の楽曲の詞を自分で書くことが多い作詞家渕上舞さん。ロマンティックな情景を詞に落とし込むのがとても上手だと思っています。

まずなんといってもイントロ。雨上がりの晴れ間を風を切って全速力で駆け抜けるような、あまりにもさわやかな8小説。印象的なシンセリフが鳴り散らす中、その少し下からはこの曲の今後の展開を期待させるようなピアノの主張。素敵イントロ過ぎる...!

そして、Bメロ→サビの入り方。B終盤、ドラムが高揚感を煽って煽って煽ってから…「僕っの〜(ジャジャッジャ〜ン)」と渕上舞さんの綺麗なロングトーンでサビが幕を開けます。ドラムはサビ終盤でも「待ってるから〜」に至るまでの最高のお膳立てになっていると思います。一曲を通して、ドラムのみならず本人の伸びやかな声を引き立たせる各楽器の運び方が本当に素晴らしいです。

作曲の土田拓郎さんについては、プログレを作られている方?ということ以外の詳細が分かりませんでしたが(気になる…)、編曲の福富雅之さんはアイマスを筆頭に作編曲家として活躍されています。今年ミリシタにアライブファクターがついに実装されて賑わってましたね。

2. Spending / i☆Ris

作詞・作曲 : 神谷礼
編曲 : 大久保薫

4th Album『Shall we☆Carnival』収録(M5)

(↑ 2:12頃から)

なんてシャレオツなエレクトロスウィング…。

『Shall we☆Carnival』全体の傾向として、大人な、色気のあるi☆Risというのが挙げられると思いますが、その最たるものがこの曲だと思っています。畳みかけるようなサビは、自分の気持ちに正直な年上お姉さんのペースにあれよあれよという間に飲まれていく様なのかなぐへへ…なんてことを考えながら聴いています。

また1番と2番の間、

もう 私のよ あなたの全てが もう 身体中 全部全部 染めちゃう

という歌詞に乗せ、割と唐突にDubstep的展開がなされ、ささやかなビルドアップ(と呼んで良いか定かではないのですが)の後、何事もなかったかのように自然に曲の本流に帰ってくるのが好きです。なんだか振り回されているようで。

テイストの似ている楽曲として、ORESAMAのメジャー1stアルバム『Hi-Fi POPS』に三曲目として収録されている「cute cute」があります。

こちらも質の高いスウィング。大好きです。

3. 23時の春雷少女 / 鬼頭明里

作詞・作曲 : 田淵智也
編曲 : やしきん・成田ハネダ(パスピエ)

1st Album『STYLE』収録(M7)

一曲を通して少女に起こったであろうある気づき。その結論に至るまでの微細な心情の変化の一片一片を、約4分20秒の間に聴こえてくる音の全てが語りに語っていると思います。中でも特筆すべきは、2サビの終わりを予期しかけた聴き手に待ったをかけるように突入するDメロから、ついに少女の感情が爆発する間奏に至るまでの怒涛のシーケンス。しっかりつかまっていないと(何に?)振り落とされてしまいそうです。

曲中のコマンドやエラーコードといった横文字や、ピコピコした電子音に代表される”無機”質と、間奏での感情大爆発ピアノや、もはや表現力の鬼と化した鬼頭さんの歌声から伝わる”有機”的な、あるいは血の通った温かみという二つの要素の二項対立的な構図が取られていると思っています。

プログラムは音を立てないままで 心になった

この瞬間よりの少女と、の少女の対比でもあるのかな…。

とにかく情報の密度が凄い。噛んでも噛んでもまだ味がする素晴らしい楽曲だと思います。一曲だけ大賞に選ぶならこの曲を選ぶでしょう。

余談ですが、運良くチケットを当てて赴いた1st LIVE TOUR 「Colorful Closet」 東京公演が自分にとって実に七ヶ月ぶりに参加するライブイベントになりました。当初よりキャパを減らす分、チケットの価格が上がったりといったことを乗り越えての開催でしたが、セットリスト、レギュレーション、その他諸々から鬼頭明里陣営の心意気を感じた素晴らしいライブでした。音楽に合わせて体を動かす喜びを実感することが出来ました…。

4. フィービー・フィービー / 石原夏織

作詞 : 只野菜摘
作曲 : 大竹智之
編曲 : 太田雅友

2nd Album『Water Drop』収録(M2)

石原夏織さんの2nd Album『Water Drop』に収録されている楽曲です。『Water Drop』は既出シングルの楽曲含め、全体としてとても綺麗にまとまっているアルバムだと思います。正直アルバム単位で名盤として挙げたい一枚だと思っていますが、曲単位となると一番聴いたであろう「フィービー・フィービー」になってきます。

開幕0秒目からいきなり夏が飛び込んできたような、綺麗な水が入ったバケツを思いきりひっくり返したような、無邪気さに溢れた立ち上がり。大竹智之さん由来であろうデジタルな音作りが太田雅友さんのアレンジで涼しげな印象になっていて、キャリさんの明るく楽しげな歌唱と素晴らしくマッチしていると思います。そして間奏での激エモシンセサイザー…最強です。

5. アクアステップ / 井口裕香

作詞・作曲・編曲 : kz(livetune)

3rd Album『clearly』収録(M1)

このアルバムより一週間リリースの早い前述の『Water Drop』と同じく、こちらのアルバムも水がテーマになっています。『Water Drop』収録の同氏による楽曲「リトルシング」に比べると、こちらの「アクアステップ」はそういった涼しげなイメージがより顕著で、イントロのマリンバに一気に南国へ連れて行かれてしまいます(?)。「ここが南国か」なんて浸っていると、サビに向けて一気にボルテージが上がり、サビ以降ではクラブ音楽的な展開になっていきます。Aメロから段階を踏まずにサビに入るという構成と、多彩なサウンドを駆使したkzさんの滑らかな場面転換がこの曲の良さだと思っています。

6. アンチテーゼ / 夏川椎菜

作詞・作曲・編曲 : すりぃ

4th Single『アンチテーゼ』収録(M1)

また夏川椎菜さんが何かを訴えている…。

昨年、「パレイド」から「ファーストプロット」に至るまでの自身の葛藤や、『Ep01』に垣間見る”その先”を、見事に『1st Live Tour 2019 プロットポイント』で一つの物語に昇華させた夏川さん。世紀の大名盤(当社比)の『ログライン』以降、彼女の音楽活動から目が離せないわけですが、今回も見事にやってくれましたね。

YouTubeにて本人による「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」のカバーが公開になると聞き、「なるほど。夏川さんすりぃさんお好きそうだ。」と思っていた矢先、まさかの新曲はすりぃさんによるものとサプライズ発表。しかもちょっと聴けるらしいとのこと。

『パレイド』『ログライン』『Ep01』と来て、次にどんな方向に振るかというのは大切な局面であり、またすりぃさんはかなり自分の色が強めのクリエイターという印象があったので「どんな感じになっちゃうんだ…」と思いました。しかし蓋を開けてみればすりぃ節全開の楽器が縦横無尽なボカロックであると同時に、強い口調で訴えてくる歌詞や、曲調のエネルギッシュさからはしっかり夏川椎菜の音楽活動の続編という感じが出ていて脱帽しました。フルが出るまでの間聴きまくってました。

夏川さんからのラブコールで実現した提供だったらしいのですが、すりぃさんの実力もさることながら、自分の音楽活動にはっきりとしたコンセプトを持って能動的に向き合っている夏川さん凄い…となりました。

(”持たざる者”なのでZeppツアーに行けないのが残念です。この曲で跳びたかった…。)

7. 透明のペダル / 和氣あず未

作詞 : 坂井竜二
作曲・編曲 : 坂部剛

3rd Single『イツカノキオク / 透明のペダル』収録(M2)

和氣あず未さんの歌声はあっさりしていてクセがない(ラーメン?)のが魅力であると思っているのですが、この曲のような平坦で抑揚少なめ、言ってしまえば淡白な歌い方がまさにそれを発揮できている気がします。また中音域でもファルセット気味になるお声なので、耳にとても心地よいです。

感情の起伏が少ない気怠げな歌い方であるのに、一曲を通して妙にエモーショナルで、スピード感さえある点がとても好きで、なんでそう感じるのだろう?とずっと考えていますが納得のいく結論が出ていません...。
スチールギターとベースが素敵な一曲です。

8. Poison Girl / 諏訪ななか

作詞・作曲・編曲 : トミタカズキ

Mini Album『Color me PURPLE』収録(M2)

(↑ 1:16頃から)

2020年はトミタカズキさんの楽曲にとてもお世話になりました。声優アーティストでいうと「PARADOX / 雨宮天」「シトラス / 和氣あず未」アニメソングでいうと「ネオンテトラの空」「プラットホーム」「てのひら」が特に好きです。そして11月始め、出会ってしまいました…。

「Poison Girl」最強すぎる…!

全体としてバンドサウンド色強め、攻撃力高めのザ・ロックではあるのですが、とにかく要所要所のピアノがめっちゃくちゃかっこいい…!

例えばサビ冒頭。ここぞ!というときにグリッサンドで登場してきて大暴れしたと思ったらまたグリッサンド。そして跳びポへ…。
痺れます。身体が動きます。

いつもよりもクール成分多めの諏訪ななかさんの声もとても好きです。
ぜひいつか生バンドで聴いてみたいなという一曲。

9. Visual Vampire / 田所あずさ

作詞 : 大木貢祐
作曲・編曲 : 堀江晶太

11th Single『ヤサシイセカイ【アーティスト盤】』収録(M3)

(↑ 2:53頃から)

世界に噛まれて動けなくて声も出ない君
恥ずかしいほどに目立ってしまっても助けにゆくよ
たしか君もかつて人間だった

”Visual Vampire”は「一見好印象だが、悪目立ちして主役を食ってしまうもの」という意味の英語の比喩表現らしいです。(勉強になりました…)
それを踏まえて聴いて、大木貢祐さんが「目立つことを恐れずに自分らしく生きよう」というメッセージを、”噛まれ”る、”かつて人間だった”など、直訳の意味での”Vampire”らしい例えを用いて歌詞に落とし込んでいることに気が付きます…凄い。意味を一つ一つ紐解いていくだけで記事が一本書けてしまいそうな深みのある歌詞だと思います。

曲の方はタドコロック…ではなくテンポを落としてクラップで魅せるさわやな仕上がりで、レイテストなポップの色が強いと思います。大好きです。

10. ハートビートシティ / 内田真礼

作詞・作曲 : TAKU INOUE
編曲 : k
z(livetune)

11th Single『ハートビートシティ / いつか雲が晴れたなら』収録(M1)

TAKU INOUE氏とkz氏がお互いの作詞作曲した楽曲をお互いでアレンジした二曲での両A面シングル…ということで試聴公開前から話題性に事欠かなかった一枚ですが、案の定素晴らしかったので挙げました。(クリエイター被りではありますが…)

M2の「いつか雲が晴れたなら」にも言えることですが、打ち込みメインのクラブ映えしそうな楽曲であり、手掛けた二人のクリエイターの特徴がはっきり出ている一方で、間違いなく「c.o.s.m.o.s」の系譜を継いでいると思います。

圧倒的なクリエイター陣を前に、クラブミュージックにみられるような、楽曲にボーカリストが声を貸す構図、例えば「ハートビートシティfeat.内田真礼 / kz & TAKU INOUE」的なもの(勿論これが悪いとしているわけではありません)というより、あくまで自身のアーティスト活動の一つとして打ち出せるだけの歌いこなし力というか、声優アーティスト力は天晴れです。内田真礼さん凄いと思います。

おわりに

以上、今年の声優アーティスト楽曲個人的10選でした。

特殊な状況下で娯楽の幅も限られてしまった一年でしたが、沢山の良い曲に巡り会うことが出来たので楽しかったです。

ここまで読んでくれた方(いらっしゃったら)ありがとうございます。

おわりだよ〜

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