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秋の昼下がりにて

 風が吹いている。ふんだんに秋の香りを含んだ風が、窓を鳴らす。
 私はベッドに横になり、やわらかい秋の午后の陽光を壁に感じている。
 ふんわりとまぶたを閉じる。ぬばたまの世界。ゆっくりと溶けてゆくようにまどろみ始め、意識が遠のいてゆくのを感じる。このまま眠ろうか。
 ぬいぐるみのヤマダ君を抱いて、布団にもぐる。ふわふわとした羽毛布団は心地好い。
 私は今、優しい秋の中にいる。
 
 天井が暗くなったことで、日が陰ったことを知る。眠りはもうすぐそこだ。
 どこかのニュースで野分が来ると言っていたが、それの前触れなのだろうか。
 秋の雨は嫌い。病みながら死なないでいる万物に降る春の雨と違って、冬の前触れを感じさせる冷たさだから。
 
 日は陰ったまま私は眠る。豊かな秋の午后の昼下がりを、眠って過ごす。豊穣の夢を見ながら安らかに。
 起きた頃には夜だろう。きっと麦酒で晩酌をして、一日を終える。
 無為だ。とてつもなく無為だ。でも、それを私は今、欲している。
 朝は遅く起き、午睡をとって、夜もまた眠る。
 そんななんの変化も生産性もない生活を、私は望んでいる。
 煌びやかな生活には疲れ切ってしまった。休みたい。そう切に祈って祈って、今ここにいる。

すみっコぐらしの映画が観たいです