「君の代わりなどどこにも居ない だが君の役はきっと誰かが埋める」――壊れそうになったときに聴きたい『メアリー、無理しないで』
1ミクロンも興味がなく、大嫌いだったSEの真似事をしていたとき、毎日のようにリピートして聴いていた曲がある。
tetoの「メアリー、無理しないで」だ。
狂ったように何度も「メアリー」の名を呼びかけて、必死に「無理しないで」と伝えるこの歌は、私の大切なお守りだった。
大嫌いな仕事と職場がつらかった
私は、私が「普通」に生きることを望む両親のために、1ヨクトメートルも興味のないSE業界の仕事に就いた。
職場はハラスメントをハラスメントと気付いていない旧時代的な人々であふれていて、与えられた仕事には1ミクロンも興味が持てず、やりがいもなく、毎日とても憂鬱だった。
否定的な評価を断言する人がいた。何人か。
彼らは平気で断罪する。
まるで、彼らにその権利があるかのように。否定することはとても簡単なことのように。
多分、彼らは気がついていないのだ。にこにこと微笑む「女の子」が傷つきうるということに。
攻撃されそうになると、私はかすかに微笑んだ。
(「私に攻撃の意思はありません」。)心の中でそう呼びかけて、誠意を持って、それでもどうにかほほえみを保って謝罪した。
(「大丈夫です、あなたのしたことを、攻撃だとは、みなしていません」。)そう心の中でも微笑んで。
だって傷ついてはいけないはずだから。当たり前の叱責。普通の謝罪。
「そんなことも出来ないのか!」
「そうやって笑って言い訳すれば済むと思ってるんだろ。
お前な、いつか絶対失敗するよ。取り返せないような失敗」
「……ごめんなさい。」
そして私は帰り道に、この曲を聴いた。tetoの「メアリー、無理しないで」。
再生ボタンを押しながら、言われた言葉が蘇る。
「いいか、お前は俺の言うことを聞いてればいいんだ」
「お前の考えなんか誰も聞いちゃいない。
評価するのはお前じゃなくて周りだ」
そうなのだろうか。私は意思を持たなければいいのだろうか。
そうかもしれない。意思を捨ててしまえば楽になれる。
でも、イヤフォンから聞こえるtetoの声が、その考えを止めてくれた。
そう、私の代わりなどどこにもいない。でも、私のやっている仕事なら、別の誰かにもできる。
私、あなたが言うほど悪くありません。意思だってあります
本当に、現実にこう言ってくれるひとがいれば、私は精神病院に入院せずに済んだだろうか。
「手遅れ」になる前に、別の道に進めただろうか。
そもそも、誰が何を言ってくれなくても、自分からやめてしまえばよかったのだ。あんな少しも好きではない仕事、「全て投げちまえ」ばよかったのだ。私が必要とされているとも思っていなかったし。
でも、
こう言ってくれるひとが、私にも欲しかった。
無理しないで
これを読んでくれているあなた。
もしあなたが今つらい思いをしているのなら、どうか無理をしないで。
手遅れになる前に、どうかそれをやめてしまって。
あなたを尊重してくれない人との縁は切って良いの。
つらいならいつでも逃げ出せば良いの。
気が進まないことを無理にしなくていいの。
あなたを理解しない人の言葉は無視しよう。
次にどうするかなんて、やめた後に考えよう。
今はどうか、あなたを苦しめる環境から逃げ出して。手遅れになる前に。
今の私、「こんな大人にはなりたくない」と思っていたダメな大人の条件だいたい満たしてるけど、それでもなんとか生きているから、あなたもきっと大丈夫。無理に合わないことやつらいことなんて、やらなくっていいんだよ。
大丈夫。ありのままのあなたを認めてくれる人が必ずどこかにいる。あなたはそこで幸せになれるから。
今日も生きていてくれて、この文章を読んでくれてありがとう。
明日も明後日もその次の日も、無理せずゆるっと生きていこうね。
すみっコぐらしの映画が観たいです