フットボールの詩 書籍「4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する」

ヨーロッパがワールドカップで勝つために
繰り広げられたフォーメションの見本市が
チャンピオンズリーグだ。


これはチャンピオンズリーグの戦術史と
日本代表の戦術史を比較しながら、
最近の戦術の傾向を読み解くという趣旨の本。


現在の戦術ブームの根源は
欧州列強の「打倒ブラジル」戦略にあったとする。


ペレ以降世界を席巻した個人技のブラジルに
対抗するため欧州人が様々な戦術論を
切磋琢磨したためにいまの戦術ブームがあるというのだ。


ここから見れば、
日本代表がいかに一貫性がないかがわかる。


なにしろ4年置きにブラジル出身と
欧州出身の監督を交替させているのだから。
このように日本における戦術論の幼稚さと
時代錯誤を指摘する。


なにより、
日本にはどんなサッカーがしたいかを語る土壌がない。


その前提もなく、守備の方式だけを
国民総評論家のように語っている。
「3バックか?、4バックか?」空疎な守備論のみが
紙面や酒場をにぎあわせている。


しかし、この現状、
杉山氏にも責任がないとは言わせない。
なにしろ、僕らは「ナンバー」紙上で
彼がCG模式図を使って戦術を
論じ始めたからこんなにフォーメーションで
サッカーを語るようになったのだ。
それはもう20年も前の話ではあるが。


「個人技に対抗するには、中盤を制圧する。
そしてサイドを制する者がサッカーを制す」
この目的のためにサイドにより多くの人員を
配置する4-2-3-1を生み出された。


トルシェがフラット3と唱えていた1998年が
世界的には
3-4-1-2と4-2-3-1の分岐点となる。


攻撃を主体とするオランダ式の4-3-3と
サッキ・ミランのプレッシングサッカーの4-4-2を
融合させた結果、守備と攻撃のバランスを取った
4列表記の役割分担が必要とされたのだ。


98年のワールドカップでこの4-2-3-1を披露したのが
オランダを率いたヒディングその人だ。


この自他ともに認める希代の戦術家をはじめ、
リナス・ミホルスからサッキ、イルレタ、ベンゲル、
ブルュックナー、カッペロ、テンカーテ、レハーゲルなど
様々な監督のフォーメーション分析を
歴史的に試みている。


なにしろ、詳細分析をする例が僕の好きな試合と全く同じ。


01-02CLレアル・マドリー対レヴァークーゼン
02W杯 韓国対イタリア
03-04CLモナコ対レアル・マドリー
04五輪 アルゼンチン
04ユーロ チェコ対オランダ
04ユーロポルトガル対イングランド
06-07CLのセビリヤ対バルセロナ
06-07CLのPSV対アーセナル


これらの試合をこの本片手に
もう一回反芻したくなりました。


まあ、異論反論多々あると思いますが
こちらも高い金払って、衛星中継見たり
現地に行ったりしている訳で
ロジカルに
戦術論を語ればいいと思います。

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