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天王寺にはベルリンの壁がある[大阪市天王寺区茶臼山町]

天王寺にベルリンの壁があることをご存知ですか?
私も長く大阪に住んでいますがごく最近まで全く知らず、偶然Twitterで流れてきて初めて知りました。

ベルリンの壁は冷戦下のドイツ、ベルリンで西と東を分断していたコンクリート製の壁のことです。
教科書や歴史系の動画では見たことがありましたが、壊されたという認識だったので残っているものとは思っていませんでした(後で調べると各地に残されているようです)。
しかし日本にもあるとは……しかもお寺さんに……?なぜ……?
色々と気になったのでさっそく行ってきました。

天王寺駅の少し北、このあたりをよく通る人ならびっくりドンキーと茶臼山ファミマの真ん中くらいと言えばわかってもらえるでしょうか?そのあたりの道を西に入るとそのお寺はあります。

統国寺の門 朝8時から17時まで開門しています。

入って進んでいくと静かな空間が広がります。すぐそこには朝のラッシュでざわざわしている道路があるのに何かに隔絶されたような不思議な静けさです。

天王寺公園に囲まれるような形で建っているので静かなのだろうか

境内に入って右手を見ると

朝日を受けるベルリンの壁 西ドイツ側
東ドイツ側

ありました。ベルリンの壁です。

置いてあるのが2ユニットだけということもあるのでしょうけど、思ったよりは小さいなと思ってしまいました。よく写真で見る、ハンマーで壊しているような画像からはもう少し分厚い壁を勝手に想像していたこともあるのかもしれません。
しかし、この壁にはさまざまな人のいろいろな想いがこもっているのであろうということや、これまで私からすると教科書の中の歴史上のいわば直接は触れられず、きっと実物を見ることもないと思っていたものが目の前にあるということなど、徐々に実感が湧いてきて、しばしじっと眺めていました。

横に設置されている説明碑

さて、なぜベルリンの壁がこのお寺にあるのでしょうか?
詳細はこちらの、

お寺のホームページに書いてありますが、信徒さんより「このお寺にふさわしい」と思われ喜捨いただいたとの記載があります。
その理由にはこのお寺の由緒や所属が関わっているようです。

由緒については上のページに記載がありますが、聖徳太子の時代に百済の観勒という僧が開山住持として招かれたとあります。それから大坂夏の陣で消失の危機に瀕したりといろいろあったようなのですが、現在は在日本朝鮮仏教徒協会の傘下にあり、朝鮮・韓国の仏教儀礼と伝統儀式などを行なっているようです。
朝鮮半島の話として南北統一の問題は避けては通れない話題だと思います。それに関連して、かつてドイツ人を東西に分断しており今は崩壊したベルリンの壁をこのお寺に喜捨することで、朝鮮半島の南北もいつの日か、という想いがあるということのようでした。

完全に「へー!ベルリンの壁があるんだ!」という興味本位の軽い気持ちで来てしまいましたが、いろいろな意図や理由、歴史のある場所でもありました。知ることができてよかったと思います。

朝の通勤前というちょっと忙しない時に来てしまいましたが良い時間でした。興味がございましたら天王寺周辺にお越しの際にお立ち寄りください。

あ、ひとつだけ。どこからアクセスしてもどうしてもめっちゃくちゃラブホ街を通っていくことになるのでそこだけご注意くださいね。


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