右肩上がりの資産曲線を描くEAの作り方② トラップナンピン編 <MT4自動売買>
右肩上がりの資産曲線を描くEAの作り方の2回目です。前回のnoteはこれです。
今回は、相場の上がり下がりを考えずに資産を長期的にローリスク・ローリターンで増やすEAを作成し、検証してみました。
ご存知の通り、為替FXは通貨を取引対象にしています。この通貨は、株や仮想通貨に比べると変動が小さくとても安定しています。
株が1日で10%動くことや、仮想通貨でビットコインが一瞬で10%動くことはよくあることですが、ドル円が1日で10%動くことなんてまずありえません。
今日の1ドルが110円なのに、明日120円や100円になってるなんてことないですよね。ドル円の変動幅はだいたい1日に1%程度。変動の大きいポンドですら2%くらいです。
レバレッジを高めたトレードが出来ることから、FXは大損をしてしまうような投資対象と思われがちですが、実際は変動の少ない安定した投資対象です。
2019年におけるドル円の最高値は112円、最安値は104円であり、その変動幅はたったの8円(およそ8%)です。一方、ビットコインは2019年の最高値が140万円で最安値が40万円なので100万円(250%!)も動いています。
比較するまでもなく、通貨がすごく安定していることが分かります。ドル円の場合、毎日この8円の中で行ったり来たりを繰り返しているのです。
この安定した価格幅からゆっくり利益を得ようって考えを元に、ローリスク・ローリターンのEAを作りました。では、さっそく検証していきましょう。
上下の動きから利益を得るトラリピやループイフダン
上下の動きから利益を上げる方法として、一般的なのはトラリピやループイフダンと言われる指値バラマキ系の投資方法です。
為替FXは株や仮想通貨と違い、ある程度の基準価格が存在します。ドル円なら100円から110円くらいかなみたいな。過去においては1ドル80円なんて時期もありましたが、ここ数年は105円から115円の間のレンジが続いています。
こういったレンジの上下で利益を上げる方法がトラリピとかループイフダンです。これらは一定の値幅で注文をたくさん指し、価格が上下動するたびに利益を得ることができます。買い方向であれば、下がれば買い続け、上がった時に決済する流れです。
一定の値幅を設定し、口座資金で耐えられる取引枚数を計算して指値をバラまきます。値幅を狭くすれば取引回数が増えるので、利益の増加も早いですが、逆行した場合含み損も急激に増え、口座資金に余裕がない場合、すぐに強制終了してしまいます。
逆に、値幅を広くとると、安全になる代わりに決済回数が減り、利益の増加が遅くなってしまいます。
ドル円 値幅10pips 1000通貨で繰り返した場合 ①
・ドル円 2018年1月1日から2019年12月31日 FXDDの1分足使用
・値幅10pipsでトラップ 10pipsで利益確定
・一律1000通貨
・証拠金は10000ドルでスタート
純益1800でドローダウンが20%。ということなので、20万円の含み損に耐える資金余力があれば、実運用可能となりましたが、本当でしょうか?
ドル円 値幅10pips 1000通貨で繰り返した場合 ②
・ドル円 2005年1月1日から2019年12月31日 FXDDの1分足使用
・値幅10pipsでトラップ 10pipsで利益確定
・一律1000通貨
結果はこのようになり、2010年9月に含み損が膨らんだ結果、破綻となっています。
上下の動きから利益を得つつ、もっと安全で効率の良い方法はないのでしょうか?
ナンピンを使ったロジック
上下の動きから安定して利益を得る方法にナンピンがあります。ナンピンとは、含み損状態になった時、新規に注文を入れることで平均建値を引き下げる方法のことです。
このナンピンですが、使い方を間違うと雪だるま式に損失が増えるので、絶対にしてはならない悪手と言われています。しかし、使い方さえ間違わなければ、投資を安定してくれます。
ドル円 1000通貨からナンピン 5ドル利益決済 ①
・2018年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・50pips刻みでナンピン
・Lotは1000通貨⇒2000通貨⇒4000通貨と倍々で増やす(最大64000通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・5ドルの利益で決済
EA販売サイトとか、勝率99%!みたいな商材でよく見るやつです。確かにこの2年間ではドローダウン11%で1250ドルくらい稼げています。
ドル円 1000通貨からナンピン 5ドル利益決済 ②
では、2005年から運用していたらどうなっているでしょうか?
あれ?意外といけちゃいましたね。
途中のガタってなってるところは、2011年4月1日の80円から83円の急落急騰の結果です。
純益は26174ドル。最大ドローダウンが72%なのでとても危険ですが。。。
ドル円 1000通貨からナンピン 5ドル利益決済 ③
欲を出して、50pips刻みのナンピンを20pipsにしてみました。
2005年開始で検証しましたが、2008年3月には破綻してしまいました。ストーンと資産曲線が急落していますね。
トラリピもナンピンも狭い値幅で繰り返すと危険
このように間違った使い方として、狭い価格範囲でのトラリピやナンピンは危険です。また、Lot数を上げる方法も危険です。Lot数を上げる方法とは、1枚⇒2枚⇒4枚⇒8枚といったように、ナンピンするたびに枚数を増やすことで平均建値を大きく押し下げ、リスクを回避する方法です。ナンピンし続けた結果、平均建値に戻らずロスカットなんてこともあります。
では、安定してトラリピやナンピンで利益を上げるにはどうすれば良いのでしょうか?
その答えは、十分な口座資金を準備することです。ナンピンし続けてもなくならない莫大なお金、トラリピの含み損に耐えられるお金が口座に入っていれば、無限に続けることが出来ます。
しかし、これって現実に不可能です。そもそもそんな資金あれば、そんな投資しないですから。。。
莫大な資金の代わりに、Lotを減らす
莫大な資金を用意する代わりに、Lotを減らすアイデアがあります。
例えば10000通貨でナンピンした場合、
10000通貨
20000通貨 合計 30000通貨
40000通貨 合計 70000通貨
80000通貨 合計 150000通貨
16万通貨 合計 31万通貨 ・・・
といった増え方になるので、国内FX会社のUSDJPYで考えると10000通貨あたりの証拠金が4万円として、31万通貨なら124万円いることになります。
これが1000通貨なら、
1000通貨
2000通貨 合計 3000通貨
4000通貨 合計 7000通貨
8000通貨 合計 15000通貨
16000通貨 合計 31000通貨 ・・・
となり、31000通貨でも12万4000円の証拠金でOKです。
さらに100通貨なら、
100通貨
200通貨 合計 300通貨
400通貨 合計 700通貨
800通貨 合計 1500通貨
1600通貨 合計 3100通貨 ・・・
となり、証拠金に大分余裕ができますね。証拠金も12400円だけ。
100通貨なら1600⇒3200⇒6400と増やしてもまだまだ安全です。
もちろんトラリピの通貨枚数が少なければ、含み損に耐えやすくなりますからね。(逆に利益は少なくなりますが。。。)
ドル円 値幅10pips 100通貨で繰り返した場合 ①
・ドル円 2005年1月1日から2019年12月31日 FXDDの1分足使用
・値幅10pipsでトラップ 10pipsで利益確定
・一律100通貨
では、先ほどの10pips刻みのトラリピを、100通貨で検証してみます。
・最大ドローダウン 32%
・純益 2737ドル
・総取引数 19516
最大ドローダウン32%で何とか破綻はしていません。しかし、純益は2414ドルだけです。15年運用した割には寂しい結果です。
では、利益幅を広げてみてはどうでしょうか?
ドル円 値幅10pips 100通貨で繰り返した場合 ②
・ドル円 2005年1月1日から2019年12月31日 FXDDの1分足使用
・値幅10pipsでトラップ 50pipsで利益確定
・一律100通貨
利益確定ポイントを10pipsから50pipsに変えました。
・最大ドローダウン 20%
・純益 1677ドル
・総取引数 2781
利益確定ポイントを広げると約定しづらくなるので、取引回数が減り、結果として純益も減ったようです。ドローダウンは減少しました。
もう少し控えめに20pipsで利益確定を検証しました。
ドル円 値幅10pips 100通貨で繰り返した場合 ③
・ドル円 2005年1月1日から2019年12月31日 FXDDの1分足使用
・値幅10pipsでトラップ 20pipsで利益確定
・一律100通貨
・最大ドローダウン 40%
・純益 3780ドル
・総取引数 12555
ドローダウン40%はヤバイですね。メンタル耐えられる自信ないです。
次に、ナンピンロジックについて、100通貨取引を検証します。
ドル円 100通貨からナンピン 0.5ドル利益決済 ①
・2005年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・50pips刻みでナンピン
・Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大6400通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・0.5ドルの利益で決済
・最大ドローダウン 19%
・純益 2577ドル
・総取引数 5748
なかなか良さげですね。
ドル円 100通貨からナンピン 5ドル利益決済 ①
・2005年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・50pips刻みでナンピン
・Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大6400通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・5ドルの利益で決済
先ほどは100通貨に合わせて0.5ドル決済にしましたが、5ドル決済にしてみました。結果がこちらです。
・最大ドローダウン 10%
・純益 2129ドル
・総取引数 1304
こっちの方がドローダウンも抑えられて、純益も上がりました。
ドル円 100通貨からナンピン 0.5ドル利益決済 ②
・2005年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・20pips刻みでナンピン
・Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大6400通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・0.5ドルの利益で決済
・最大ドローダウン 16%
・純益 4997ドル
・総取引数 15505
1000通貨では破綻していましたが、100通貨では破綻せずにドローダウンも16%と安心仕様です。
ドル円 100通貨からナンピン 5ドル利益決済 ②
・2005年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・20pips刻みでナンピン
・Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大6400通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・5ドルの利益で決済
・最大ドローダウン 38%
・純益 2687ドル
・総取引数 1966
狭い幅でナンピンしながら、大きな利幅を狙うと利益確定ポイントに届かずドローダウンが大きくなってしまうようです。
とりあえず 途中までのまとめ
① 右肩上がりの資産曲線を描くロジックには、トラップ系とナンピン系がある。
② トラップ系、ナンピン系ともに逆行で含み損が膨らむ。
③ トラップ系はトラップ幅を広げる、ナンピン系はナンピン幅を広げることで逆行に対するリスクを下げることが出来る。
④ さらに安全に運用するためには、少額ロット(100通貨)などで運用した方が良い。
⑤ どちらかと言えば、トラップ系よりナンピン系の方がドローダウンも少なく純益も大きい。
⑥ ナンピン系は、少額ロットにすることで安全にナンピン幅を狭くする運用ができる。これにより高回転に利益を増やすことが出来る。
⇒ 現状のベスト条件は以下の通り
・ ナンピンロジック
・ 20pips刻みでナンピン
・ Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大6400通貨)
・ 0.5ドルの利益で決済
⇒ 15年間の検証で得られた結果は?
・ 最大ドローダウン 16%
・ 純益 4997ドル
・ 総取引数 15505
この条件を上回る、さらに良いナンピンロジックを考えてみました。
* 20pips刻み、0.5ドル決済はそのまま使用
ナンピンロジック A
・ 最大ドローダウン 18%
・ 純益 3384ドル
・ 総取引数 13027
少しナンピンの取り方を変更。利益は1500ドルほど減った。ドローダウン変わらず、ボツ。
ナンピンロジック B
・ 最大ドローダウン 19%
・ 純益 3049ドル
・ 総取引数 11271
これもボツ。。。
ナンピンロジック C
・ 最大ドローダウン 17%
・ 純益 5574ドル
・ 総取引数 19602
純益が上昇。もう一息。だけど、これが限界かな。。。
奥の手 ナンピンのポジションを増やす
・2005年1月1日から2019年12月31日まで
・USDJPY FXDDの1分足使用
・20pips刻みでナンピン
・Lotは100通貨⇒200通貨⇒400通貨と倍々で増やす(最大51200通貨)
・証拠金10000ドルでスタート
・0.5ドルの利益で決済
1000通貨で検証した際、最大ナンピン通貨枚数を64000枚まで許容していたので、100通貨において51200枚まで許容してナンピンロジックAで検証してみました。
・ 最大ドローダウン 12%
・ 純益 12644ドル
・ 総取引数 19507
12%のドローダウンが許容でき、10万通貨分の証拠金が用意できれば、毎年およそ1000ドルの利益が見込めます。
奥の手 最適条件を探す
最後に最大許容通貨枚数6400枚までの状態で、最適条件を使ったナンピンロジックAの過去検証の結果です。
ドローダウンの低く、純益が多い条件を選びました。
・ 最大ドローダウン 18%
・ 純益 4238ドル
・ 総取引数 2799
最適化してもこんなもんでした。
最後に どこのMT4を使って自動売買するか?
最後に、このナンピン手法で運用するとして、MT4で自動売買するのであれば、海外FXのXMの1択ですね。
*MT4と言えば、国内FX会社としてOANDAがあります。しかし、OANDAのMT4自動売買は、東京サーバーで10000通貨から、NYサーバーでも1000通貨からなので、100通貨のトレードは出来ません。
手動でオーダーを入れるのならSBIFXTRADEであれば、1通貨から注文できるので、やろうと思えば可能ですが、上記のロジックは自動でやらないと労力に見合わないです。
XMであれば、100通貨どころか10通貨からMT4で自動売買が出来ます。
上記のような高頻度の低LOTでのナンピントレードをするなら結局、XMしかないかなって感じです。
XMのどのコースを選ぶ?
取引口座はマイクロ口座ですね。1LOTが1000通貨なので、100通貨であれば0.1LOTです。
XMってXMPっていうトレードしただけでもらえるポイントがあるんですよ。XMPはそのまま口座残高にしてトレードに使うことが出来ます。
大体10万通貨のトレードで350円くらい。口座開設してから100日経てば700円になります。10万通貨で700円なので0.7pips分くらいのキャッシュバックです。XMのドル円における平均スプレッドが1.6Pipsなので、XMPによるキャッシュバックを考えると0.9pipsとなり、国内業者と大きくは変わらない印象。
まぁ何よりレバレッジを上げとけば証拠金が少なくて済むのが大きいですね。888倍ならドル円10000通貨の証拠金がたったの1250円ですから。少ない資金で枚数が持てるのは、スワップ系のEAにとってかなり有利ですし。
次回、今回作ったトラップ系とナンピン系のEAのコードとかを紹介していこうと思います。今日は疲れたのでここまで。
そうそう、このEAもフォワードテストして結果報告します。ではでは。
読んでいただきありがとうございます。
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