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Vol.189「Estadio de Polan」 終了後 宮沢賢社長 記者会見



会見開始予定時刻を過ぎてから登場した宮沢社長

宮沢社長:
 少々遅れてしまい申し訳ありません。どうも皆さん、ご足労いただき誠にありがとうございます。
 神戸ワールド記念ホールにて開催しました「Estadio de Polan」は選手、スタッフの尽力、ファンの皆様に支えられて無事大盛況に終えることができました。
 とはいえ、突然の会場変更となり他団体選手の皆様やチケットを買って下さったファンの皆様には大変なご迷惑をかけてしまいました。改めて、心よりお詫び申し上げます。

 神戸メインイベントではWOLFGANGのジンノ・シンスケ選手が4度目のIWTヘビー級王座防衛を果たしました。これは不動龍虎選手が第6代時代に達成した防衛記録に並ぶ回数となります。ガンジュの選手がベルトの獲得をできないことは悔しいですが、メインイベントにふさわしい非常にレベルの高い試合を毎回していただいて、プロレスリングガンジュの興行を引っ張っている存在であると思います。

第15代IWTヘビー級王者ジンノ・シンスケが最多記録に並ぶ4度目の防衛に成功した。


 そのほかのタイトルマッチにつきましてもそれぞれ見どころの違った、素晴らしい戦いが繰り広げられました。EAGLE6人タッグではそれぞれ団体の違う3名が挑戦し、IWTジュニアタッグも北上選手と城戸選手が組んで挑戦ということで、ガンジュ対他団体という形にとらわれない形態が広がっていることは大変喜ばしいことだと思います。

桃炎隊に所属する城戸真絃(STARGEAR)がGBAに加入した。


 一方で興行主として触れなくてはならない問題も発生してしまいました。第3試合のTEKKI選手とヤマネコマスク選手の試合において、「ファントム」と名乗る人物が乱入し、試合を妨害するだけに留まらず、TEKKI選手を試合続行不可能な状態にしてしまう事件が起こりました。
 これまでも乱入を繰り返してきたファントムですが、今回の事態を重く受け止めて、会場のバックステージ、選手控室の警備を強化し二度とこのようなことが起こらないように全力を尽くして参ります。

ファントムの襲撃でTEKKIが試合続行不可能となり、無効試合となった。




宮沢社長:
 それではこれより、質疑応答に移らせていただきます。質問のある方はどうぞ。

痩せた記者:
 ファントムの襲撃を受けたTEKKI選手ですが、試合続行不可能だったということですが……大丈夫なのでしょうか。バノゥ選手のもつIWTジュニアヘビー級王座への次期挑戦者は「THE KING OF HAWKS」を優勝したTEKKI選手が最有力となっているでしょうが……。

宮沢社長:
 TEKKI選手は脳震盪の症状が見られるということで、次期シリーズは欠場となります。IWTジュニアヘビー級王座への挑戦はTEKKI選手が権利を有していることに変わりはないですが、次期シリーズでの動向を見て、挑戦者は判断致します。

太ったメガネの記者:
 「Estadio de Polan」が大阪城ホールから神戸ワールド記念ホールへ変更となったことも関係すると思いますが、プロレスリングガンジュの財政状況が不安定な状態にあると噂に聞きましたが、そのあたりいかがでしょうか。

宮沢社長:
 …………その噂というのは、どこからの情報ですか?

太ったメガネの記者:
 えーと、それは明かせませんが、確かな情報筋からの情報です。余計な経費がかさんでいたり、グッズ販売が落ち込んでいるとか……。

宮沢社長:
 ほ、本会見とは関係のない質問には答えられません。他の方、質問ありますか?

こたつに入った記者:
 TEKKI選手との一騎打ちをブチ壊されたヤマネコマスク選手こそが、次期IWTジュニアヘビー級王座挑戦を表明すべきと思いますが、いかがでしょう? まあ、バックステージで怒りを表現する前に、リングの上でヤマネコマスク選手はなんとかするべきだったとは思いますがね。そもそも最近のガンジュはTEKKI選手、北上選手、エル・テンタクロ選手のような関節技をひとつの大きな武器とした選手が活躍していますが、どうなんでしょうか。かつてのガンジュには本隊にいたころのヤマネコマスク選手や、魔界軍のジン・ギスカン選手や退団した牛若丸選手のようなハイフライヤーが輝いていたんですよねガンジュ黎明期の大技のバーゲンセールのような試合はともすれば批判されがちですが見栄えする試合だったということは否定できないわけですよねソモソモガンジュッテワシガモチーフノダンタイナノニグラウンドニタケタセンシュガオオクナルッテイウコトジタイナゲカワシイコトデスシワタシガムカシウシワカマルセンシュニシュザイシタトキモ……

宮沢社長:
 他に質問ありますか?


目のクマがひどい記者:
 次期シリーズのカードはまだ未発表ですが、見どころなどあれば教えていただけますか。

宮沢社長:
 ああ、大事なことを忘れていましたね。次期シリーズ「Hungry Camp」は横浜武道館、そして愛知県体育館にて開催いたします。すでに決まっている対戦カードは、IWTジュニアタッグ選手権試合の藤沢&佐倉河組vs城戸&北上組、スペシャルシングルマッチとして縁ノ下勝也vs不動龍虎となっております。また、そのほかは……

バタンッ!!


会見中に魔界軍の雁野童次が乱入する。

宮沢社長:
 か、雁野選手?

雁野 童次:
 邪魔するぞ。次のシリーズ、横浜でも愛知でもどっちでもいい。俺にIWTヘビー級王座に挑戦させろ。

宮沢社長:
 ええ……そんな急にココで言われてもなあ。

雁野 童次:
 お前の都合なんか知ったことか。俺はずっと、機会を伺っていたんだ。暗闇の奥底で、息をひそめてな。今、この時がベストと判断した。

宮沢社長:
 まあ今んとこIWTヘビーに挑戦表明してる人はいないけど……うーん、雁野かあ……。

雁野 童次:
 何を悩む必要がある。さっさと決めろ。
 

???「社長はお前が実力不足だと言いたいようだぞ」


宮沢社長に詰め寄る雁野の前に星野夜鷹が現れる。

星野 夜鷹:
 お前はIWTヘビーに挑戦できるような格の選手じゃない。ですよね、社長?

宮沢社長:
 ええっ!? いや、そんなことは……ねぇ?

目のクマがひどい記者:
 こっちに助けを求めないでください……。

雁野:
 ……星野、お前には言われたくないぞ。実力どころか知名度もないお前に。最近ようやく出られるようになったヤツに口を挟まれたくないんだよ。

星野:
 少なくとも俺は元IWTヘビー級チャンピオンだ。第8代IWTヘビー級王者。お前の巻いたことのないあのベルトを、俺は巻いてる。

雁野:
 誰が覚えているんだ、そんなこと。

星野:
 少なくともお前よりは発言権が強いっていうことさ。だが今のジンノ・シンスケに挑戦するにふさわしい実力かといったら……まあ、たしかに心もとないかもしれんけどな

雁野:
 だったら消えろ。俺は俺の信念をかけて挑戦表明しているんだよ。

星野:
 お前の信念なんて4連続防衛のIWTヘビー級チャンピオンのプライドの前にはちっぽけなもんだろうさ。それに俺は憂いている。不動のライバルだったはずのお前が、こんだけの差をつけられちまってる。同じイーハトーヴプロレスの出身として、お前の先輩として、ほうってはおけないんだよ。

雁野:
 余計な心配をするな。すべてIWTヘビーを獲れば覆せる。

星野:
 今のお前が万が一ベルトを獲ったとして、そこで終わりさ。関龍之介が盛岡博昭のIWTヘビー挑戦について、「盛岡がIWTヘビーを獲ったらガンジュは終わる」と言ったが……俺はそれには同意しないが、お前についていえば似たようなもんだよ雁野。お前は実力はそこそこ持ってるだろうが、ファンにとってはお前がIWTヘビーを巻く姿なんて求めてないんだよ。

雁野:
 ……喧嘩売りたいならすぐ買ってやるぞ?

星野:
 俺と喧嘩がしたいならリングでやろう。お前は今、IWTヘビーに挑戦するべきではない。お前はガンジュの主役にはなれない。エースのライバルにすらなれなかったお前を、老兵の俺が再教育してやる。お前をパッパッとやっつけて、もう一度俺がIWTヘビーに挑戦する。

雁野:
 ぶっ殺すぞこの野郎……!!

宮沢社長:
 ストップ! わかりました、シングルマッチを組みましょう!!

宮沢社長:
 横浜大会で雁野選手、星野選手がシングルマッチを行い、勝者が愛知大会でジンノ・シンスケ選手の持つIWTヘビー級王座に挑戦ということに致します。

雁野:
 チャンピオンになることを求められていないのはお前だろうが星野……!

星野:
 そんな俺に負けてしまえば、いよいよお前は終わりだぞ雁野。魔界軍の中でも浮いているくせに。

宮沢社長:もうやめろ! 試合決めたんだからさっさと出ろ!!

(※数人がかりでなんとか両者を引き離し、退室させる)



宮沢社長:
 フゥー……まったく。……これで記者会見は終了となります。最後にひとつ申し上げさせていただきます。
 現在、プロレスリングガンジュでは我々とパートナーシップを結んでいただける企業を広く募っております。リングマットや垂れ幕の広告のみならず、所属選手の企業様へのプロモーション参加、イベント参加など行わせていただくつもりです。なにとぞ、弊社への金銭的支…………ゴホン! 弊社とのパートナーシップ提携のご検討をよろしくお願いいたします。

                         (了)


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