(ペンパアドベントA)WSC10回分を振り返る

はじめに

タイガーさんです。はじめましての方はよろしくお願いします。

アドベントAの記事ということで、「WSCを10年分振り返ります」。

WSCというのはWorld Sudoku Championshipの略で、数独の世界選手権のことです。
「そもそも世界選手権って何やるの?」みたいな質問もあるかもしれませんが、そこから説明すると長くなるので、今日は省略させてください。(ブログやTwitterへの返信で質問は受け付けております)

で、何故10回なのかというと、私が初めて出場したのが2010年(第5回)で、そこから2019年まで途切れずに10回続けて出たからです。(調べたら本名がバレる…
10回出たら色々あり過ぎて自分でも忘れてしまうので、今回整理しようと思いました。

半分以上自分語りで、パズルの問題が一切登場しないただの日記ですが、「世界選手権って色々起きるんだなあ、気になる」と思ってもらえれば幸いです。

(順位はプレーオフがある場合、「プレーオフ前⇒プレーオフ後」と記載。その記載がない場合は、プレーオフなしか進出できず)

2010 アメリカ

 個人25?位、団体3位
初出場。当時は偶然予選を通ってしまったという感覚で参加しました。ちなみに、この年は1チーム3名で予選は3位でAチームでした。
一緒に参加した日本チームの皆さんは、名前だけしか知らなくて全員初対面でした。
海外のパズラーは名前も知りませんでした。この回の運営はThomas SnyderとWei-Hwaでした。どういう人かは教えてもらっていたのですがピンと来ておらず、今思えばサインもらっておけば良かったなと…
個人戦は右も左も分からない状態だったのでこの順位かなという感じでしたが、団体戦は洗礼をずっと浴びました。
・誤答を勝手に提出
・weakest linkでハタンしてダントツweakest
・最後の団体戦ラウンドまで1位だったのに、私のミスが原因で全体がハタンして順位が転落した
こんな私と嫌な顔一つせず面倒みてくれたチームメイトに感謝です。ちなみに、チームメイト2名の順位を掛け算しても個人戦順位は私の方が大きかったです…

2011 ハンガリー

 個人4位⇒2位 団体5位
この年から変わったことが2つあります。
一つは、WSCがWPCと続けて開催になったこと。もう一つは、自分の実力が格段に上がったこと。自分で言うなという話ですが、昨年の大会で学んだことを生かしてオンライン大会や北京の数独大会(2011,2012に行われた)で地道にやってきたおかげで、表彰台行けそう、と思っていました。
個人戦はプレーオフ前4位、タイム差あり9問のプレーオフで2位に上がれました。1位のSnyderとはプレーオフ前から大差を付けられていたのが残念でしたが、やることはやったという思いでした。そして、この感じでやっていけばいつか優勝出来るかなと確信しました。

2012クロアチア

個人1位⇒2位 団体1位
プレーオフ前で初めて1位を取れました。個人戦の最終ラウンドが合体ナンプレ単問だったのですが、ハタンして0点でした。でも、結果を見ると最終ラウンドを残して1位が確定していたようです。
プレーオフは上位8人でトーナメントをして勝ち上がる形式で、2位と決勝戦を戦うまでは難なく勝ち上がれたのですが、決勝戦はJan(Poland)に負けてしまいました。
決勝戦は5問を1vs1で解いて3問先取という形式でしたが、1-1で迎えた3問目で私が解けずに詰まり続ける、Janハタンで会場がとてもザワついたのが印象に残っています。結局、私もどうにか解けるところまでいきましたが、先にJanがハタンを直していました。その流れのまま敗れました。でも、優勝はまた来年頑張ればいいやと思いました。

・2013大会の前に
2011, 2012は国内で予選が行われなかったため、JPFが過去に行ったことある選手何人かに声を掛けて参加するという手段が取られました。予選がなかったことは残念です。
それでも、個人としてはこの2年の間に積ませていただいた経験が非常に大きかったです。2013から予選はきちんと行われているのですが、先に経験した分周りより得をしてしまったという申し訳なさは、この頃持っていました。

2013中国

 個人4位⇒2位 団体3位
プレーオフ前は4位でした。プレーオフ前1位は2位以下に大差を付けたTiit(Estonia)でした。が、プレーオフで1問に嵌ってしまい、早々に脱落する波乱が起きました。
プレーオフは2段階で10人⇒2人⇒1人という形式でした。私は2人に残り優勝決定戦に臨みました。優勝決定戦の形式は前年のプレーオフと同じで3問先取の1vs1です。
1-1で迎えた3問目、私が選んだ一つ違いナンプレで衝撃のミスをしました。何と、最初に埋めた数字がすぐに決まるはずのないマスでなかったうえに、その数字が間違っていました。何とまさかの1マス目から間違い…
途中で両者の進み方があまりに違うので客席がザワつきました。途中で自分のミスに気付きましたが、直して解き直す時間はありませんでした。
それでも、4問目を取って2-2に戻して5問目、最後は本当に接戦となり、5秒以内の差で相手が先に解き、敗れました。
これで3回連続の2位です。でも、優勝はいつか来るから大丈夫と、何故か冷静に考えていました。

2014 イギリス

 個人2位⇒1位 団体1位
プレーオフ前は2位でした。確か、最終ラウンドの単問で全消しして時間が掛かったため、1位から2位に転落したと思います。
でも、転落したことでプレッシャーが減ったのかもしれません。優勝決定プレーオフは5問を先に解き切る(ただし、予選スコアに応じたタイム差あり)形式でした。
タイム差はほとんどなかったのですが、なかなか追いつけません。でも、4問目で逆転しました。残る問題は簡単なクラシック数独。普通に解ければ大丈夫でしたが、10年見返して、このときだけは手が震えました。
結果、無事に解き切り優勝できました。上位にいればいつかは優勝すると思ってやってきて、その通りになって良かったです。次の年からも、上位にいればまた何度か勝てると引き続き思ってやるようになりました。

2015 ブルガリア

 個人1位⇒1位 団体1位
プレーオフ前1位からの1位、2連覇でした。プレーオフは自分の得意な問題が多く出たのもあり、2位以下の差をさらに広げて余裕を持った試合運びでした。
世界選手権のプレーオフで、1位が難なく勝つことはP含めても案外少ないです。そして、観客の大半は逆転があった方が面白いようで、この結果に「つまらない」とさえ言われてしまう始末でした…。(日本チームの一部意見)

2016 スロバキア

 個人3位⇒3位 団体1位⇒3位
3連覇に失敗しました。
原因は、高い配点の問題に嵌ったら…と考えて、高い配点の問題だけを残して、時間調整が出来なかったからです。ある一定以上の順位を取ればいい大会(例えば国内予選)など有効な場合もあるのですが、世界選手権で優勝を狙える人がやってはいけませんでした。次の年から、作戦には気を付けるようになりました。
団体も3連覇に失敗しました。
団体はプレーオフ前1位でしたが、プレーオフのweakest linkで私だけハタンし続けて団体のテーブルになかなか行けなかったのが原因で3位まで落ちました。
この年は、うまくいったことがあまり浮かびません。そういう年もあるのかな…

2017 インド

 個人1位 団体2位
この年の最大の特徴は、プレーオフが個人団体ともになかったことです。
それを意識した試合となります。
ここ何年かで一番調子が良かったと実感がありましたが、いかんせん誤答が多かった、でも序盤から1位を守っていました。
残り数ラウンドになっても1位、2位との差は大体100点くらいあるだろうから大丈夫…と思って結果発表を待っていたら、最後に返ってきた答案が「5分残しフィニッシュ失敗、2誤答」でした。

間違えた問題の点数とフィニッシュボーナスを合わせると100点超えてる…終わった…

表彰式のあるディナーまで結果は分かりませんでしたが、私は表彰式とかどうでもよくなってワインを飲みまくっていました(おい)
そして、スクリーンに映ったexcelシートで突如結果発表
結果、2位のTiitと3点差(5000点近いスコアの3点差…)で1位!
3点差にザワつく会場、その頃私はトイレにいました笑
その後、表彰されたり写真を撮ったりしましたが、既に出来上がっていたのでこの年の表彰式などの写真にそれが出ていたかも…

2018 チェコ

 個人1位⇒1位 団体2位⇒1位
 プレーオフ前は1位でした。プレーオフ前のハイライトは単問ラウンドで全消しして0点だったことです。2012年以来の0点&1位です。
 プレーオフのハイライトは個人プレーオフのArrow Sudoku(足し算アロー)です。これまでの数独大会のプレーオフでArrow Sudokuが出題されたときの勝率は100%(その問題でのタイムが出場者中1位の確率が100%)だったので、プレーオフの問題を1位から順に選ぶときに入っていたので勿論選びました(プレーオフ2位以下だと上位の人に一部の問題を消されてしまうが、1位なのでそんなことはない)。
 で、試合では…Arrow Sudokuは5問中3問目、プレーオフ前の時点のタイム差からさらに広げていたので楽勝の展開と思ったら、勘違いで全消しを2度してしまいました。勝率100%でなくなったともに、後続に抜かれて大ピンチになりました。
 しかし、まだ僅差だったので諦めずに4問目のThermo Sudokuを1番に提出して正解して再逆転、5問目は制限時間以内に全員解けなかったので、4問目の提出順で辛うじて優勝できました。これで、2連覇&4勝目です。
 2018年の結果から、翌年の世界選手権のシード枠が設けられることがJPFの方で決まり、こちらも獲得しました。WSC、次こそ3連覇する…


2019 ドイツ

 個人2位 団体2位⇒1位
 個人は自分にしてはハタンが多く、おまけに2マス以内の誤答を3回するなど、パフォーマンスの割に得点が伸びませんでした。今思えば、それでも2位で良かったと思います。1位はKen Endo(JPN)。
団体は2年続けてプレーオフで1位の中国を逆転しました。少し先に中国が提出したときは負けたと思いましたが、相手の誤答に助けられました。

当日は全く思いませんでしたが、WPC歴代優勝者に負けたという事実は今になってみると重たく感じます。勝ち負け以上の何かを突き付けられているような気がします。自らのパフォーマンスが決して落ちたわけではないと思えたので、もう少しだけできそうですが…3連覇って難しいんですね…

おわりに

以上、10年分振り返りました。長さは各年度まちまちですが、続けて書くとボリュームがすごいですね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
最後に、2019年の結果より私は2020年の日本チームのシード権がありません。Ken Endo以外の皆さま、一緒に予選頑張りましょう。一緒に世界選手権に行きましょう。よろしくお願いします。

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