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手がかり

「手のひらの真ん中から、なにかが、出てる感じで、熱いんです」
熱っぽいので、医者にいき、お尻の肉がはみ出すような小さな丸いすに腰掛けて、問診に答える。
夜寝ていると、両手のひらから、光線のように、シューーーっと、熱いものが出て、苦しい。一体なんなんだろう。
ふと、「わたしの手は、何かを表現したがっているのではないか」と気づいた。

「手で描きたい」
むずむずと、手が熱くなり、
クレヨンを握らせてみる。
画用紙にめり込むように力が入る。
砕けるクレヨンを、指で、画用紙に押し付ける。

最近物忘れがひどいと思っていたが、それは、脳が、手に移動していたせいだ。

空洞化している脳は、夜中、風で戸がバタンと鳴る音や、風呂場の桶がカタンと鳴る音を、異様に響かせて、眼の裏側に、色と模様を浮かびあがらせる。

音によって変化する、色と模様。

それが、画用紙に転写されいく。。。

手のひらの高揚感の割には、、、

只の落書き。

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