焼肉のタン


みなさんが初めて焼肉の「タン」を食べたのはいつですか?
私は19歳の頃、焼肉キングというチェーン店で食べたのが初めてです。

タンデビューとして遅かった理由は、実家が4人兄弟ということと、あとお父さんがすぐ肉に文句をつける。「臭い」ってすぐ言うんですよ。

なので家族六人、食べ盛りの子供4人連れて父が認める肉質が出てくるレベルの高級焼肉に行くには
家族のうちの誰かしらの臓器を中国のブローカーに売りにでもしないと行けなかったんですよね。
売られるとしたら私だと思います。そして多分脳の前頭前野あたりでしょうか。ちなみにその部位がなくなると感情がないロボット人間になります。
親としては育てやすい子供になるでしょう。

無事に私の脳の一部が売られることがないまま過ごし、19歳の頃ようやく友達と焼肉キングに行きました。

おうち焼肉しか知らなかった私は、肉の部位の名前を一切知らなかったんですよね。お恥ずかしい限りです。唯一知っていたのは「カルビ」以上。
でも知っているのは単語のみです。

どれくらい肉の部位を知らなかったのかというエピソードを説明すると、
中3の時の体育祭の後、同級生の家でみんなでバーベキューをさせてもらった際、
私は牛脂を焼いて食べようとしました。事実です。
サイコロステーキかと思ったので。なんか珍しい色してんなと思いました。普通に止められました。
同級生の焼肉の取り皿に牛脂が乗ってたらみんな止めますよね。それくらい無知でした。

ちなみに「カルビ」を知っていても、カルビとハラミを並べられてもどちらがカルビかなんてわかりません。そんな19歳でした。

その時に友達が「タン」を頼みました。

タン…?タンって何?私は衝撃を受けました。
まじでタンって何?怖い。
知らない単語が出てきたので、友達が少しイキってマイナーな部位を頼んだと思い、
素直に「タンって何?」と聞きました。
そうです。ドン引きの嵐ですね。

「ベロ」と言われた途端の私の衝撃。

え?ベロ食べんの?ディープキスやんそれ。
どんな感触なの?ちょっと硬いの?うーわ…
コリコリ…?ベロ?え、無理気持ち悪い
ディープキスやん…

せめてもの配慮で「舌」と言って欲しかったのはここだけの話です。ベロってなんだよ。

おばあちゃんが牛を飼っていたので、
「リアルな牛のベロ」を見たことがありました。
だからこそ想像が膨らみ、キモさが増し、
分厚くて紫でザラザラしててあれをゴリゴリ噛むなんて気持ち悪い反面、
どんなものが来るんだろうと好奇心が湧いていました。

「焼けたって見分けられると〜??
紫色やけん焦げてもわからんくない〜?笑」

と告げる私に、
「そうかもね。」と返してきやがったあの子は元気でしょうか。質問の意図わからなかったのでしょう。
想像してる「牛の舌」が違いすぎるあまり。

この世の正解の「タン」

チェーン店ってこんな感じだよね


私の想像していた「タン」

ディープキスやん


出てきたタンを見た私は呆気を取られました。
「これが…これがタンなの…?」

ディープキス要素はひとつもありません。
てかまず長くない。

しかし、「本物の牛のベロ」を知っていた私は少し抵抗がありました。キモいので。
そんな私に友達が囁いてきました。

「ネギ塩あるよ」

ネギ。ネギ。この世で一番美味しいネギ。
ネギ塩。ネギ塩タン。もうタンなんてどうでもいい。ネギ塩が食べたい。ネギ塩を巻く為のアイテムとしてタンを使ってあげてもいい。
そう思えたほど私はネギが好きです。

初のネギ塩タンデビュー、緊張の一瞬。
頭の中から離れない紫色の牛のベロ。おばあちゃんと一緒に立ち会った牛の出産。「牛産まれるらしいよ」と言われ、軽いノリで見に行ったら
牛からゲルみたいなものが出ていてそれに包まれながら牛が産まれていて小3の私は完全に引きました。
牛の名前に孫由来の名前をつけるおばあちゃん。ちなみに育った牛は最後出荷されて殺されます。
なんてサイコなおばあちゃん。
ちなみにおばあちゃんは私由来の名前を牛につけることはありませんでした。出来が悪いからでしょうか?

ちなみに私のおばあちゃん、いいえサエ子は
なぜか昔から姿変わらず「今の姿のおばあちゃん」です。20年間くらいずっとおばあちゃんです。

お母さんに、「結婚当初のおばあちゃんってどんな感じだったの?」と聞いたら、
「今と一切変わらずおばあちゃんだった」と答えていました。私の母もなかなかのいたずら娘です。

おばあちゃんに、「おばあちゃんって生まれた時からおばあちゃんなの?」と冗談で聞いたら
「そんなわけない」という弁解ではなく、
「おばあちゃんが子供の頃はね」と戦争の話をされました。過去三度のチャレンジに失敗しています。
答えが聞けません。いいえ、言えないのかもしれません。深入りしないようにします。

話が逸れたのですが、とりあえずタンは美味しかったです。タンというか、ネギ塩を巻くにはとてもちょうどいい肉でした。最高ですね。

そんなことよりも、「最高級カルビ」を食べられる資金力を持ちあわせるほど大人になった頃には
「最高級カルビ」で胃もたれしない強い胃を持ち合わせていないと思うのですがどうなんですかね?
もしかしたら注文ランキング下位の方なのではないかと思っていたりします。

ちなみに今私が一番好きな焼肉のメニューはユッケです。
ユッケも、生肉?キモ。から始まりました。

話し出したら止まらないので、ここら辺で。



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