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3代目スズキ ワゴンRのグレード・特別仕様車を解説!

~「サラブレッドの子は、サラブレッド。」~
サイズが限られている軽自動車で全高を上げることによって、広い室内空間を得たワゴンRは1993年の登場後、軽自動車界での革命児となりました。
軽自動車規格が改定された1998年に初のモデルチェンジを行い、若干丸みの帯びたデザインとなりましたが、ちょうど初代から10年目の節目となる2003年に2度目のモデルチェンジが行われ、初代の面影を残したデザインに戻り原点回帰を図りました。
また、このときに様々な転機を迎えるなど、ワゴンRを語る上では重要な役割を担っています。


ラインナップ

本モデルは、2005年9月に内外装の意匠を変更するマイナーチェンジが一度実施されており、それ以前のモデルを"前期型"、以降を"後期型"と定義します。

ラインナップは、基本となる"標準系"とカスタムモデルの「RR (ダブルアール)」の2で構成されていますが、2007年2月に新たなモデルとして「スティングレー」が設定され、3フェイスとなりました。
2008年9月に、次代へバトンタッチしますが、その際には「RR」が廃止され、"標準系"と「スティングレー」の2フェイスに改められ、現在に至ります。


グレード構成

~前期型~

標準系
▶NA

 「FA」 ホイールキャップ、プライバシーガラス等を省いた厳選仕様
 「FX」 訴求モデル
▶Mターボ(60ps)
 「FT」 訴求モデル
 「FS」 エアロパーツ、オートエアコン等を装備した最上級仕様
     →後に廃止
「RR」
▶Sターボ
(64ps) 「RR」
▶直噴ターボ
(64ps) 「RR-DI」


~後期型~

標準系
▶NA

 「FA」 ホイールキャップ、プライバシーガラス等を省いた厳選仕様
 「FX」 訴求モデル
 「FC」 遅れて追加。CVTを搭載しFFのみの設定
(後に追加)
 「FX-Sリミテッド」
  
エアロパーツ等を装備し、特別仕様車から昇格。FFはCVTが選択可
▶Mターボ(60ps) 
 「FT」
(後に追加)
 「FT-Sリミテッド」 エアロパーツ等を装備し、特別仕様車から昇格
「RR」
▶直噴ターボ(64ps) 「RR-DI」
(後に追加)
Mターボ(60ps)
「RR-Sリミテッド」 特別仕様車から昇格
「スティングレー」
▶NA
 「X」 FFはCVTが選択可
▶Mターボ(60ps) 「T」
▶直噴ターボ(64ps) 「DI」


ワゴンR史上唯一、軽では珍しく直噴ターボ搭載車が存在するが、軽自動車の馬力は64psで自主規制されているためか、前期の「RR」を除いて原則、普通のターボは60psで直噴ターボが64psと差別化されている点に注意。

また、基本的に4速ATを採用するが、NAに限っては5速MTも選択でき、一部にCVT搭載車も用意される。(CVT車は専用エンブレムの有無によって識別可)


特別仕様車

~前期型~

●FXリミテッド (04.1-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a040126b.htm


ワゴンRの国内累計販売200万台を達成を記念し、200万台達成記念特別仕様車として設定された。
エアロパーツの装着によるスタイリッシュな外観と、アップグレードされた内装を特徴とする。

特別装備

・メッキフロントグリル
・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
・ルーフエンドスポイラー
・アルミホイール(14インチ)
・専用エンブレム(バックドア)
・ローダウン(10mm)
・2DIN MD/CDステレオ(上級タイプ)+6スピーカー
・専用本革巻ステアリングホイール(ブラック×シルバーコンビ)
・専用シート&ドアトリム表皮
・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・パールホワイト (特別設定色)
・シルキーシルバーメタリック


●FXリミテッドⅡ (04.6-)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・レイクブルーメタリック
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2  (特別設定色)
・パールホワイト


●FTリミテッド (04.7-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a040706.htm


Mターボを搭載するFTをベースにFXリミテッドと同様の装備を特別装備する。

特別装備

・メッキフロントグリル
・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
・ルーフエンドスポイラー
・アルミホイール(14インチ)
・専用エンブレム(バックドア)
・ローダウン(10mm)
・2DIN MD/CDステレオ(上級タイプ)+6スピーカー
・専用本革巻ステアリングホイール(ブラック×シルバーコンビ)
・専用シート&ドアトリム表皮
・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

▲セットオプション
・フルオートエアコン+チルトステアリング+運転席シートリフター

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・レイクブルーメタリック
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2  (特別設定色)
・パールホワイト


●FX-Sリミテッド / FT-Sリミテッド (04.12-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a041215.htm


FXリミテッドとFTリミテッドのバージョンアップ仕様で、エアロパーツの装着によるスタイリッシュな外観と、アップグレードされた内装を特徴とするが、青みがかったヘッドランプやFT-Sリミテッドに関しては専用のビレットグリルをはじめとする専用フロントフェイスを特徴とする。

特別装備

●FT-Sリミテッド
 ・ビレットフロントグリル+専用バンパー
 ・フォグランプ
●FX-Sリミテッド
 ・メッキフロントグリル
 ・フロントアンダースポイラー

●共通
 ・ヘッドランプ(ブルー)
 ・アンダースポイラー(リヤ・サイド)
 ・ルーフエンドスポイラー
 ・アルミホイール(14インチ)
 ・専用エンブレム(バックドア)
 ・ローダウン(10mm)
 ・2DIN MD/CDステレオ(上級タイプ)+6スピーカー
 ・専用本革巻ステアリングホイール(ブラック×シルバーコンビ)
 ・専用シート&ドアトリム表皮
 ・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・レイクブルーメタリック
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2 (特別設定色) 
・パールホワイト


~後期型~

●FX-Sリミテッド / FT-Sリミテッド (05.9-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a050902.htm


同月のマイナーチェンジに準じ新デザインに改め、エアロパーツの追加やターボ車とNA車でデザインを差別化している点も踏襲する。

2007年5月に一部装備等の仕様変更を行い、グレードに昇格。

特別装備

●FT-Sリミテッド
 ・ビレットフロントグリル
●FX-Sリミテッド
 ・フロントグリル(一部メッキ)

●共通
 ・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
 ・ルーフエンドスポイラー
 ・アルミホイール(14インチ)
 ・専用エンブレム(バックドア)
 ・ローダウン(10mm)
 ・2DIN MD/CDステレオ(上級タイプ)+6スピーカー
 ・専用本革巻ステアリングホイール
 ・専用シート&ドアトリム表皮
 ・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

▲メーカーオプション
ディスチャージヘッドランプ(「RR」と共通デザイン)
※FX-SリミテッドはABS付車のみ対象

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ミステリアスバイオレットパール (特別設定色)
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2 (特別設定色)
・パールホワイト


●250X / 250T (06.5-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a060511.htm


国内累計販売台数250万台達成を記念した特別仕様車として、250XはFX、250TはFTをベースにFX-Sリミテッド・FT-Sリミテッドから、ディスチャージヘッドランプやHDDナビ等を追加している。
名称の250は、250万台に由来する。

特別装備

●250X
 ・ビレットフロントグリル
●250T
 ・フロントグリル(一部メッキ)

●共通
 ・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
 ・ルーフエンドスポイラー
 ・ディスチャージヘッドランプ
 ・アルミホイール(14インチ)
 ・専用エンブレム(バックドア)
 ・ローダウン(10mm)
 ・HDDナビゲーションシステム
 ・運転席シートリフター・チルトステアリング
 ・専用本革巻ステアリングホイール
 ・専用シート&ドアトリム表皮
 ・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ミステリアスバイオレットパール (特別設定色)
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2 (特別設定色)
・パールホワイト


●「RR」Sリミテッド (06.9-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a060904a.htm


直噴ターボから、Mターボエンジンにグレードダウンし、リヤバンパーも存在感が抑えられた専用バンパーに変更するなどライトに仕上げた廉価版。しかし、ブルーリフレクタータイプのハロゲンヘッドランプや、ターンランプ付のドアミラーカバーを装備するなど、満足度の高い魅力的な仕様となった。

2007年5月に一部装備等の仕様変更を行い、グレードに昇格。

特別装備

・Mターボエンジン(60ps)
・マルチリフレクターハロゲンヘッドランプ(ブルーリフレクタータイプ)
・ターンランプ付ドアミラーカバー
・専用リヤバンパー
・専用エンブレム(バックドア)

▲メーカーオプション
・ディスチャージヘッドランプ

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ミステリアスバイオレットパール
・アズールグレーパールメタリック
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2
・パールホワイト


●ナビスペシャル / ナビスペシャルターボ (06.10-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/a061019.htm


従来のFX-Sリミテッド・FT-Sリミテッドに準じるかたちで、HDDナビとフルオートエアコン、ディスチャージヘッドランプ等を追加した。

特別装備

●250X
 ・ビレットフロントグリル
●250T
 ・フロントグリル(一部メッキ)
 
●共通
 ・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
 ・ルーフエンドスポイラー
 ・ディスチャージヘッドランプ
 ・アルミホイール(14インチ)
 ・専用エンブレム(バックドア)
 ・ローダウン(10mm)
 ・HDDナビゲーションシステム
 ・フルオートエアコン
 ・運転席シートリフター・チルトステアリング
 ・専用本革巻ステアリングホイール
 ・専用シート&ドアトリム表皮
 ・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ミステリアスバイオレットパール (特別設定色)
・シルキーシルバーメタリック
・ブライトレッド2  (特別設定色)
・パールホワイト


●リミテッド / 「スティングレー」リミテッド (08.6-)

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画像:スズキ株式会社
https://www.suzuki.co.jp/release/a/2008/0604/index.html


ワゴンRの2003年度~2007年度国内軽自動車車名別新車新規届出台数5年連続No.1と国内累計販売台数300万台達成を記念して、NA車のFXならびにFX-Sリミテッドをベースに、ターボ車限定だった大型ビレットグリル。スティングレーXをベースにガラスアンテナの特別装備をはじめとして、ターボ車同等の外装とし、共通して新たにシートにライトグレーのアルカンターラを特別装備するなど特別感が高くなっている。

「スティングレー」リミテッドのFF車はCVTのみの設定となる。

なお、約3か月後にモデルチェンジが控えていたことで、必然的に販売期間は短期となった。

▶リミテッド

特別装備

・ビレットフロントグリル
・アンダースポイラー(フロント・リヤ・サイド)
・ルーフエンドスポイラー
・ディスチャージヘッドランプ
・フォグランプ
・LEDサイドターンランプ付ドアミラー
・専用アルミホイール(14インチ)
・専用エンブレム(バックドア)
・ローダウン(10mm)
・フルオートエアコン
・運転席シートリフター・チルトステアリング
・専用本革巻ステアリングホイール(シルバーステッチ)
・専用シート(アルカンターラ×スエード調ジャージ)&ドアトリム表皮
・シルバー加飾(インストルメントパネル・ドアトリム一部)
・メッシュ調インパネセンターガーニッシュ
・メーターベゼル・エアコンルーバーリング(ブラックメッキ)

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ジュエルパープルパールメタリック
・ノクターンブルーパール (特別設定色) 
・パールホワイト


▶「スティングレー」リミテッド

特別装備

・専用シート(アルカンターラ×スエード調ジャージ)&ドアトリム表皮
・LEDサイドターンランプ付ドアミラー
・ガラスアンテナ
・メッシュ調インパネセンターガーニッシュ
・専用本革巻ステアリングホイール(シルバーステッチ)
・オートライトシステム

ボディカラー

・ブルーイッシュブラックパール3
・ミステリアスバイオレットパール
・ノクターンブルーパール (特別設定色) 
・パールホワイト


~「クルマより楽しいクルマ」の3代目~
当時のスズキは特別仕様車を多く出していたことと当時はトールワゴンが全盛の時代で、ワゴンRも全盛期の時代だった為、力の入れようは半端でなく、それが3種類のエンジンや幅広いラインナップに反映されています。今となっては、直噴ターボではなく標準的なターボで64psを出力するモデルが欲しかった気もしますが、道具感のある画期的なデザインで「クルマより楽しいクルマ」だった初代と、選ぶ楽しさで「クルマより楽しいクルマ」を感じられる3代目と、販売時期こそ異なりますが共通するものがあるように感じます。それほどワゴンRはスズキにとって重要なモデルで、影響力のある車ではないでしょうか。当時はよくお目にかかり、個人的にも思い入れある一台です。

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