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部分積分、離散化、汎関数微分

次の汎関数微分を考えます:

$$
\displaystyle
\frac{\delta}{\delta f(x)}\int_0^a dy f'(y) g(y) dy \ \ \ \ (0<x<a)
$$

これを計算するには部分積分して$${f}$$の$${y}$$微分を$${g}$$に押し付けます:

$$
\displaystyle
\int _0^a f'(y)g(y)dy=\left[fg\right]^a_0-\int_0^a f(y)g'(y)dy
$$

$${0 < x < a}$$より汎関数微分において右辺の表面項は無視できるので、両辺を$${f(x)}$$で汎関数微分すれば

$$
\begin{aligned}
\frac{\delta}{\delta f(x)}\int_0^a dy f'(y) g(y) dy
&=-\displaystyle
\frac{\delta}{\delta f(x)}\int_0^a dy f(y) g'(y) dy\\
&=-g'(x)
\end{aligned}
$$

となります。

簡単な計算ですが、なーんとなく直感が働かない・馴染めない(?)と思う人がいるかもしれません。

そういうときは離散化するとよいです。次の和を考えます:

$$
\begin{aligned}
\sum_{n=0}^N (f_{n+1}-f_n)g_n
\end{aligned}
$$

この和を分解し、第1項目を$${\sum_{n=0}^Nf_{n+1}g_n=\sum_{n=0}^Nf_ng_{n-1}-f_0g_{-1}+f_{N+1}g_N}$$のように和をずらせれば以下を得ます:

$$
\begin{aligned}
\sum_{n=0}^N(f_{n+1}-f_n)g_n=f_{N+1}g_N-f_0g_{-1}-\sum_{n=0}^Nf_n(g_n-g_{n-1})
\end{aligned}
$$

これは部分積分の離散化バージョンです。右辺を$${f_m}$$ $${(0< m < N, m\in\mathbb{Z})}$$で偏微分すれば

$$
-(g_m-g_{m-1})
$$

になることはほぼ自明です。これを連続化すれば$${-g'(x)}$$になります。和を書き換えなくとも、左辺を直接偏微分しても同様の結果が得られることはすぐわかると思います。

部分積分して汎関数微分を行うのは、積分を離散化して数列の和をちょっと書き換えて偏微分することと同じであると思えば、こういう計算も直感的に理解できると思います。

おしまい。$${{}_\blacksquare}$$

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