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【SUNTORY】シングルモルト山崎

シングルモルトウイスキー「山崎」(やまざき)は、サントリースピリッツ山崎蒸溜所が製造し、サントリー酒類(二代目)が販売しているシングルモルトウイスキーの銘柄で、発売開始は1984年。
(発売当初は「ピュアモルトウイスキー山崎」)
世に言う「オールドショック」からの復権を目指す、サントリー希望の星として誕生しました。
日本国内の数あるウイスキーブランドの中でも特に人気が高く、蒸溜所限定販売品やプライベートブランド扱いの製品など、公式ラインナップ外の「山崎」も多数存在しています。

現行品はハイボールブームの折、山崎10年のフェードアウトを支える形で2012年に発売された、山崎ノンエイジを筆頭に上位グレードの山崎12年と山崎18年に山崎25年がレギュラーラインナップになっていますが、限定販売品や上位グレードが軒並みプレミアム化してしまっていて、永続的に入手困難な状態が続いているのが、現在の山崎ブランドが抱える問題点といえるでしょう。

さて、その唯一無二と言える日本的な個性を持つシングルモルトウイスキー「山崎」が製造されている場所、それは大阪府三島郡島本町に建てられた山崎蒸溜所という国内最古の蒸溜所です。
(山崎蒸溜所と名乗ってはいますが、所在地は京都府乙訓郡大山崎町内ではなく、隣接している大阪府三島郡島本町内に建てられています)
山崎蒸溜所は天王山の麓にあり、茶人として有名な千利休が茶室を立てたと謂れのある「水生野(みなせの)」と呼ばれる名水の地として関西では有名な場所です。
水生野の水質の良さと桂川、宇治川、木津川の3つの河川の合流点という地形。
山に囲まれた盆地でありながら、平地で湿度が高く、冬には霧が発生しやすいというウィスキーにとって良好な自然条件を備えた気候風土から、ウイスキーづくりに適した立地とされています。
そして立地において何よりも特筆すべき点は日本各地にある他の蒸溜所に比べると交通の便が群を抜いて良いことです。
山崎蒸溜所の所在地がJR東海道本線沿いにあることにより、鉄道での交通輸送及び貨物輸送において極めて至便であり、大阪と京都の中間に位置しているということも含め、アクセスが容易であることなどが挙げられます。
こういった環境と物流を両立した立地を持つ蒸溜所は他になく、総合的に考えると、山崎蒸溜所の立地条件は日本国内において類を見ない稀有な場所と言えるでしょう。

そして、シングルモルトウイスキー「山崎」ブランドの魅力。それは複数の蒸溜器で作り分けられる原酒にミズナラ、シェリー、バーボン、パンチョン等、ウイスキー貯蔵樽の多種多様な使い分けにあります。
そしてそれに加え、恐らく単一蒸溜所としては世界最高峰レベルの原酒の作り分けと、それを活かしたブレンド技術によって作られる重厚かつウッディな味わいにあると感じています。
こうした重厚かつウッディな味わいは温暖な熟成環境である日本らしさに通じる一方で、熟成を経ていかなければまとまらないため、昨今多くの新興蒸溜所が苦労しているように、サントリーもまた若い原酒の使い方で苦労している印象はあります。

租税乱造の時代から「オールドショック」を経て、品質第一へ原点回帰したことで生まれた高品質な「山崎」ブランドの確立。
令和時代も変わらぬ味わいを届けて欲しいと切に願うばかりです。

名称:山崎
種類:シングルモルトウイスキー
販売:サントリー株式会社
製造:サントリー株式会社
原料:モルト
容量:700ml 43%(現行品)
所見:国産ブランドウイスキーの旗頭的存在。